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フレイル克服をめざした栄養・運動を考える 第6回サルコペニアと栄養の研修会

長寿NSTニュースレターVol.22
2015年3月

今回のニュースレターでは2014年12月9日に開催された「第6回サルコペニアと栄養の研修会」の内容を紹介します。講師には京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻近未来型人間健康科学融合ユニット教授荒井秀典先生(現、当センター副院長)をお招きし、「フレイル克服をめざした栄養・運動を考える」をテーマにご講演いただきました。これより先は、講演いただいた内容についてご紹介致します。
はじめに、日本における高齢者人口および要介護認定者数の推移が示され、また要介護となる原因(1位脳卒中、2位認知症、3位衰弱)が示されました。要介護者数は75歳以上から増加し、高齢になれば衰弱(フレイル)が原因の上位にあるとされました。フレイルは、現在世界的コンセンサスはないものの、身体的フレイルのみでなく、認知機能低下、抑うつ、社会性まで含めた概念として認知されつつあるとされています。体重減少、易疲労感、筋力低下、歩行速度低下、身体活動性の低下、上記3項目以上が当てはまるフレイル高齢者の5年生存率は約70%とされ、身近なところでは転倒や入院、入院期間の長期化などが問題となるとされました。フレイルの原因として、低栄養、polypharmacy、うっ血性心不全、疼痛、貧血、糖尿病、骨粗鬆症、サルコペニアがあげられ、なかでもサルコペニアについて詳細にご説明いただきました。

身体的フレイルともされるサルコペニアについては、筋肉量低下のみでなく、機能面(歩行速度)も重視した評価が必要であるとし、昨年にはアジア基準であるAWGS(Asian Working Group for Sarcopenia)が発表されたことも紹介いただきました。介入方法としては、栄養、運動があげられ、栄養介入としてあげられたのが蛋白質とビタミンD(V.D)でした。蛋白質およびV.Dの摂取量と筋肉量との関連はあるとされ、摂取量が少ない群においては、要介護となるのも早いとされました。具体的なものについては、蛋白質は肉や魚、乳製品、大豆製品などから1.2~1.5g/kg/day、V.Dは魚や椎茸(きのこ類)、卵などから6.5μg/dayを勧められました。更にロイシン代謝産物であるHMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)を摂取することで、がん患者の除脂肪体重増加(カヘキシア予防効果)やベッド安静患者における効果もあると紹介いただきました。運動介入においては、レジスタントトレーニングや有酸素運動の実際の介入効果を示され、先の栄養介入と組み合わせることで、筋肉量増加、歩行速度の改善、転倒抑制効果がより増加するとして、サルコペニア対策としては、蛋白質、V.Dを中心とした栄養療法、レジスタントトレーニングを中心とした運動療法が有効であると、まとめていただきました。

フレイル、サルコペニア患者においてもNST介入の対象となります。お困りのことがございましたらNSTへの依頼をご検討ください。
「第6回サルコペニアと栄養の研修会」は、センター内外の96名の方々にご参加頂きました。有難うございました。