本文へ移動

 

文字サイズ

ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1415

倫理・利益相反委員会受付番号No.1415

「認知症患者のADL(activities of daily living)に関わる因子の検証(倫理・利益相反委員会受付番号No.1415)」人を対象とする医学系研究実施についてのお知らせ

 

 国立長寿医療研究センター もの忘れセンターでは、以下の人を対象とする医学系研究を実施しております。
 本研究は、国立長寿医療研究センターバイオバンクから分譲を受けた情報を用いて解析を行うものです。
 国立長寿医療研究センターバイオバンクでは、お預かりした情報の利用にかかる包括的同意をいただいているため、このような研究は、厚生労働省・文部科学省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる試料提供者様のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
 本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2020年7月21日

  1. 研究課題名
    「認知症患者のADL(activities of daily living)に関わる因子の検証」
    (倫理・利益相反委員会受付番号No.1415)
     本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
  2. 研究機関の名称および研究責任者の氏名
     国立長寿医療研究センター もの忘れセンター センター長 櫻井 孝
  3. 研究分担者名
     国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 外来研究員 梅垣 宏行
     国立長寿医療研究センター 研究所長 新飯田 俊平
     国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 副センター長 佐治 直樹
     国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 医師 岸野 義信
     国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 特任研究員 杉本 大貴
     国立長寿医療研究センター メディカルゲノムセンター 特任研究員 木村 藍
     国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 医師 藤沢 知里
  4. 本研究の意義、目的
     高齢者社会の進む中で、今後、認知症患者さんが社会の中でますます増加することが予想されます。認知症のある患者さんができるだけ元気に社会生活を送ることができるような世の中になることが期待されます。現在、認知症患者さんの経過中のADL(activities of daily living:寝起きや移動、トイレや入浴、食事、着替えといった日常生活に必要な動作)低下やそれにかかわる身体機能と認知機能の低下に関与する因子について、未だ解明されていないものが多く存在します。本研究では、軽度認知症患者さんを含む認知症患者さんを対象に、以下について解析・検証します。
    1. 初診時の低カリウム血症や低ナトリウム血症などの電解質異常と、経過中のADL低下(どの日常生活から低下していくのか)やそれにかかわる身体機能の低下(どの種類の身体機能検査から低下していくのか)、認知機能の低下(どの神経心理検査コンポーネントから低下していくのかとMCIから認知症へのコンバート)の関連を横断的・縦断的に検証します。
    2. 初診時の身体機能と、経過中のADLの低下(どの日常生活から低下していくのか)やそれにかかわる認知機能の低下(どの神経心理検査コンポーネントから低下していくのかとMCIから認知症へのコンバート)の関連を横断的・縦断的に検証します。
    3. 初診時の運動頻度と、ADLの低下(どの日常生活から低下していくのか)やそれにかかわる身体機能(どの種類の身体機能検査から低下していくのか)、認知機能の低下(どの神経心理検査コンポーネントから低下していくのかとMCIから認知症へのコンバート)の関連を横断的・縦断的に検証します。
    4. 経過中のADL低下とそれにかかわる身体機能と認知機能の低下と強く関連する初診時の神経心理検査のコンポーネント部位を横断的・縦断的に検証します。
    5. 経過中のADLの低下とそれにかかわる認知機能の低下やMCIから認知症へのコンバート、と関連する初診時の身体機能検査の障害部位(バランス能力、歩行速度、筋力)を特定します。
  5. 本研究に使用する情報
     国立長寿医療研究センターもの忘れ外来を受診された患者さんの一般診察で採取している、年齢、性別、教育歴、社会背景(既婚又は未婚、誰かと同居しているかどうか、経済状況、職業歴)、既往歴(糖尿病、心臓病、肝不全、がん、脳卒中、認知症)、薬剤内服歴(降圧薬、糖尿病治療薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗てんかん薬、利尿薬、抗うつ薬、抗精神病薬)、初診時血圧、聴覚障害の有無についての情報の他に、以下の情報を使用します。
    1. 総合的機能評価:基本的日常生活活動度(Barthel Index)、手段的日常生活活動度(Lawton&Brody Index)、認知機能(ミニメンタルテスト)、うつ(Geriatric depression scale: GDS15)、意欲(Vitality Index)、行動障害(Dementia Behavior Disturbance Scale)、介護保険の利用、社会的・ライフスタイル(軽い運動や体操の頻度、定期的な運動やスポーツの頻度、過去6カ月間での体重減少の有無、わけもなく疲れたような気がするかどうか、飲酒歴、喫煙歴、内服歴、夜によく眠れるかどうか、昼寝の時間)の評価
    2. 老年症候群:呼吸困難、咳・痰・喘鳴、胸痛・胸部圧迫感、動悸・息切れ、全身倦怠、悪心・嘔吐、腹痛、下痢・便秘、発熱、麻痺、言語障害、誤嚥・むせ、しびれ、振戦、意識障害・失神発作、頭痛・頭重、耳鳴り、咀嚼障害、頻尿、排尿障害、褥瘡、かゆみ、腰痛、背部痛、下肢痛、上肢痛の有無
    3. 転倒(転倒スコア)、失禁、歩行障害、嚥下障害などの老年症候群の有無の調査
    4. 栄養評価:Mini Nutritional Assessment 短縮版を用いた低栄養のスクリーニング
    5. 身体機能測定:次の各種身体能力を測定する。身長・体重(BMI)、上下肢の筋力、ファンクショナルリーチ、下腿最大周囲長、歩行能力(歩行速度と3m Up and Go test)、バランス能力(開眼片足立ち持続時間、つぎあし歩行、重心動揺計)
    6. 体組成計(インピーダンス法):体脂肪率、脂肪・筋肉量の測定
    7. 神経心理検査:認知症や軽度認知障害(Mild cognitive impairment)の診断や経過観察のため、WAIS-Ⅲ、ADAS、WAIS-R、WAB、Stroop test、Trail-making test、CDR、FAB、ウィスコンシンカードソーティングテスト、レーブン色彩マトリシス、コース立方体、時計描画試験などの検査を組み合わせた脳機能の評価
    8. 液体因子検査項目:二次性認知症の診断の目的で、一般血液検査(血算、生化学、血清)、ビタミンB1、B12、葉酸、TSH、fT3、fT4、BNP、シスタチンC、CRP
    9. アポ蛋白Eフェノタイプ
    10. 頭部MRI検査:頭部MRI検査(1.5T/3.0T)による脳萎縮、脳梗塞の有無・部位・数、脳皮質下虚血性病変の有無・部位・程度などを評価
    11. 経過フォロー中に採取されるADL (Lawtonの尺度によるIADL)・神経心理検査・運動機能の変化
  6. 本研究の方法
     国立長寿医療研究センターもの忘れ外来を受診された患者さんのカルテおよびデータベースから得られる上記5.に記載の情報から、初診時の電解質異常、運動機能、運動頻度が、認知症の経過中のADL低下や、それにかかわる身体機能や認知機能の低下と関連があるかをRやSPSSという統計ソフトを使って調べます。さらに、認知症の経過中のADL低下やそれにかかわる身体機能や認知機能の低下と関係のある神経心理検査コンポーネントの部位や運動機能検査の特徴を調べます。解析は、研究責任者および研究分担者が行います。
  7. 研究期間
     2020年7月21日~2026年3月31日
  8. 対象となる患者さん・研究対象者として選定された理由
    1. 日本語を母国語とする方
    2. 2010年1月から2017年12月までの期間における国立長寿医療研究センターもの忘れ外来受診者
  9. 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスクおよび利益
     既存の診療情報および国立長寿医療研究センターバイオバンクに収集されている試料・情報を利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益並びに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
  10. 研究実施について同意しないことおよび同意を撤回することの自由について
     ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
  11. 本研究に関する情報公開の方法
     この掲示により本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、ホームページ掲載・学会発表・論文投稿などにて行う予定でおります。
  12. 研究計画書等の閲覧について
     他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
  13. 個人情報等の取扱い
     本研究では、国立長寿医療研究センターもの忘れ外来の患者さんの診療情報(電子カルテ)から上記5.に記載の情報を抽出して使用いたしますが、患者さんが特定できる情報(氏名・住所(ケースにより・患者ID番号)など)を削除した状態で抽出しています。抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に使用いたします。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に使用する抽出データとは別にされ、当センター内にて厳重に保管されます。加えてバイオバンクの試料・情報も使用いたしますが、匿名化された上で利用します。研究者に提供された試料・情報がどなたのものであるかがわかる対応表は国立長寿医療研究センターで保有しており開示されることはありません。
     また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。
  14. 試料・情報の保管および廃棄の方法
     氏名・住所・電話番号・生年月日などの個人が特定される情報は、検査データ等から切り離して取り扱います。研究に携わらない第三者が、国立長寿医療研究センターで、個人が特定される情報と検査データとの対応表を適切に管理するため、個人が特定されることはありません。登録された情報の消去を希望される場合は、遠慮なく申し出てください(問い合わせ係:0562-46-2547)。
     国立長寿医療研究センターの情報については、研究期間終了後もしくは学会や論文などでの発表から10年の間、国立長寿医療研究センター内にて施錠管理いたします。保存期間満了後は速やかに試料・情報を破棄いたします。
  15. 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反および個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
     オレンジレジストリを活用した認知症予防とケアに関する研究に対する長寿医療研究開発費の一部を使用します。申告すべき利益相反情報はありませんし、本研究の計画・実施・報告において、研究の結果および結果の解釈に影響を及ぼすような「起こり得る利益の衝突」は適切に管理されますので、研究の実施が対象者の権利・利益を損ねることはございません。なお、本研究の結果に基づいて、特許等の知的所有権が生じた場合は、研究者あるいは研究機関がその知的所有権を持つことになります。
  16. 研究対象者等およびその関係者からの相談等への対応
     本研究のことでわからないこと、不安なこと、もっと詳しく知りたいこと、伝えたいことなどがある場合には説明書の最後のページに連絡先が書いてありますので、遠慮なくおたずねください。本研究実施担当者が対応いたします。
  17. 遺伝情報および遺伝カウンセリング遺伝情報の開示並びに遺伝カウンセリング
     本研究では、アルツハイマー病に関連する可能性があるApoEフェノタイプという遺伝子の情報を利用しますが、その結果は、対象者本人、ご家族、主治医には開示しません。その理由は、認知症に関連する遺伝子異常が判明しても、今の医学では遺伝子異常を治療できる可能性が低く、遺伝子の情報によって治療方針が変わらないからです。また、遺伝カウンセリングは実施しません。

本研究に関するお問い合わせ先

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

もの忘れセンター 櫻井 孝

〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地

電話:0562-46-2311(代表)