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関節リウマチ(RA)とは、免疫の異常により関節に炎症が起こり、関節の痛みや腫れが生じる病気です。
RAの治療は21世紀に入り格段に進歩し、早期に診断を受け、適切な治療を受けていれば、病気の進行を抑えることができるようになりました。しかし、高齢の患者さんも同じ治療法で良いのか、信頼性のある情報が乏しく、主治医が工夫しながら進めているのが現状です。
本研究では、わが国のRA診療のエキスパートが集まり、65歳以上の高齢発症のリウマチ患者さんの治療に関する正確な情報をデータベースに集めます。どのような治療を行うとどのくらいの効果が得られるのか、安全性はどうか、などを詳しく調べ、エビデンスに基づく最適な治療方法を提案することを目指します。
なぜ高齢で発症する方が増えているのか。加齢による免疫機能の変化(免疫老化)が原因の一つとして考えられています。 高齢で発症するRAは、壮中年期の発症例に比べ、いくつか異なる特徴があることが知られています(表1)。
1. | 男性患者が比較的多い*。 |
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2. | 急性発症が多い。 |
3. | 肩などの大関節から症状が現れる人が多い。 |
4. | 血沈やCRPなどの炎症性マーカーの検査値が高い人が多い。 |
5. |
リウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性の場合が多い。 |
Boots et al., Nature Reviews Rheumatology. 9, 604-613 (2013)
*本邦では、20~59歳では女性患者の有病率は男性の3.67~3.94倍ですが、60~79歳では3倍未満と報告されています(Nakajima et al., Int J Rheum Dis. 2020 Dec;23(12):1676-1684.関節リウマチ診療ガイドライン2020)
RAの標準治療薬とされるメトトレキサートおよび生物学的製剤の使用者割合は、50歳代以降、年齢と共に低くなっています(図1)。
図1. 年齢とリウマチ治療薬の種類別使用割合
高齢の患者さんは腎機能や肝機能の低下や、様々な合併症をお持ちのことが多く、重篤な副作用を起こしやすいのは確かです。しかし観察研究の結果では、これらのRA治療薬は、高齢発症例でも十分有効であると報告されています(Serhal et al., Autoimmunity Reviews 19 (2020) 102528)。
単に年齢で決めるのではなく、お一人お一人の状態を丁寧に調べて総合的に評価し、最適な治療法を慎重に選ぶ必要があります。
RAの治療は患者と医師が共同して決定します。
長期にわたって生活の質(QOL)を良い状態に保つためには、関節の炎症を完全に止めること*を目標として、RAと診断されたらなるべく早期に治療を開始することが重要です。
目標が達成できるまでは、定期的に疾患活動性のチェックを行い、3ヶ月毎に治療の見直しを行います。(T2Tについて、もっと詳しく知りたい方はhttps://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm400/rm400_t2t.html)
*関節の炎症を完全に止め、痛みや腫れなどの症状がほとんどない状態になることを、臨床的寛解と言います。
本研究の分担研究・協力機関において、リウマチに保険適応のある薬物治療を新たに開始した方のうち、65歳以上で関節リウマチを発症した方にご協力をお願いしています。
本研究では、アンケートの回答と治療に関する情報等を、初回登録時から3か月、6か月、1年後、1年半後、以降は年に1 回、経過を追跡調査します。また、主な治療薬を変更した後は、診療情報を適宜追加で収集します。なお、調査項目が追加されることがあります。
初回登録時 | 3か月後 6か月後 |
1年後 | 1年半後 | 2年後 | 3年後 | |
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診療情報 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
アンケート | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
身体機能・認知機能 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
*身体機能評価は一部施設で行います。
単なる検査値だけでなく、心の健康や生活の状況、身体機能も含めて総合的な評価を行い、治療方針を決定します。
診療情報 | 生年月、性別、診断年月、使用薬剤、自覚・他覚所見、臨床検査値、既往歴・合併症、放射線検査、手術歴、身長、体重 |
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アンケート | 主観的健康観、社会参加状況、抑うつ、運動習慣、フレイル、サルコペニアに関する質問 |
身体機能測定 | 握力、体組成、歩行速度、5回立ち座り |
認知機能評価 | MMSE |