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2014年度 第一回NST勉強会報告 -栄養療法の基礎・経腸栄養剤について-

長寿NSTニュースレターVol.20
2014年8月

8月7日に開催されたNST勉強会について、台風による延期にも関わらず38名の参加をいただきました。有難うございます。
勉強会の内容は、梅村医師より「栄養療法の基礎」、木下臨床栄養主任より「経腸栄養剤」、西原医師より「NST介入症例」について講義をさせていただきましたので紹介いたします。

栄養療法には、経口栄養法、経腸栄養法、静脈栄養法の3つの方法があり、栄養投与ルートの選択の大原則として“腸が働いているなら、腸を使う”ということが挙げられます。この理由として、腸管粘膜の萎縮の予防、バクテリアルトランスロケーションの予防、全身の免疫能の維持などの様々な利点があります。これら背景には、腸管に約7割の免疫細胞が集結しているため、腸粘膜萎縮によって腸管免疫の低下、腸管の防御機構が破綻して腸管内に常在する細菌やその毒素が体内に侵入する、バクテリアルトランスロケーションを引き起こす可能性があるからです。経腸栄養法はこれらの予防にもつながり、長期の絶食状態を避け、早期に腸管の使用を開始することが重要といえます。絶食期間が長い場合は、腸粘膜の萎縮を防止するGFOを投与することが望ましいと考えられています。また、経腸栄養が不可能な場合、経腸栄養のみでは必要な栄養量の投与が困難な場合に静脈栄養の適用となります。

経腸栄養剤には、消化を必要とする半消化態栄養剤と、消化をほとんど必要としない成分栄養剤、これらの中間にあたる消化態栄養剤の3つに大別されます。半消化態栄養剤は浸透圧が低く、脂質を含み消化を必要とする一方で、成分栄養剤は浸透圧が高く、脂質を含まないため長期使用の場合には脂質欠乏に留意し脂肪乳剤を併用する必要があります。また、経腸栄養剤には、医薬品と食品があり、医薬品は保険適応のため安価であり、食品は種類が豊富であるメリットが挙げられ、病態や消化吸収能等に配慮した経腸栄養剤の選択が可能となります。

適切な栄養投与方法・栄養量(エネルギー、たんぱく質、脂質、糖質、水分、ビタミン、微量元素)を検討し、介入以後の栄養状態を再評価していくことが重要となります。

症例発表では、認知症がベースにあり、十二指腸狭窄による食物嘔吐、それを契機に拒食となり、施設と病院間で入退院を繰り返した患者様を紹介しました。介入前は中心静脈による栄養管理を行ってきましたが、NST介入により適正な栄養状態の評価・栄養療法の選択、狭窄部を考慮した食形態の変更、食思不振を引き起こす可能性のある薬剤の中止、リハ介入による意欲向上を図るなど多方面から検討し、最終的には、経口から必要栄養量を摂取でき、中心静脈栄養の離脱するまでとなり、回復期病院へ転院となりました。

今回の症例のように、多職種が介入することで、その患者様のゴールに向けて多方面から検討することができます。栄養面でお困りの患者様がいらっしゃいましたら、NSTにご依頼を頂き、チームの一員となって一緒に取り組みましょう。