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「足の腫れ、むくみ外来」開設のご案内

病院レター第67号 2017年3月3日

血管外科医長 藤城健

 日頃は病診連携にご協力いただき誠にありがとうございます。
 このたび、専門外来「足の腫れ、むくみ外来」を開設することになりましたので、ご案内申し上げるとともに、足の腫れ、むくみを引き起こす疾患について簡単に解説させていただきます。
 ご高齢の方に足の腫れ、むくみはよくみられる症状です。一方、足の腫れ、むくみは様々な疾患が原因となり、その専門科は多岐にわたります。このためどの科にかかればよいか分からず困っている方もいらっしゃるように思います。このような患者様の受け皿となり総合的に診断、治療を行うのが「足の腫れ、むくみ外来」です。

1.足の腫れ、むくみの原因疾患は?

 足の腫れ、むくみの原因には大きく分けて全身の問題と局所の問題があります(図1)。全身の問題としては心不全、腎不全、甲状腺機能低下症、低栄養、薬剤の副作用などがあります。これらは多くは両足のむくみとして現れます。指で押すとへこみすぐに戻らないいわゆるpitting edmaです。

全身的な原因によるもの(通常は両側)心不全/腎不全/肝障害/甲状腺機能低下症/低栄養/薬剤の副作用など。局所の原因によるもの(片側または両側)下肢深部静脈血栓症/下肢静脈瘤/リンパ浮腫/外傷/感染(蜂窩織炎)/関節炎/筋内出血など。明らかな原因が認められないもの(通常は両側)Dependent edemaなど

図1.足の腫れ、むくみの原因

 「足の腫れ、むくみ外来」では病歴調査、診察とともにスクリーニングとして血液検査、検尿、心電図、心エコーを行います。治療は原疾患の治療となりますので各
専門科へ紹介させていただきます。利尿剤投与は副作用もありますので診断に基づかない安易な使用は避けたほうがよいと考えています。またストッキングをご希望の方にはストッキングの処方をいたします。
 一方、局所の問題としては下肢深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、リンパ浮腫、外傷、感染(蜂窩織炎)、関節炎、筋内出血などがあります。これらの足の腫れ、むくみは片側に起こることが多いのですが両側に起こる場合もあります。それぞれの疾患をみていきましょう。

2.下肢深部静脈血栓症について

 深部静脈血栓症(DVT)は深部静脈の血栓により静脈血の還流が阻害され下肢に静脈血が充満するために足の腫れを引き起こします。これは通常急な発症で片側の下肢全体が赤くパンパンに張った感じになります(図2)。

図2.左下肢深部静脈血栓症

 診断は超音波検査により即時に容易に行うことができます。治療は肺塞栓予防のための抗凝固療法が最優先となり、先天的凝固異常のない方では6か月間の抗凝固剤内服が標準です。足の腫れに対する治療としては下肢を拳上して自然に血栓が溶けるのを待つということになります。ただいったん血栓ができると静脈の弁が破壊され静脈還流障害が続くため、血栓が溶けた後も下肢の腫れに悩まされる方が多くみられます。Postthrombotic syndromeと呼ばれています。これに対しては圧迫ストッキング着用が主な治療となります。

3.下肢静脈瘤について

 下肢静脈瘤は大伏在静脈、小伏在静脈の弁不全が原因となることが多く、この場合も静脈還流障害により患肢が腫れます。足が重い、だるいといわれる方が多く、実際測ってみると患肢のほうが健肢より太いことが多いのです。また長期の静脈不全により皮膚の色素沈着、硬化がみられる場合もあります。診断は見ればわかりますが、静脈の逆流はドプラや超音波検査により診断します。治療はストッキングと手術ですが、最近は2016年1月号の病院レターでお伝えした通り血管内焼灼術が主流となってきました。当院では局所麻酔下にラジオ波による血管内焼灼手術を1泊2日入院で行うことを標準としています。
一方動脈が閉塞した場合は通常足は腫れません。むしろ次第に萎縮し細くなっていきます。急性動脈閉塞による壊死の場合のみ腫れることがあります。

4.リンパ浮腫について

 リンパ浮腫には1次性と2次性があります。1次性は生まれつきリンパ管の発達が悪いために起こります。このため若年での発症が多くなります。2次性は骨盤内や鼠径部の手術や放射線照射、悪性腫瘍などにより起こります。いずれも通常は片側で足部など末梢ほど腫れが強く長期化すると皮膚が固くなり象皮病となります。診断は病歴と診察で行います。治療は下肢拳上、ストッキング、マッサージくらいしかありません。他の疾患にも言えることですが、肥満により症状が増悪しますので減量も有効です。リンパ浮腫の方はリンパ管炎(蜂窩織炎)を起こし、さらに腫れが増悪することがありますので、足の清潔やけがをしないよう注意することも大切です。

足の腫れ、むくみ外来開設のご案内「 夕方になると足がパンパン」「 急に片方の足が腫れていたむ」「 どの科にかかればいいかわからない」足の腫れ、むくみでお困りの方ご相談ください【診察日】毎週月曜14時〜15時(要予約)【場所】外科診察室【担当医】血管外科 藤城健(ふじしろ けん)

5.その他の疾患

 感染は何らかの原因があるわけですが、糖尿病の方などは明らかな原因がわからずに発症する場合もあります。病歴、診察、血液検査による診断を行います。治療は抗生物質の投与が中心です。
 外傷や関節炎も病歴や局所所見で診断可能な場合が多いと思われますが、超音波検査にて膝の水がたまっていることがわかることも時々あります。
 原因のわからない急な発症による下腿の腫れで(多くは痛みを伴う)、超音波検査をしてみると腓腹部の筋内の血腫を認める場合があります。多くは特に外傷、激しい運動などもなく起こっています。これは経過観察でおさまっていきます。

6.いわゆる浮腫について

 足の腫れ、むくみの原因疾患について述べてまいりましたが、足の腫れ、むくみで血管外科を受診される方で最も多いのは実は特定の原因のない「いわゆる浮腫」です。特にご高齢であまり動かれない方、施設に入所され日中座位で過ごされる時間が長い方にはしばしば下肢の浮腫がみられます(英語ではdependent edemaというようです)。運動しないことによって下肢の筋ポンプ作用が低下し、また栄養障害や組織の脆弱化により間質の水分が増加し重力により足にたまってくるのがその原因と思われます。現状では下肢の拳上とストッキング着用くらいしか行っていませんが、ご高齢の方ではストッキング着用も困難なこともあります。「足の腫れ、むくみ外来」ではこのような方の生活様式を調査し、生活指導や簡単なリハビリにより症状の改善を図ることができればと考えています。

7.おわりに

 足の腫れ、むくみでお困りの患者様のご紹介をお願い申し上げます。

  • 担当医:血管外科 藤城健
  • 診察日:毎週月曜日 14時~15時(要予約)

参考文献

  1. Evans NS, Ratchford EV : The swollen leg, Vasc Med, 2016 Dec;21(6):562-564. Epub 2016 Oct 12.
  2. Thaler HW, et al : Bilateral leg edema in an older woman, Gerontol Geriat, 2015 48:49-51
  3. Spittell JA : DDx and management of leg edema in the elderly, Geriatrics, 1982 Vol.37 No12:26-32 National Center

長寿医療研究センター病院レター第67号をお届けいたします。

 足の腫れやむくみは、高齢者では本当によく見かけます。私の外来でも、主訴としてだけでなく、随伴症状として有している方も含めれば、多数おられます。そのような場合、今回説明されたように、多岐にわたる原因疾患を的確に診断して、それに応じた治療が毎回できる訳では必ずしもありません。
 また、増加しつつある低栄養の高齢者における浮腫などに栄養療法をどう活用するかなど悩む事も多々あります。従いまして、今回のような専門外来開設はたいへん助かると感じます。先生方のお役にも立てると思いますので、是非ご紹介下されば幸いです。

病院長 原田敦