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栄養法の基礎知識

長寿NSTニュースレターVol.9
2011年10月

日常診療の中で患者の栄養管理方法は治療方針などにより選択されています。しかし、その方法は複数有り、特徴も様々です。今回のニュースレターでは各栄養法の特徴と選択方法、特に経静脈栄養法についてまとめてみました。

栄養管理の方法は大きく経腸栄養法と経静脈栄養法とに分けられます。また、経腸栄養法は経口栄養法と経管栄養法に、経静脈栄養法は末梢静脈栄養法(PPN:Peripheral Parenteral Nutrition)と中心静脈栄養法(TPN:Total Parenteral Nutrition)に分けられます。基本的に栄養法選択の基準は、消化管が安全に使用できるかできないか否かです。消化管が安全に使用できる場合は経腸栄養法が第1選択となります。消化管が使用できない、または誤嚥の程度が著しいなど使用しない方が望ましい場合には静脈栄養法を選択します。

PPNの特徴

PPNで投与できるエネルギー量は約840kcal/日、脂肪乳剤を併用する場合は約1200kcal/日です。それ以上のエネルギーを点滴で入れようとすると輸液の濃度に関係する浸透圧が末梢静脈の許容範囲を超えてしまうため血管痛などの障害を起こしやすくなってしまいます。このため長期のPPNでは栄養状態が低下するおそれがあるため、2週間以内の栄養維持に用いられます。

PPNはTPNに比べて特別な手技を必要とせず、カテーテル穿刺や長期留置に伴う合併症も少ないです。しかし、十分なエネルギーの投与ができない、血管痛や静脈炎が起こりやすい、静脈差し替えが頻回になる、腕などが自由にならないなどの注意点があります。

TPNの特徴

TPNは輸液が血流の多い中心静脈へ入り、すぐに希釈されるために浸透圧の影響を受けにくく高濃度の輸液を投与が可能で必要なエネルギー量や栄養素を投与できます。しかし、カテーテル挿入時における気胸などの合併症やビタミンB1不足による乳酸アシドーシス、カテーテルからの感染症、腸粘膜が萎縮することで粘膜防御機構が破綻し、腸内細菌が腸管粘膜上皮のバリアを超えて感染を引起こす、bacterial translocationなどの注意点があります。

経腸栄養法と静脈栄養法の違い

  経腸栄養 静脈栄養(PPN) 静脈栄養(TPN)
手技・管理 複雑 簡単 複雑
感染性合併症 少ない*1 少ない あり
消化能 製剤により必要*2 不要 不要
吸収能 必要 不要 不要
消化器系合併症*3 あり なし なし
代謝性合併症*4 少ない まれ あり
腸粘膜萎縮 少ない 絶食下ではあり 絶食下ではあり
bacterial translocation 少ない 絶食下ではあり 絶食下ではあり

「チーム医療推進のための研修(NST)」を受講

2011年9月5日から9日の5日間、名古屋医療センターで行われた国立病院機構東海北陸ブロック「チーム医療推進のための研修(NST)」を受講してきました。
研修内容は受講者がチーム医療での専門的役割発揮に必要な問題・課題を認識できることでよりよい栄養管理を実施できることを目的に構成されていました。
そのため講義は多職種の代表から受けることができ、それぞれの職種からの視点や考えを知ることができました。
また、講義以外に診察や検査、処置などに立ち会える機会も多く、ふだん見ることができない現場を知ることもできました。研修は全体的に実際の業務に沿ったもので、即戦力となる充実したものでした。
この研修で習得できた知識などをこれからの日常業務に活かしていきたいと思います。薬剤科 吉末泰教