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血清アルブミンについて

長寿ニュースレターVol.6
2011年1月

NST活動において、血清アルブミン値は栄養管理状態を識別するための指標として重要な項目のひとつです。
健常人では、肝臓の実質細胞で一日に体重1Kgあたり100~200mg合成され(体重70kgの成人で一日約15g)血液中に分泌される蛋白質で、その量は肝臓が日々産生するタンパク質の約25%、分泌される量の50%に相当します。
そして、筋肉・皮膚・肝臓・腎臓など多くの部位で一日に約4%が分解されてアミノ酸として再利用されます。
一方、半減期は約3週間と長いためその血中レベルはsteady-state(恒常状態)における肝合成能を反映すると考えられています。

アルブミン以外の血漿タンパク質であるグロブリンは糖蛋白質とよばれ、その機能は特異的であるのに対しアルブミンは非特異的で多彩な機能を持っています。つまり、遊離脂肪酸やビリルビン、ある種のホルモンなど水にとけない物質や、カルシウムや銅・亜鉛といった金属、投与された薬物、更には代謝産物などと結合して目的の臓器に運ぶ輸送タンパク質としての働き、貯蔵タンパク質としての働き、浸透圧を保つ働き、酸化還元緩衝作用、酵素的作用などなど・・・私たちの生体の恒常性を維持するために非常に大切な役割を担っているのです。

図1 ヒト血清アルブミンの立体構造

図1はヒト血清アルブミンの立体構造をイメージしたものです。
ヒト血清アルブミンは585個のアミノ酸残基からなる単純蛋白質で、分子量は約66.5KDa(キロダルトン)です。
折り重なった3つの相同領域(ドメイン)からなっていて、

  • ドメインI(1~195残基)
  • ドメインII(196~383残基)
  • ドメインIII(384~585残基)

のそれぞれはサブドメインA,Bをもち、サブドメインII Aに位置するサイトI とサブドメインIII Aに位置するサイトII は多くの薬物が結合する”主たる結合部位”とされています。
また、金属の結合サイトはN末端に在ります。

分子内には17対のジスルフィド(S-S)結合を有し,N末端から34番目にあるシステイン残基(Cys34)のみが遊離チオール(SH)基を有していることが立体構造解析によって明らかにされています。

この、遊離チオール基がFreeになっているものを”還元型アルブミン(HMA)”とよび、ジスルフィド形成しているものを”酸化型アルブミン(HNA)”とよびます。
アルブミンに占めるHMAの比率(f HMA)は腎疾患や肝疾患、加齢などによって低下します。
f HMAの動態が生体内の酸化・還元能を反映していることから、アルブミン自体は臨床検査では非常にポピュラーな項目ですが、その解明がすすむにつれ新たな検査意義をもつ項目として発展して行くことでしょう。

当院NST専門療法士認定試験受験者全員合格!

去る平成22年11月14日に行われたNST専門療法士認定試験にて、当院NSTメンバー3名(金子栄養管理室長・宮城管理栄養士・村山第一生理検査主任)が受験し、見事!全員合格!!という結果を得ました。このことは、NSTの専門的知識の向上と長寿NST活動の質向上につながる朗報となりました。これを契機に、さらなる認定取得者が広がるよう活動していきます。