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経腸栄養剤との相互作用

長寿NSTニュースレターVol.18
2014年1月

栄養成分と薬物の相互作用として、ワルファリン(ワーファリン®)とビタミンK(納豆等)、チラミン(チーズ等)とセレギリン(エフピー®)やイソニアジド(イスコチン®)等があります。これらは薬理学的に作用が増強したり拮抗したりすることで起こる相互作用です。

一方、経腸栄養の投与方法によって起こる相互作用もありますので、以下にご紹介致します。

経腸栄養は、通常の食事に比べ、時間をかけて投与されます。通常の食事の場合、摂取直後はpH6といったん胃酸が中和され、その後速やかに強酸性領域に戻ります。しかし、経腸栄養時は注入時間中に胃酸が経腸栄養剤により中和され高い胃内pHを維持することから、消化管内のpHが食事の際と異なります。そのため胃酸に不安定なリファンピシン等では吸収量が減少します。一方、胃酸により安定化するカルバマゼピン(テグレトール®)等では吸収が増加することが報告されています。

また、多くの薬は小腸で吸収されますが、経腸栄養により小腸への薬物の流入速度が抑制されます。その結果、吸収部位で貯留が起こり、吸収量が増大する薬物としてジゴキシン(ハーフジゴキシン®)があります。また、経腸栄養剤の種類により吸収度が異なることも報告されています。

カルバマゼピンやジゴキシンは非常に治療域が狭く、薬物血中濃度をモニタリングする必要のある薬物です。このような薬物の場合、経腸栄養での実施や変更時には注意が必要です。このため必要に応じてNSTラウンドで薬物血中濃度測定をお願いすることがあります。一見、栄養管理を逸脱した提言と思われるかもしれませんが、ご理解をお願い致します。

今回ご紹介した内容は、まだまだ調査途上であり、知られていないことがたくさんあります。経腸栄養剤に変更した際に、効果の増強や減弱、副作用の出現が認められた場合にはご相談ください。