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全身麻酔について

全身麻酔を受けられる患者さまから、日頃いろいろな質問をお受けします。

そもそも麻酔とは、手術中の痛みや意識を取り除くだけでなく、手術が安全に行えるように、患者さまの全身状態を維持することです。
手術の侵襲によりますが、手術に伴う痛みや出血、また痛みや意識を取り除く麻酔薬で、患者さまの血圧や心拍数は反応し上下します。このような状態をできるだけ安定させるのが麻酔科医であります。

全身麻酔の際、意識を取り除くのは、静脈からの点滴で行う麻酔薬や吸入する麻酔薬になります。それらは、脳を含む神経細胞の活動を抑制する方向に作用し、情報伝達を遮断することで、手術の刺激に対する痛みや反射などの反応を抑える麻酔作用と関係があるのではないかと研究されています。しかし、あくまで特定の部位の研究であり、厳密には全身麻酔のメカニズムは未だ解明されてはいません。

また現在の全身麻酔は、意識を取り除くことに加えて、鎮痛、筋弛緩、反射の抑制の条件を満たすために、作用部位が異なる薬剤を組み合わせて行っております。

それでは、眠ったあとはどのような準備があるのでしょうか?
以下に全身麻酔の流れを説明します。

全身麻酔の流れ

  1. 絶食・絶飲・禁煙

胃の中に食べ物や飲み物が残っていると、麻酔中に吐いてしまい、それが気管に入ると肺炎になり危険ですので、食べ物と飲み物の時間の制限をしております。喫煙は、手術後の咳や痰が増えることで傷の痛みや肺への悪い影響を及ぼしますし、傷の治りへも影響しますので、手術が決まったら禁煙をしてください。

  1. 全身麻酔の準備

​手術室の入り口でいろいろな確認をしてから、各手術室に入ります。手術室には特別な電器や機器があります。まずは、手術台に寝て頂き、血圧計、心電図、パルスオキシメーター(指などにつける器械)などの装置(モニター)をつけます。手術室入り口でストレッチャーに乗り換えることもあります。そして、またいろいろと確認をします。お薬を準備します。静脈や動脈の点滴のカテーテル(柔らかいチューブ)を挿入します。

全身麻酔のイラスト

  1. 酸素吸入と入眠

マスクから酸素の吸入をします。そして(特別な場合は除いて)点滴からのお薬で眠ります。マスクを顔にぴったりと当てて、眠ったあとには呼吸を補助し、その後人工呼吸を行います。

  1. チューブが入ります、手術の体勢をとります

口から喉の奥(気管)までの人工呼吸に必要なチューブ、(鼻や口から)胃の内容物を出せるようにするチューブ、尿を出せるようにするチューブなどです。静脈や動脈の点滴のカテーテルを追加することもあります。チューブや点滴のカテーテル類をテープで抜けないように固定します。チューブ類の準備ができましたら、手術の体勢になります。全身麻酔で眠った後に手術室の看護師や医師らとともに体勢を整えます。

  1. 手術中

患者さまの状態と手術の進行状況に応じて、麻酔の強さ、長さ、人工呼吸の調節をし、必要があれば適切な処置を行います。

  1. 麻酔からの覚醒(目がさめること)

手術が終わりましたら、仰向きの体勢に戻り、麻酔のお薬を中止いたします。また、強い痛み止めから弱い痛み止めに替えて、麻酔からさめるようにいたします。麻酔からさめてくると、人工呼吸から患者さまご自身の呼吸ができるようになってきますので、確認できましたら、口のチューブを抜きます。覚めた時に、口のチューブが入ったままになっているため、苦しかったりむせる感じがあったりしますが、そのような場合は、患者さまの呼吸が充分なことが多く、チューブをすぐ抜くことがたいていはできますので、ご安心ください。この時はまだぼんやりしていることもあります。

  1. 手術室から移動

口のチューブを抜き、血圧や心拍数、呼吸などが安定していることを確認しましたら、手術室を出て、手術後のお部屋に帰ります。お口のチューブ以外は入っていることが多いです。手術に伴うチューブも増えているかもしれません。チューブ類の違和感(尿を出すチューブは、尿意を伴う違和感があります)があるかもしれません。目がさめたときは、手術が終わったことにびっくりするかもしれません。

実際には、全身麻酔だけでなく、手術、検査、入院、その後のことについて、心配や不安などがあることと思います。また、合併症のお話を聞くと、かえって不安が増すかもしれません。全身麻酔についての合併症については、本来ならお伝えしなければなりませんが、文字数の関係で今回は省かせていただきます。

全身麻酔の流れについて、まずご理解頂くことで、手術室に入る前や、入ってから眠るまでの間の不安な気持ちを少しでも和らげることができましたら、幸いです。この他にもご不明な点がありましたら、どうぞご遠慮なさらずに仰ってください。

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