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よくある質問・Q&A

認知症とアルツハイマー病は違うのですか?

 認知症はいくつかの異なった原因でなる病気をまとめて呼ぶときの言い方(呼称)です。アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は認知症のなかで最も原因として多い(半数以上)ものですが全てではありません。

認知症の基礎疾患の内訳
平成24年度認知症対策総合研究事業 「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(研究代表者 筑波大学 朝田隆)

レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)の識別の仕方はどのようなものがあるでしょうか?

臨床症状から識別

 認知症に最も特有な症状として記憶障害(もの忘れ)がありますが、ADでは最初期から現れるのに対して、DLBでは進行してから目立ってきます。
 一方パーキンソン症状や転倒といった運動症状はADでは進行してからしか現れないのに対して、DLBでは初期からみられることがあります。
 幻視はADでも出現しますが、DLBで、より顕著で、リアルで具体的な幻視がみられるのが特徴です。またたちくらみや失神、睡眠中の大声はDLBではみられますが、ADでは通常みられません。

画像による鑑別

 MRIにおける海馬の萎縮はADで、より顕著なことが多いといわれていますが、個々の例での鑑別は困難です。
 脳血流シンチにおける後頭葉の血流低下はDLBに特徴的ですが、60%程度にしかこの所見は現れないため、低下がなくてもDLBを否定できません。
 別項でのべたMIBG心筋シンチはADとの鑑別に有用です。

急激に認知機能が低下しています。急激な低下の理由は何があるのですか?

 アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症のような神経細胞がしだいに壊れて行くタイプの認知症(変性性認知症)では 認知機能の急激な低下は自然な経過のなかでは起こりません。したがって認知機能が急激に低下する場合には次の二つの可能性が考えられます。

  1. 急激な進行経過をとる別のタイプの認知症の可能性
  2. 変性性認知症に脳の機能を低下させるような別の出来事が起こった可能性

 1.としては結核性髄膜炎や真菌性髄膜脳炎、悪性腫瘍に伴う特殊な脳炎(辺縁系脳炎)、クロイツフェルドヤコブ病、脳の血管炎、脳原発悪性リンパ腫や悪性のリンパ内皮腫などがあげられます。
 2.としては脳血管障害の合併、反復するてんかん発作、薬剤、心不全、腎不全、肝不全、高度の貧血といった全身疾患による脳障害などの合併が考えられます。
 1.2.の可能性を考えて全身の検査が必要になります。

レビー小体病、パーキンソン症候群、アルツハイマー型認知症の違いはどのようなものでしょうか?

 レビー小体病とは、脳の細胞の中に”レビー小体”と呼ばれる異常物質が見られる点を共通とする、パーキンソン病、レビー小体型認知症、純粋自律神経不全症の3つの病気をひとまとめにした概念です。

 パーキンソン病は中年期以上に多く見られる、じっとしている時の手足の震えや動きの鈍さや歩行の障害を特徴とする運動障害を中心とする病気です。パーキンソン症候群とは、これによく似た動きの鈍さを持つ病態の総称で、脳梗塞をはじめとするいろいろな病気で見られます。また、レビー小体型認知症は、パーキンソン病類似の動きの鈍さや、人の姿などの幻視、や認知機能の低下を特徴とします。

 一方、アルツハイマー型認知症は、最近体験した出来事を忘れてしまうといった、記憶の低下を中心症状とすることが多い病気です。

甲状腺の病気がありますが、認知症になりやすいでしょうか?

 甲状腺機能低下症(橋本病など)では、精神活動性が低下するため認知症と診断されることがあります。しかし多くの場合、甲状腺の治療により改善する、いわゆる“治る認知症”です。甲状腺機能は血液検査で簡単に検査できます。

 また甲状腺の病気の中には、甲状腺に対する特殊な抗体が体で作られ、この抗体が脳に働いて認知症を来たすことが稀にあります。甲状腺と脳は、深い関わりのある臓器と言えます。

糖尿病や高血圧で認知症になりやすいでしょうか?

うつ病の人は認知症になりやすいと聞きました。本当でしょうか?

 うつ病と認知症は本来全く別の病気ですが、うつ病では認知症の発症が多いことが証明されています。
 ところが認知症の初期にも、なんとなくうつ病のように見えることがあります。気分が落ち込んだり、周囲への関心が低下したりして、精神科を受診してうつと診断され、抗うつ薬を処方されていることも稀ではありません。認知症によるうつ症状やアパチーとうつ病との違いを表にまとめました。区別が難しい場合もありますので、専門医にご相談ください。

  うつ病 認知症でのうつ症状
抑うつ気分 悲しく、希望がない、落ち込んだ気分。活動できないことに苦痛を感じている。 アルツハイマー病の進行と伴に目立つことはあまりない
興味・喜びの喪失、および活力の減退と活動性の減少 それまでの趣味に興味を失う、社会的に引きこもる傾向 認知症のアパチー(無気力・無関心)ト間違い易い。アルツハイマー病でも全てに興味を失っているように見えることがあります(テレビをぼっと見ているだけ、外に出ない、散歩に誘っても体がだるい、腰が痛いといって外出しようとしない など)
記憶の衰え 意欲が低下、集中力も弱まるので記憶力が低下したようにみえることがある。しかし実際には自分の周囲で起こったことをよく覚えている。 アルツハイマー病では記憶力が強く低下

宇野正威 認知症読本より 改変

乳がんの治療で認知症になりやすいでしょうか?

 女性ホルモンが骨粗鬆症や認知症の治療に有効である可能性が指摘されてきました。

 一方、乳癌では女性ホルモンの作用を抑制する治療が行われ、乳癌の生命予後を改善することが証明されています。
 女性ホルモンの作用を抑制する薬剤の一部は、脳機能を少し低下させる可能性が報告されています。しかし現在のところ、認知症の発症を増やすかについては不明です。

慢性硬膜下血腫の症状はどのようなものでしょうか?

 歩行の障害、手足の麻痺や歩行の障害、ぼんやりとしたように見えたり、思考能力の低下といった認知症のような症状が起こります。ご高齢の方にみられやすく、頭部の打撲により脳の外側に血液がたまり脳が圧迫されるために起こる症状です。症状はゆっくり起こり、頭を打ってから症状が出るのに数ヶ月かかることもあります。