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改めて「たんぱく質」を考える~普段の食事から~

長寿NSTニュースレターVol.32
2017年12月

はじめに

 ロコモ・フレイル予防にはバランスの良い食生活が欠かせません。しかし、多忙な毎日の中、菓子パン1個だけ、おにぎり1個だけの簡単な食事で済ませていませんか?そこで、今回は食事バランスの改善に役立つたんぱく質摂取についてまとめてみました。

1日に必要なたんぱく質量

 人体においてたんぱく質は身体を構成する筋肉や内臓、ホルモン、酵素として存在しています。体たんぱく質は常に分解と合成を繰り返しており、一部は最終的に尿素として肝臓で代謝されて尿中に排泄されています。また、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち8種類の必須アミノ酸は人体で合成できません。そのため、常に体外からそれらを摂取する必要があります。日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、エネルギー比15~20%のたんぱく質摂取が推奨されており、18歳以上の男性で1日当たり60g、女性では50gが推奨量となっています。フレイルのある高齢者では1日のたんぱく質摂取の変動が大きかったという報告があります。また検証の余地はありますが、できるだけ血中のたんぱく質濃度を一定以上に保った方が筋肉維持には有効なようです。したがって毎食15~20g前後のたんぱく質を摂れれば理想的ということになります。

食品に含まれるたんぱく質の量

 たんぱく質はあらゆる食品に含まれています。多い食品の代表は肉・魚・卵・大豆類・乳製品ですが、穀類にも一定量のたんぱく質が含まれ、茶碗1杯のご飯200g(コンビニおにぎり2個分くらい)にたんぱく質は5.0g含まれています。しかし、ご飯のたんぱく質はリジンという必須アミノ酸が不足しているため、「おにぎり」だけの食事では不十分です。一方、肉・魚・卵・大豆類・乳製品は必須アミノ酸が十分に含まれています。卵1個(50g)あたりのたんぱく質は6.2g程度、納豆1パックでたんぱく質6.6gです。コンビニで選ぶなら、納豆巻きや温泉卵を追加すると良いですね。またエネルギーを十分取らなければ、体たんぱく質を分解してエネルギー源にしてしまいます。炭水化物を避けてたんぱく質の多い食品だけ必要エネルギーを確保することは腎機能への影響も考えると難しいため、ご飯やパン・麺などの炭水化物は必ず摂取した方が良いでしょう。

病院食から見るたんぱく質とエネルギー調整

 エネルギーコントロール食では基本的に主食量にてエネルギー調整を行っていますが、バランスよくエネルギー調整をするために23単位(1800kcal)以上の場合にはたんぱく質の食品を1つ増やしています。この場合、朝食に冷奴やチーズ1つ分を追加しおよそ80kcal、たんぱく質で8g前後の付加をして調節しています。

最後に

 高齢者のロコモ・フレイルの予防・改善のためには食事量や、たんぱく質摂取のみならず、バランスの取れた食事摂取も必要です。しかし、健康な私たちでもバランスの良い食事を毎日続けることは難しいと感じます。入院中や退院後のお食事について疑問があれば栄養管理部にご相談ください。

参考文献

  • 日本人の食事摂取基準(2015年版)
  • 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  • 葛谷雅文, 雨海照祥「フレイル 超高齢者社会における最重要課題と予防戦略」