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第4回サルコペニア研修会

長寿NSTニュースレターVol.15
2013年4月

今回のニュースレターでは2013年1月17日に開催された「第4回サルコペニアと栄養の研修会」の内容を紹介します。

三鬼達人先生

若林秀隆先生

まず情報提供として、藤田保健衛生大学病院の摂食・嚥下障害認定看護師である三鬼達人先生が、「経鼻胃管栄養チューブから実施できる半固形化栄養法の実際」と題して半固形栄養の実際に加えて問題点を解決するためのご自身の研究結果を詳しく解説されました。特に適切な粘度や注入方法を検討するために、さまざまな条件下で綿密に物性の測定を行われ、現場発の臨床研究としてたいへん参考になりました。

特別講演の講師は、横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科の若林秀隆先生でした。若林先生はリハビリテーション栄養(リハ栄養)の第一人者で、この分野を全国的に展開しておられます。中心におられる方です。まず、リハ栄養とは、栄養状態を加味して国際生活機能分類(ICF)で評価を行い、障がい者や高齢者の機能、活動、社会参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うこと、と定義され、「スポーツ栄養のリハ版」と位置付けられました。
老年医学の分野では、虚弱(Frailty)の状態を評価し、それを最大限改善させるための栄養管理と言えるでしょう。一方、高齢者医療においてリハ栄養の重要性を訴えなければならない背景の一つに、高齢者で低栄養状態にある方の割合が一般病院よりもリハ病院のほうが多かったという報告があります。高齢者のリハにおいて栄養管理がおろそかになりがちである現実を反映しています。低栄養の患者に積極的なリハを行うことは、逆効果の可能性もあり、「栄養ケアなくしてリハなし」と、まとめられました。
サルコペニアについてはその定義や診断基準について解説されたあと、飢餓や悪液質の病態を比較して、参考にし、栄養管理の重要性を説明されました。加齢に伴う筋肉量低下は「狭義」のサルコペニアであり、「広義」のサルコペニアはすべての原因による筋肉量・筋力・身体機能の低下を指し、ミオペニアとも呼ばれます。サルコペニアにおいても原発性と続発性を区別することが必要です。サルコペニアはいわゆる寝たきりのみならず、嚥下障害や呼吸障害の原因にもなります。老年症候群の悪循環を断つ上でもサルコペニアの予防や管理が重要であることが強調されました。

「第4回サルコペニアと栄養の研修会」には、センター内外の138名の方々にご参加頂きました。今回の研修会も、アボットジャパン株式会社に協賛を頂きました。