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ロコモティブシンドロームの予防と改善における運動と栄養の重要性と実際

長寿NSTニュースレターVol.19
2014年4月

講師 石橋英明先生

今回のニュースレターでは2014年2月10日に開催された「第5回サルコペニアと栄養の研修会」の内容を紹介します。
まず情報提供として、当センターの今泉管理栄養士より、「嚥下食学会分類2013と当センター嚥下食の改定について」の解説がありました。特別講演は、医療法人一心会伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生をお招きし、「ロコモティブシンドロームの予防と改善における運動と栄養の重要性と実際」についてご講演いただきました。
これより先は、講演いただいた内容についてご紹介致します。

寝たきり・要介護になる原因は、骨折・関節疾患(23%)、脳卒中(22%)、認知症(15%)の上位3つで6割を占めており、これらの予防が重要です。平成19年に日本整形外科学会により「ロコモティブシンドローム」という概念が提唱されました。ロコモティブシンドロームとは、「運動器の障害のため、移動能力の低下をきたして、要介護のリスクが高くなっている状態」を言います(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)。

将来ロコモとなり得る可能性については「ロコモ度テスト」により判定することができます。ロコモ度テストは、1)立ち上がりテスト、2)2ステップテスト、3)ロコモ25(25項目の自記式質問票)の3つのテストから成っており、それぞれを年代別平均値と比較することにより評価します。たとえば、40代~60代の方の多くが片脚で40cmの高さの台から立ち上がることができるのですが、これができないと将来ロコモになる可能性が高いと判定されるわけです(一般的な食卓椅子は42~45cm程度、低めのソファは35-40cm程度です)。

将来のロコモを防ぐ運動は「ロコモーション・トレーニング(略称ロコトレ)」と呼ばれます。ロコトレの代表的なものは、片足立ちとスクワットです。片足立ちは左右1分間ずつ1日3回行います。スクワットは5秒かけて下がり5秒かけて上がる動作を、1セット6~12回、1日2~3セットするようにします。スクワットの姿勢は、両下腿を垂直にして膝が前に出ないようにすることが大切です。

ロコモ対策には食生活も重要です。カルシウムだけでなく、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンKも摂取するようにしましょう。たんぱく質は必須アミノ酸を中心としたものがよく、ビタミンB6を一緒に摂ると効果的とされています。

皆さんもそれぞれの立場からロコモの普及・啓発を行い、健康寿命の延伸を目指しましょう。

「第5回サルコペニアと栄養の研修会」は、センター内外の77名の方々にご参加頂きました。有難うございました。

~学会発表報告~

JSPEN2014(2014/2/27~28)にて、若松主任栄養士が当センターNSTとして、「高齢者における基礎エネルギー消費量(BEE)の算出方法の違いによる乖離に関する検討(第二報)」についてPS発表しました