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血清マグネシウムの院内測定について

長寿NSTニュースレターVol.35
2018年12月

はじめに

 平成30年7月9日から血清マグネシウムが外部委託から院内で検査できるようになりました。単独でも測定できますが、「入院時スクリーニング」、「内科1」、「糖尿病2」、「骨」、「電解質2」の5つのセット項目に含まれています。保険点数は実施料11点、判断料は93~112点です(同時に測定した他項目による)。正常値は1.8~2.4mg/dlです。

マグネシウムの働きと動態

 マグネシウムは小腸より吸収され、腎臓で排出されます。約50~60%が骨に、残りの40%が筋肉や脳、神経に存在し、血中には1%未満しか存在しません。生体内では多くの酵素を活性化して生命維持に必要な様々な代謝に関与しています。

血清マグネシウム濃度異常をきたす病態

低マグネシウム血症

アルコール依存症、リフィーディング症候群、吸収不良症候群、利尿剤投与、高カルシウム血症、糖尿病、原発性アルドステロン症、SIADHなど

高マグネシウム血症

マグネシウム剤の過剰投与、慢性腎不全など

血清マグネシウム濃度異常による症候

低マグネシウム血症

食欲不振、悪心、嘔吐、人格変化、筋力低下、けいれん、見当識障害、不整脈など

高マグネシウム血症

悪心、嘔吐、筋力低下、呼吸抑制、意識障害、低血圧、心停止など

リフィーディング症候群による低マグネシウム血症

 高度の低栄養状態にある患者に、急速に十分量の栄養療法を始めることで発症するリフィーディング症候群ではインスリン分泌が急激に誘導され、糖・アミノ酸などの急激な細胞内流入とともにマグネシウムも細胞内に移動し、低マグネシウム血症になります。

酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症について

 酸化マグネシウム服用による高マグネシウム血症が報告され、添付文書の使用上の注意に記載されるようになりました。

症例

90代女性、慢性腎機能低下あり。酸化マグネシウム1日投与量は1.5g、1年以上の長期投与。経過:食欲不振が生じ、活気なく返答も不可となり入院。JCSⅡ-20、顔面潮紅と洞性徐脈(38/分)が認められた。血清クレアチニン2.17mg/dL。血清マグネシウム値6.1mg/dL。薬剤投与中止。計3回の血液透析により血清マグネシウム値は2.4mg/dLまで低下。血清クレアチニン値は1.3mg/dLまで低下。6日後意識障害などの異常所見は完全に消失した。(厚生労働省2008年11月「医薬品・医療機器等安全情報No.252」より一部改変)


 高齢者医療において遭遇しうる病態を紹介いたしました。酸化マグネシウム投与がある場合や、長期絶食後の栄養開始時には血清マグネシウム検査もご検討ください。