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栄養補給経路について考えてみませんか?

長寿NSTニュースレターVol.43
2024年1月

 栄養補給経路は経口摂取、経腸栄養(経鼻・胃ろう)、経静脈栄養(末梢静脈栄養・中心静脈栄養)等の選択肢があり、栄養管理には欠かせない重要な要素です。今号では、各栄養補給経路についてメリット・デメリットに注目し、ご紹介いたします。

経口摂取

 もっともふつうの栄養補給経路ですが、食べられなければ十分な栄養補給はできません。食べられなくなる要因は様々で、咀嚼・嚥下機能低下等の機能的な問題や食思不振により食べられない方も多くいます。食思不振の要因には、発熱や疼痛、嘔気・嘔吐などの病状によるものや、薬の副作用だけでなく、食環境が影響することが知られています。また、嗜好による問題も大きく、すべての患者が望む食べ物を提供することは、病院給食においては困難です。

経腸栄養(経鼻)

 経鼻胃管(NG チューブ)を使用した経腸栄養法で、腸を使用するため、生理的な栄養補給方法と言えます。ルートの確保や抜去は比較的簡単に行えますが、使用できる栄養剤は液体に限定されます。栄養剤の注入には、ある程度時間を要し、注入中はギャッジアップ姿勢の保持が必要です。不適切な姿勢や速度で注入すると、嘔吐や下痢などのトラブルを起こすことがあります。

経腸栄養(胃ろう)

 経鼻ルートと同様に腸を使用する生理的な補給方法です。すべての栄養剤を使用することが可能で、ミキサー食の注入も可能です。半固形タイプの栄養剤を用いることで、注入時間は短縮させることもできます。胃ろう造設には、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)等の手術が必要です。胃ろうは、ネガティブなイメージを持つ方も多く、胃ろうを希望しない患者も多い現状もあります。

末梢静脈栄養(PPN)

 非経口的栄養摂取経路として、もっとも使用されている栄養補給方法と言えます。末梢静脈ルートは、入院となった時点で確保されている患者も多いことも特徴です。しかし、PPN では500kcal/day 程度に限られ、また長期的には使用できません。そのため、PPN 単独での栄養管理よりは、経口摂取と併用することで十分な栄養補給が可能となります。また、高齢者では、ルート確保が困難となる患者も経験します。

中心静脈栄養(TPN)

 太い静脈にルートを確保するため、必要な栄養を補給することが可能です。高カロリー輸液とも言われ、高濃度の輸液を投与するため、高血糖に注意が必要です。また、福祉施設等に退院する場合に、TPN管理の患者は受け入れが難しいこともあります。皆さんは“When the gut works, use it !”という言葉を知っていますか?「腸が働いているなら,腸を使おう」と訳され、栄養管理の大原則として広く知られている言葉です。当院のNST でも、この考え方は大切にしています。しかし、もし受け持ち患者が経口摂取だけで、栄養補給が不十分になってしまったとしたら…皆さんはどの栄養補給方法を選択するでしょうか。ぜひ考えてみてください。