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サルコペニアと栄養:葛谷教授のご講演から

長寿NSTニュースレターVol.8
2011年7月

2011516日、NST長寿医療研究センター内で続けられているサルコペニアに関する勉強会が共催して1サルコペニアと栄養の研修会を開催しました。
本年度最初のNST勉強会を兼ねていましたので、冒頭当センターにおけるNST活動の紹介がありました。引き続く講演は名古屋大学老年科教授の葛谷雅文先生にお願いしました。
サルコペニアと栄養については前号のニュースレターでも取り上げましたが、サルコペニアの問題が世界的にクローズアップされていること栄養、リハビリ、基礎医学、老年医学を含む集学的な対処、いわば「知」の蓄積が必要であること、今後当センターから情報を発信していくためにはこの分野における第一線の先生からお話しをうかがうことも必要であること、など多くの理由から、今回のテーマが決定されました。

ご講演ではまず、高齢者にける栄養不良の影響とその実態についてのお話しがあり、NST活動の意義を確認していただく内容ともなりました。サルコペニアについては定義と診断方法がいまだ確立されていない部分が残っていますが、筋肉量と筋力・身体能力の両方を勘案したヨーロッパのコンセンサスが紹介されました。また、虚弱frailty)は高齢者医療において重要なキーワードですが、Dr.Friedの説を元にサルコペニアとの関連を解説してくださいました。
さて、サルコペニアの発症機序にかかわる栄養因子としては、蛋白質摂取量とアミノ酸が重要なものです。サルコペニアの予防には、十分な蛋白質の摂取が必要ですが、適切な運動が欠かせないこと示されました例、New EnglJ Med.1994 330:1769-75)。さらにアミノ酸の中でもロイシンとその代謝産物β-hydroxy-β-methylbutylate;HMB)の作用機序については細胞内の情報伝達系レベルでの研究も進んでいることが紹介されました。また、低アルブミン血症やビタミンD不足の重要性など、身近な栄養素についても再認識させていただき、たいへん貴重な研修会となりました。

今回の研修会にはセンター外からの参加者も含めて94名(関係者含む)の方にご参加いただき、この領域への関心の深さが感じられました。
最後になりましたが、本研修会にご協賛いただきましたアボットジャパン株式会社様に深く感謝申し上げます。