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倫理・利益相反委員会受付番号No.1717

「パーキンソン病の慢性便秘症に対する診断および治療についての後ろ向き研究(倫理・利益相反委員会受付番号No.1717)」人を対象とする生命科学・医学系研究実施についてのお知らせ

 国立長寿医療研究センター脳神経内科部、摂食嚥下・排泄センター消化管排泄機能研究室では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
 本研究は、通常の診療で得られた情報を電子カルテから必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
 このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
 本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2023年8月10日

1.研究課題名

「パーキンソン病患者の慢性便秘症に対する診断および治療についての後ろ向き研究」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1717)

本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。

2.研究機関の名称および研究責任者の氏名(部署名)

  • 国立長寿医療研究センター 在宅医療・地域医療連携推進部 地域医療連携室長 山岡朗子

3.研究分担者名(部署名)

国立長寿医療研究センター

  • 脳神経内科部長 新畑豊 
  • 副院長(摂食嚥下・排泄センター消化管排泄機能研究室長)松浦俊博
  • 手術・集中治療部 救急科医長 山田理
  • 看護部 3W病棟看護師 安江孝依、福里優海
  • リハビリテーション科部
    • 理学療法主任 田口大輔
    • 作業療法主任 神谷正樹
    • 作業療法士 西﨑成紀
  • 薬剤部
    • 薬剤師 伊藤淳津子
    • 製剤・試験主任 梅村実希

4.本研究の意義、目的

慢性便秘症に苦しむ患者は、加齢とともに増加することが知られています。便通異常は、常に腹部不快感をともなうため、ご高齢の方では特に食欲低下や意欲減退を引き起こすなど、QOL(Quality of Life)低下や栄養状態の悪化をもたらす一因となることや、大腸癌などの発癌のリスクも指摘されています。つまり、便通改善はご高齢の方にとっては日々のQOLの改善のみならず、健康状態を保つためにも非常に重要な問題であると言えます。慢性便秘症はそのメカニズムの観点から、医学的には、1.大腸全体に便が貯留する大腸通過正常型、2.消化管運動機能低下により右側結腸に便が貯留しやすい大腸通過遅延型、3.直腸に便が貯留する便排泄遅延型、の3つのタイプに分類することができます。しかし、この分類分けには腹部レントゲン撮影やCT撮影が必要で被曝や手間のかかることもあり、実際の医療現場では殆ど考慮されることなく、センノサイドなどの刺激性便秘薬やマグネシウム製剤などの緩下剤が漫然と使用されているのが実状です。当センターでは、医師、看護師、薬剤師、療法士から構成される排便サポートチームを形成して、慢性便秘に対する対策を検討してきました。最近、簡易型の腹部超音波を用いて便の蓄積状況を把握する方法をとりいれて便秘の型を決定して、この所見をもとに、適応と考えられる便秘薬で検討したり、排便しやすい体位をとれるような指導を行っています。しかし、診療報酬などに反映されていないことから、排便サポートチームを形成している施設は未だ少なく、チーム医療としての有用性の検証も殆どなされていません。

本研究では、高齢者における慢性便秘症の分類分けと、便貯留の客観的評価に関する腹部超音波の有用性、およびその知見に基づいたチーム医療としての治療選択の有効性を明らかにすることを目的としております。

5.本研究に使用する情報

電子カルテ内データ

主要評価項目

腹部超音波(US)による便秘型診断およびそれに基づいた治療計画の策定(治療薬、リハビリテーション)。また、CTによる画像がある場合には、US評価の妥当性に使用。

副次的評価項目
  • 背景因子:年齢、性別、罹病期間、体重、BMI、飲酒、喫煙、睡眠時間、病歴(神経疾患、糖尿病の有無)、内服薬(服薬種類、数、回数、腸蠕動に影響を及ぼす可能性のある内服薬の有無)、生活習慣(食生活、乳酸菌を含んだ食事やサプリメントの摂取の有無)
  • 栄養状態:Mini Nutritional Assessment(MNA)
  • 生活機能調査:日常生活の自立度、Functional Independence Measure(FIM)
  • 認知機能検査:Mini-Mental State Examination-Japanese(MMSE-J)
  • 排便日誌:患者もしくは医療スタッフが記録した排便日誌から以下の情報の抽出。回数(回/週)、形状(Bristol)、量(少、中、多)また、特に使用された便秘薬に関して、頻度、薬剤の量の調査
  • QOL:日本語版The Patient Assessment of Constipation Quality of Life Questionnaire
  • 便秘重症度:改訂版便秘スコアリングシステム使用

慢性便秘症の治療前後で、排便に関する調査項目の変化を調査します。
また、排便に関する調査項目の変化や、各種評価項目間の関連性についても検討して、治療の効果に影響を与えると考えられる要因の有無に関しても検証します。

6.本研究の方法

当センターではパーキンソン病と診断されて入院治療を行った患者さんを対象とし、慢性便秘症の有無、またその背景因子、重症度につき調査するとともに、腹部超音波による便秘型の診断およびそれに基づいた治療計画の策定(治療薬、リハビリテーション)を行っています。その治療前後における便秘改善度を検討します。治療は、便秘異常の治療の一環として保険診療内で施行します。過去に行われた治療(2024年3月31日までの未来の治療を含み、入院中に行われた診療)に関するデータを、電子カルテから収集し検討を行います(後ろ向き研究)。得られたデータは匿名化し、個人が特定できない形で解析をおこないます。

7.研究期間

2023年8月10日 ~ 2026年4月30日
(対象患者調査期間:2023年4月1日~2024年3月31日)

8.対象となる患者さん・研究対象者として選定された理由

西暦2023年4月1日から西暦2024年3月31日までの間に、当センターでパーキンソン病と診断されて入院治療を行った患者さんを対象者とします。

9.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスクおよび利益

既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益並びに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。

10.研究実施について同意しないことおよび同意を撤回することの自由について

ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。

11.本研究に関する情報公開の方法

この掲示により本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については学会発表・論文投稿にて行う予定でおります。

12.研究計画書等の閲覧について

他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。

13.個人情報等の取扱い

本研究では、診療情報(電子カルテ)より上記5.の情報を抽出して使用いたします。抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に使用いたします。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に使用する抽出データとは別にされ、当センター内にて厳重に保管されます。
また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。

14.試料・情報の保管および廃棄の方法

抽出したデータ、患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表、匿名化されたデータについては、研究期間終了後10年もしくは学会や論文等での発表から10年の間保管いたします。抽出したデータ、匿名化されたデータについては摂食嚥下・排泄センターにて、保存媒体を施錠保管いたします。識別コードと患者を連結する対応表は、研究責任者が管理し、研究に関係しない第三者が施錠保管します。保管期間満了後は速やかに、紙媒体はシュレッダーにて、USB等の電子媒体は物理的に廃棄します。

15.研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反および個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

本研究は長寿医療研究開発費を用いて実施しますので、本研究による内外の利益団体は存在しません。また、本研究遂行による研究機関・研究者個人の利益はありません。なお本研究において特許などの知的財産権が生じた際には、研究者と研究機関がその知的財産権を持つこととします。

16.研究対象者等およびその関係者からの相談等への対応

本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載されているお問い合わせ先までご連絡ください。

本研究に関するお問い合わせ先

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
 在宅医療・地域医療連携推進部 地域医療連携室長(脳神経内科部) 山岡朗子

〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地

電話:0562-46-2311(代表)