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			研究背景 Lay Summary
			
				
					
増加する認知症患者
					■世界の認知症患者数は2010年において約3600万人と推定され、今後2030年に6600万人、2050年には1億2000万人とさらなる増大が予想される。
					2010年において年間6040億ドルの医療費が世界で費やされており、2050年には倍増が予想されている。
					認知症の大多数はアルツハイマー型老人性認知症である。
					しかし、現在までアルツハイマー病の予防法、根本的治療法は確立されていない。
					世界に先駆けて超高齢社会を迎える我が国ではアルツハイマー病を代表とした老年性認知症の機序を解明し、
					その分子基盤に立脚した予防・治療法開発は喫緊の課題である。
				
				
			 
			
				
					
アルツハイマー病の病理像
					■アルツハイマー病は、記銘力の低下に始まる認知機能障害が進行していく神経変性疾患である。
					病理的に、アルツハイマー病では神経細胞が脱落し脳の萎縮が観察される。
					また、アルツハイマー病脳では主な病理像として老人斑の形成と神経原線維変化が観察される。
					老人斑の主要構成成分はβアミロイドと呼ばれる約40アミノ酸からなるペプチドである。
					神経原線維変化の主要構成成分は過剰なリン酸化修飾を受けたタウタンパク質の凝集体である。
				
				
			 
			
				
					
アルツハイマー病の治療薬開発
					
					■βアミロイドの沈着はアルツハイマー病に特異性のある病理的特徴である。
					1991年βアミロイド仮説が提唱されて以来今日までβアミロイドを減少させる療法が試みられてきたが、
					いずれもアルツハイマー病と診断された患者においてβアミロイド沈着を阻害したが顕著な認知機能低下を阻止することが出来ていない。
					■アルツハイマー病特異的なβアミロイド沈着に比べ、神経原線維変化はアルツハイマー病を含む多くの認知症共通に観察される病理像である。
					私達の研究部では、この神経原線維変化に注目し、アルツハイマー病の臨床症状である認知機能障害の進行を阻止することを目指している。
					そして、研究推進にあたり私達は分子・神経回路・動物行動レベルのアプローチから認知症治療薬開発に取り組んでいる。