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「口腔機能低下症」をテーマに勉強会を開催しました

長寿NSTニュースレターVol.36
2019年3月

 毎年、恒例となりましたNST開催の「健康長寿と栄養の研修会」が平成31年2月19日に当センターの新外来棟7階多目的ホールで開催されましたので、講演の概要について御報告致します。

1.当院NSTの取り組みについて

 若松副栄養管理室長よりNST加算や今年の2月より導入された電子カルテでのExcelチャートを使用した「栄養治療実施計画書」について説明がありました。「栄養治療実施計画書」は毎週のNST活動で使用されており、多職種から患者の情報が記載されているものです。またNST加算(200点)を算定するための必要な施設基準についても提言されました。

2.特別講演『口腔機能低下症』について理解を深めよう

 藤田医科大学医学部歯科・口腔外科学講座主任教授の松尾浩一郎先生をお招きし口腔機能とフレイルの関係について様々な観点から御講演頂きました。講演では口腔機能と栄養の関係の話から始まり、今後の口腔機能低下症への対応のあり方と方向性について御教授して頂きました。フレイルに積極的に取り組んでいる当院のスタッフにとってはたいへん興味深いものでした。口腔と栄養の関連性については、高齢になると残存歯数が減り、その結果、摂食食品の制限が起こり、栄養バランスが崩れ栄養障害へとつながるとのことでした。次にオーラルフレイルと口腔機能低下症についての説明がありました。オーラルフレイルは滑舌低下、わずかな食べこぼし、噛めない食品が増えるなど口腔機能の脆弱性を示す用語であるが、「口腔機能低下症」は口腔衛生状態不良、口腔乾燥、咬合力低下、舌・口腔運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下を含む用語であり、歯科での対応・治療の必要があるとのことでした。「口腔機能低下症」の評価は日本老年歯科医学会より7項目示されており、細菌カウンタでの総微生物の評価や舌苔の視診、口腔水分計による口腔内乾燥の評価、舌圧測定、グミゼリーを用いた咀嚼能率検査など多岐にわたり、7項目の評価項目のうち4項目で問題が検出されると低栄養が有意に増加するとの説明がありました。そして正確に口腔内を評価するための日本語版口腔アセスメント【OHAT】の紹介がありました。【OHAT】は、Dr.JM Chalmersらによって作成され、松尾浩一郎先生により和訳されたものです。【OHAT】にて口腔内の問題を把握することで、適切なタイミングでの歯科への依頼や、その方の口腔の状態に合わせた標準化された口腔ケアプロトコールの運用がしやすくなるとのことでした(詳細については藤田医科大学のホームページ「口腔アセスメントツールとしてのOHATの活用」このリンクは別ウィンドウで開きますにて閲覧可能です)。補綴治療と栄養の改善については義歯により咀嚼は改善するが栄養は改善しないとのデータが示され栄養指導の重要性を提言されました。講演の最後では、口は栄養と感染の入り口、【OHAT】で行う口腔衛生管理について再度提言され、《食べるためには口腔機能がやっぱり必要》と強調されました。


今回のNST研修会は33名の参加があり、多くの職種の方に参加頂きました。今回のNST研修会が当センターでの患者の栄養改善、フレイルに対する対応への貢献となれば幸いです。