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倫理・利益相反委員会受付番号No.1217-2

「ヒト脳由来のエクソソームを用いた認知症関連外来微生物の同定(倫理・利益相反委員会受付番号No.1217-2)」人を対象とする医学系研究実施についてのお知らせ

 国立長寿医療研究センターメディカルゲノムセンター臨床ゲノム解析推進部では、以下の人を対象とする医学系研究を実施しております。
 この研究は、研究開発代表者の所属施設である国立精神・神経医療研究センターバイオバンクから分譲を受けた試料・情報を用いて解析を行うものです。
 国立精神・神経医療研究センターバイオバンクではお預かりした試料・情報の利用にかかる包括的同意をいただいているため、このような研究は、厚生労働省・文部科学省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる試料提供者様のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
この研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「16.この研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2019年8月14日

  1. 研究課題名
    「ヒト脳由来のエクソソームを用いた認知症関連外来微生物の同定」
    (倫理・利益相反委員会受付番号No.1217-2)
    この研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
  2. 研究機関の名称及び研究責任者の氏名
    国立長寿医療研究センター メディカルゲノムセンター 臨床ゲノム解析推進部 部長  尾崎 浩一
    (研究開発代表者 国立精神・神経医療研究センター 病院 脳神経内科診療部 第5脳神経内科医師 齊藤 勇二)
  3. 研究分担者名
    国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 室長 齊藤 公亮
    公益財団法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター プロジェクトリーダー 植田 幸嗣
    慶應義塾大学 先端生命研究所 特任講師 平山 明由
    国立成育医療研究センター 研究所免疫アレルギー・感染研究部 部長 松本 健治
    帯広畜産大学 グローバルアグロメディシン研究センター 獣医学研究部門 講師 茅野 光範
    国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第四部 流動研究員 皆川 栄子
  4. 当該研究の意義、目的
    超高齢化社会の我が国においてアルツハイマー病などの認知症はその予備軍を含め1000万人に迫り、その治療・予防法の開発は我が国だけでなく全世界で喫緊の課題となっています。死後脳内の蓄積物の構成成分であるタウやアミロイドβ、α-シヌクレインが認知症疾患の原因であり神経毒性分子であるという仮説から、これらの異常蛋白質を除去する抗体療法が進められてきましたが、失敗に終わっています。これらの結果は、死後脳から得られた知見が認知症発症までの流れにおいては下流である可能性を示唆しており、真の認知症病態を反映する上流を発見するためには死後脳ではなく「生きた」脳の神経細胞の営みを検証することが必要です。
    近年、エクソソームと呼ばれる細胞からの分泌小胞が細胞内の恒常性維持や異常蛋白質の伝播に関与することが報告され、細胞保護・細胞障害の両面の働きを有することが明らかになってきています。そのため、エクソソームは「生きた」脳の働きを反映する鏡として、神経細胞の生理機能および病態生理を明らかにする可能性を秘めています。認知症におけるエクソソーム研究では、蛋白質や脂質、核酸などの内因性分子の検討が主です。ところが、ヒトゲノムからウィルス遺伝子が発見されたことや、アルツハイマー病患者の死後脳では対照と比べてヘルペスウィルス由来の核酸が多く含まれているという知見を見ると、外因性分子の探索も含めることが重要であると考えられます。すなわち、神経変性という概念に縛られた既存の内因性分子の解析に加え、感染・炎症といった外的な要因による複雑な病態も考慮する必要がありますが、これまでの研究は既存の内因性分子の研究に終始しており、外因性分子も含めた研究はほとんどなされていませんでした。
    本研究では、脳由来エクソソーム内の外来微生物の同定、解析を通してバイオマーカーや創薬ターゲットとなる候補分子を見出すことを主たる目的としています。さらに、見出した分子による認知症分子基盤を構築し、病態研究を進めることで、新しい診断方法や創薬といった認知症の根本的な病態研究・診断・治療薬開発への科学的根拠を提供することも見据えています。
  5. 当該研究の方法
    5. 1. 試験デザイン
    ヒト脳由来エクソソームを用いた認知症関連外来微生物を同定するために、国立精神・神経医療研究センターバイオバンクに現在保管されている各15例程度のアルツハイマー病、レビー小体型認知症などの認知症疾患患者および対照コントロールの血漿あるいは血清検体におけるヒト脳由来エクソソームからDNAおよびRNAを抽出し、蛍光プローブ法による外来微生物DNA・RNAの一部の配列をターゲットとした定量ポリメラーゼ連鎖反応を施行することにより、認知症疾患に特異的な外来微生物の存在、同定を目指します。
    5. 2. 蛍光プローブ法により検出解析する脳由来エクソソーム内外来微生物
    以下の外来微生物の一部の遺伝子配列の検出について試験を行います。
    Viruses
    Human herpesvirus 1 
    Human herpesvirus 2
    Cytomegalovirus
    Epstein-Barr virus
    Varicella-zoster virus
    Human herpesvirus 6
    Hepatitis C virus
    Bacteria
    Chlamydia pneumoniae
    Helicobacter pylori
    Borrelia burgdorferi
    Treponema pallidum
    Porphyromonas gingivalis
    Fusobacterium nucleatum
    Prevotella intermedia 
    Periodontal bacteria
    Fungi
    Candida albicans
    Protozoa
    Toxoplasma gondii
    5. 3. 解析情報の公開
    本研究で解析された情報(遺伝情報等)のうち、広く医学研究に役立つ情報は公的なデータベースに登録します。個別の遺伝情報については一般公開されず、公的データベースの運営機関の定める審査を経た場合のみ、研究に利用されます。なお、この旨は国立精神・神経医療研究センターバイオバンク事業への同意説明の段階で説明を行っています。
    5. 4 研究で使用する生体情報・診療情報・検診情報
    • 登録時基本情報:生年月日、性別、身長、体重、発症時年齢、服薬情報等
    • 被験者の背景情報:既往症、家系、体重・血圧・脈拍など生体情報等
    • 疾患評価:認知機能検査データ(CDR・MMSE・FAB・ADAS-cog等)、神経画像データ(MRI・SPECT・Functional MRI・FDG-PET・アミロイドPET)、血液検査・脳脊髄液検査データ等
  6. 研究期間
    2019年8月14日 〜 2022年3月31日
  7. 対象となる方・研究対象者として選定された理由
    研究開発代表者の所属施設である国立精神・神経医療研究センターバイオバンク事業に同意し、本事業に登録された患者・健常者および共同研究機関においてゲノム解析・遺伝子解析が認められた試料・情報の提供者を対象とします。
  8. 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
    本研究は診療等に関与しない基礎研究であり、本研究に参加することにより新たに発生する危険性及び不利益は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
  9. 研究実施について同意しないこと及び同意を撤回することの自由について
    ご自身の試料・情報が当該課題に利用されることに、ご本人あるいはその代理人の方にご同意いただけない場合には、研究に使用する試料・情報からご本人にかかる試料・情報を削除いたしますので、16.に記載されているお問い合わせ先にご連絡ください。研究期間の途中であっても構いません。また、試料・情報の削除依頼をしたことにより、不利益となる取扱いを受けることはありません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等で既に公開されている場合などには解析結果を削除できない場合があります。
  10. 研究に関する情報公開の方法
    本掲示により研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については学会発表・論文投稿などを通じて行う予定でおります。
  11. 研究計画書等の閲覧について
    他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、16.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
  12. 個人情報等の取扱い
    この研究で使用する情報(上記 項目5.4)は、国立精神・神経医療研究センターバイオバンクから分譲を受けます。分譲される情報に含まれる個人を特定する事項(氏名、生年月日、住所、病院ID等)は、国立精神・神経医療研究センターバイオバンクの有する匿名化システムによって削除され、新たな符号が付されます。分譲以降はこの符号で管理されます。新たな符号と個人を結びつける対応表は国立精神・神経医療研究センターバイオバンクのみが保有し、研究倫理指針の定める個人情報管理者によって保護されます。
  13. 試料・情報の保管及び廃棄の方法
    国立精神・神経医療研究センターバイオバンクより分譲された試料・情報については、研究期間終了後5年もしくは学会や論文等での発表から5年の間、また、研究の資料・データは論文等発表後10年間、メディカルゲノムセンター 臨床ゲノム解析推進部にて施錠保管いたします。保管期間満了後は速やかに、生体試料についてはオートクレーブ等の滅菌処理、文書等印刷物はシュレッダー等を用いて破断後、電子情報については初期化あるいは物理的に破断後に廃棄いたします。
  14. 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
    研究資金源である日本医療研究開発機構 認知症研究開発事業に対する参加研究者の利益相反及び個人の収益等に関係はありません。
  15. 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
    12.に示されたように、研究者は研究対象者およびその関係者を知り得る機会はありませんが、間接的に問い合わせがある場合は、試験、解析が基礎研究の段階にあることをご理解いただいた上で対応いたします。
  16. この研究に関するお問い合わせ先
    〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
    TEL: 0562-46-2311 FAX: 0562-46-8594
    国立長寿医療研究センター メディカルゲノムセンター  臨床ゲノム解析推進部
    部長  尾崎 浩一