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摂食嚥下障害:栄養とリハビリテーション

長寿NSTニュースレターVol.13
2012年10月

嚥下障害の原因として、脳血管障害による麻痺がもっとも多いことはよく知られています。その次に多いのがおそらく筋萎縮になると思います。

筋萎縮の原因は、禁食などによる廃用性筋萎縮、不適切な栄養管理によるstarvation、加齢により生じる筋肉減少症であるサルコペニア、癌や慢性閉塞性肺疾患などに伴うcachexia、筋萎縮性側索硬化症といった神経内科的な筋疾患などがあります。
原因によって筋萎縮への対応は異なりますが、高齢者の場合、多くの原因を重複していることが少なくありません。さらに嚥下障害は筋肉の衰えからくることもあり、痩せてくれば、当然、筋萎縮による嚥下障害が起こる可能性が高まります。
そこで、何が原因で筋萎縮が起こっているかを見極めて、それに見合った栄養管理、リハビリテーションを行うことが、これからの超高齢社会に向けて重要になります。すなわち、誤嚥性肺炎による嚥下障害やターミナルとしての嚥下障害への対処が、重要になってくると考えられます。

実際の臨床では脳血管障害患者だけでなくこうした嚥下障害の方が増えており、しかも、脳血管障害による嚥下障害よりも対処が難しい場合が多いのが現状です。病院では、摂食・嚥下の回復の見込みがあるか、胃瘻にすべきか、あるいは予後が不良でも楽しみ程度に食べられないかといった嚥下チームやNSTでも対応に悩む患者さんが少なくないと思います。
不適切な栄養管理だけで痩せてきて、嚥下筋の筋萎縮が起こっているのであれば、適切な栄養管理を行えば回復するはずですが、実際には他の筋萎縮の原因も重なっていることが多い現状があります。この場合、栄養管理と同時にリハビリテーションを行うことが大切です。
NSTによる栄養管理において、投与経路を検討する場合、一般的にASPENのガイドラインを参考に、腸が使えるなら使おうという大前提があります。しかし患者さんの立場からすると「口から食べたい」という思いがあります。このような場合、摂食・嚥下や栄養のアセスメントを行って、たとえば嚥下障害の原因が不適切な栄養管理であれば、栄養管理を徹底的に重視します。
一方、NSTで適切な栄養管理がされていて栄養状態は改善したが、サルコペニアや廃用性筋萎縮による嚥下障害のために食べられないという場合は、筋力トレーニングやリハビリテーションをメインとし、認知機能低下が原因と思われる場合は精神賦活機能の改善を考えます。
基本的には段階的摂食訓練、その人の嚥下機能に見合った食事の形態・姿勢・摂食介助法を選ぶことが重要です。

本年度よりNSTに新たに機能回復診療部のST(言語聴覚士)がメンバーに加わりました。摂食嚥下機能に関する診断的評価(嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査、各種パフォーマンステスト)、治療的評価(訓練法の選択)を行っております。NSTを通して摂食嚥下リハビリテーションを充実できればと考えています。摂食嚥下困難な患者さんへの対処について何かお困りの場合は御相談ください。