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〜低栄養とサルコペニアの摂食嚥下障害〜

長寿NSTニュースレターVol.30
2017年3月

第2回健康長寿と栄養の研修会

 今回のニュースレターでは、平成29年2月10日に開催された「第2回健康長寿と栄養の研修会J の内容をご紹介いたします。まず始めに、摂食嚥下障害看護認定看護師の鈴木葉子看護師より、NST活動の紹介として3例の事例報告を行いました。続く特別講演では、玉名地域保健医療センター摂食嚥下栄養療法科 内科医長 前田圭介先生を講師にお招きし、「低栄養とサルコペニアの摂食嚥下障害」をテーマにご講演を頂きました。講演の概要を以下に記載します。

1.   低栄養について

 栄養介入は分かりやすい指標がなく、効果の実感が得られにくいため評価が難しい。血清アルブミン値は、さまざまな疾患の影響を受けるため、低栄養の診断項目にはならない。低栄養をスクリーニングするにはMNA-SF(簡易栄養状態評価表)が簡便で利用しやすい。

2 . サルコペニアの摂食嚥下障害

 摂食嚥下障害の原因として、従来は脳卒中や神経筋疾患などの神経学的異常が主な原因と考えられていたが、加齢による摂食嚥下障害(老嚥)が増えてきており、サルコペニア(筋肉減少症)の影響が示唆されている。サルコペニアとは、加齢や疾患により筋肉量が減少し、筋力または筋肉機能の表えを伴うことで、

  1. 加齢
  2. 低活動
  3. 低栄養
  4. 疾患

が原因として挙げられる。 誤嚥性肺炎を起こすと、経口摂取の禁止や安静などの管理が行われ、さらにサルコペニアが進行するという悪循環が起きる。

 その悪循環を断ち切るためにも、早期離床、早期経口摂取開始、栄養管理、肺炎治療が重要である。 また、サルコペニアの摂食嚥下障害として、肺炎後、整形外科手術後、廃用性、人工呼吸器管理後、経口摂取禁止などが主な原因である。サルコペニアによる摂食嚥下障害に対しては、リハビリ、栄養管理、口腔内の清掃としての口腔ケア、嚥下機能を維持するための口腔ケアが必要である。早期から経口摂取を開始するにあたっては、食形態の工夫、姿勢の工夫、薬剤の工夫を行い、安全に食べる工夫が重要である。

 当院でも、TPNなどで栄養状態を改善したことで嚥下機能も改善し食べられるようになった症例の経験があり、栄養介入が重要であることを再度学びました。また、サルコペニアの摂食嚥下障害に対して他職種で協働し対応していくことが重要であることを学びました。看護師の立場としては、早期離床、口腔ケア、安全な食事介助などの日常生活を通してサルコペニアによる摂食嚥下障害に対応していきたいと思います。

 今後ともNST活動にご協力お願いします。

前田圭介先生