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サルコペニアと栄養について

長寿NSTニュースレターVol.7
2011年4月

サルコペニアは筋肉の量と質(機能)の両方が低下した状態であり、高齢者の自立をさまたげる大きな要因の一つです。
その定義や診断基準、さらには予防と治療の手段についてはさかんに研究されているところです。
サルコペニアの原因としては、運動不足、栄養障害、サイトカイン系の異常、酸化ストレス、成長ホルモンや性ホルモンの異常などさまざまなものがお互いに関連しあって作用しています。
ここでは栄養の面から考えてみたいと思います。

高齢者における低栄養の要因に身体的側面として、食欲不振(担癌状態を含む)、認知症、うつ状態、うつ病、味覚・嗅覚の減退、食欲調整ホルモンの変化、唾液分泌の低下、咀嚼力の低下、嚥下障害、消化管機能の低下。そして社会・経済的側面が高齢者における低栄養状態につながる図

高齢者における栄養障害の要因は多岐にわたり、低栄養状態が高齢者におけるさまざまな機能障害の原因となります(図)。
低栄養状態がもたらす機能障害としては、「衰弱」のみならず、免疫力の低下、骨の脆弱性、そしてサルコペニアが含まれます。
さらにこれらは、易感染性や低活動性、易転倒性などを介してADLの低下やQOLの悪化をもたらします。
一方、サルコペニアの評価が低栄養状態の指標ともなるため、上腕周囲長と皮下脂肪厚から筋肉量を推定する筋肉量の簡易的評価はNSTの現場でも活用されています。

高齢者におけるサルコペニアの要因として、総蛋白質摂取量が不十分であることが考えられます。
さらには、筋肉量を保つためには推奨一日摂取量を上回る蛋白質の摂取が必要であるという報告もあります。
これらのことから十分な蛋白質摂取量を確保することが高齢者におけるサルコペニアの予防や治療の第一歩であることがうかがえます。
しかしながら高齢者を対象とする無作為化比較試験の結果からは、蛋白質や摂取エネルギーを増やすことが必ずしも明らかな機能維持・向上に結びつくとはいえず、栄養学的介入の方法とともにその評価方法についてさらなる検討が必要です。

アミノ酸は蛋白質の材料となるものであり、筋肉に限らず身体の構造ならびに機能を保つために必要な物質です。
一方、アミノ酸の中には細胞内のシグナル伝達においても重要な役割を果たすものがあり、サルコペニアとの関連ではロイシンが注目されています。
このような点やビタミンDの役割など、サルコペニアと栄養との関連を考える上でたいへん興味深い話題がたくさんあるようです。

2011日本静脈経腸栄養学会

今年も長寿医療研究センターNSTが発表!!(2011年2月17日~18日会場:名古屋国際会議場)

NST薬剤師の小出先生が「NST依頼のあった認知症患者の問題点とその対応」を発表。
今回で3年連続の発表となり、今後も長寿NSTの院外活動の一環として継続していく所存です。
当学会は2日間で8700人規模の参加者となり過去最高を記録。