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令和3年度

介護施設入所中および一般病院入院中の認知症者に対する新型コロナ感染症の与える影響に関する調査研究事業

目的

 介護施設入所中および一般病院入院中の認知症者に対する新型コロナ感染症の与える影響に関して実態調査を行うとともに、好ましくない影響を軽減する方策についても調査・検討を行う。

方法

  1. 実態調査の内容・方法の検討:委員会を組織し、調査の内容・方法につき検討を行う。
  2. 調査を実施する。
  3. 調査の結果を踏まえ、その結果について委員会で検討を行い、推奨できる方策の提案をとりまとめる。

結果および考察

(1)介護老人保健施設、介護老人福祉施設、認知症グループホームへの調査

  1. 新型コロナウイルス感染予防のための家族との面会制限と外出・外泊制限が認知症の人の認知機能、日常生活機能、精神的安定、運動機能、家族の安心感に好ましくない影響を与えたと答えた事業所が多かった。
  2. 好ましくない影響を避けるための取り組みとしては、オンライン面会やガラス越しの面会が多く行われ、認知症の人の認知機能維持、精神的安定、家族の不安緩和に有効であるとの回答が多かった。認知症の人はオンライン端末の画面に家族が映っていることを認識しにくい、ガラス越しの面会では声が聞こえにくいとの記述も多かった。PCR陰性・ワクチン接種済みなどの条件付きの対面面会を実施した事業所もあり、有効との回答がオンライン面会やガラス越しの面会よりも多かった。個別又は少人数での身体的リハビリテーション、認知リハビリテーションともに認知機能・日常生活機能・運動機能・精神的安定に有効であるとの回答が多かった。

(2)救急告示病院への調査

  1. 新型コロナウイルス感染症専用病床を有する病院では81%で、認知症があり新型コロナウイルス感染症を来した患者の入院診療を行ったと回答した。
  2. 認知症のある新型コロナウイルス感染症患者への対応に関しては「病院スタッフが患者の不安や混乱を取り除くように努める」「病院スタッフが患者に繰り返し説明する」が多かったが、「身体拘束」「薬物による鎮静」「自力で部屋から出られないようにする」といった対応も一定程度みられた。
  3. 感染予防対策としては家族との面会制限、外出・外泊制限が最も多かった。好ましくない影響を避けるための取り組みではオンライン面会、電話での通話が多かった。

認知症予防に資する取組の実践に向けたガイドラインの作成に関する調査研究事業

事業目的

 令和元年度ならびに令和2年度の老人保健健康増進等事業の「認知症予防に資する効果的な取り組み事業に関する調査研究事業」において実施した、全国の自治体における認知症予防の取組に関する質問紙調査や聞き取り調査の結果では、多くの自治体において介護予防の一環として認知症予防に資する取組(特に運動、社会交流)が行われていることが示された。しかし、WHOガイドラインにある推奨項目が取組・事業に活かされているかは不明であった。
 そこで、本事業では、一般介護予防や総合事業の他、健康づくり等も含めた「認知症予防」に資する取組の実施状況について全国調査を実施、実態を把握・整理するとともに、取組を効果的に実施するための企画・調整・実施・評価におけるポイント等について、検討委員会にて議論を行い、その整理を行うとともに、自治体に向けた手引き(ガイドライン)を作成し、手関係機関への周知を行うことを目的とした。

実施内容

 本研究事業を進めるにあたり、有識者と行政職員、地域包括支援センター職員、介護予防事業を支援する職域団体、介護保険事業所職員の計9名から成る検討委員会を設置した。また、オブザーバーとして、厚生労働省老健局及び関東信越厚生局地域包括ケア推進課の協力を頂いた。事業内容は以下の4点である。

  1. 認知症予防の取組に関する全国調査の実施
  2. 認知症予防の取組を効果的に実施するためのガイドラインの作成
  3. 報告会の開催

結果

1.認知症予防の取組に関する全国調査の結果

 全国の市町村を対象に、質問紙による調査を実施した。調査票は都道府県にメールにて送付し、都道府県から管内市町村に送付を依頼した。回収は回答専用のウェブサイト、メール、ファクスにて受け付けた。調査期間は令和3年11月4日から12月17日で、回答数は1,124件、有効回答数は1,119件(1,741市町村中64.3%)であった。
 まず、介護予防に係る事業の担当部署と健康増進に係る事業の担当部署について確認したところ、人口規模の大きなところは別々の課が担当しているところが多かったが、人口規模が3万人以下のところは同一課、別の課のそれぞれが混在していた。また、市町村内の連携については、同一課、別の課に関わらず、「日頃から連携している」の回答と「業務多忙で連携できていない」とが混在した。
 介護予防の取組について、「身体活動」や「社会活動・交流」については大半の市町村において計画・実行しているのに対し、「栄養的介入」と「検診・健診」は約40%の市町村において「当初から計画していない」と回答した。また、実施している取組のうち、「身体活動」「社会活動・交流」「認知的介入」については80%以上の市町村が「認知症予防を意識して実施している」と回答したのに対し、「栄養的介入」や「検診・健診」は30%弱であった。
 取組・事業を実施するにあたって、外部機関との連携状況について確認したところ、取組・事業によって様々な機関と連携していることが明らかとなった。特に「社会活動・交流」は他の取組・事業に比べて社会福祉協議会や自治会・町会、住民ボランティア・自主サークルからの協力が多かった。また、主催者・協力者の機関種別を確認したところ、人口規模に関わらず、多種類の機関と連携している市町村と、限られた期間で取組・事業を実施している市町村があった。
 WHOガイドラインにある12の推奨項目について確認したところ、「全て知っていた」「概ね知っていた」と回答した市町村が80%強あったが、推奨項目ごとに取組の実施状況を確認したところ、認知症予防に資する取組として実施していると回答のあったのは65歳以上を対象とした「認知的介入」で約50%、65歳以上を対象とした「身体的活動」と「社会活動」で約30%と、決して多くはなかった。
 認知症予防の取組を推進していくにあたり、重要と考えているものとして、「住民に対する認知症の啓発」「住民に対する健康づくりの啓発」「日頃からの地域づくり」といった項目において「大変そう思う」「まあそう思う」という回答が多かった。また、「重要と考えているものに対し、どの程度できていると思うか」の質問に対し、「住民ニーズの収集」と「修了者の受け皿の確保」において60%以上の市町村が「あまりできていない」「全くできていない」と回答した。

2.認知症予防の取組を効果的に実施するためのガイドラインの作成

 ガイドラインは科学的根拠に基づいた情報の下で、標準的な手順や推奨グレードについて専門家間で話し合わせることが必要であるが、認知症予防に関する取組・事業のエビデンスは、現在様々な機関で実施されているところであり、検証尾十分とは言えない。また、本事業で期待されている成果物は、「取組を実践するにあたって、どのような手順、考えで進めていくか」であることから、成果物のタイトルは「市町村における認知症予防の取組推進の手引き」とした。手引きの読者は市町村職員や取組の主催者・協力者を想定し、令和2年度に作成した事例集の内容も盛り込みつつ、認知症予防を意識した取組の企画、調整、実施についてまとめた。

3.報告会の開催

 今年度実施した全国調査の結果報告ならびに手引き書の説明、ならびに認知症予防の取組の具体について紹介する報告会を開催した。なお、事例報告は令和2年度に作成した事例集にて紹介した事例の担当者であり、今年度検討委員会の委員をお願いした方に依頼をした。

まとめ

 今年度の事業を通じ、認知症予防の取組を意識して実施している市町村の数はまだ多くはないこと、市町村内の連携において、介護予防と健康づくりを担当している部署が同一か否かに関わらず、日頃からの情報共有が大切であること、取組・事業に関わる主催者・協力者の機関種別は人口規模に関わらず多くのところの協力を頂いている市町村と限られた機関と実施している市町村があること、認知症予防の取組を推進していくにあたり、住民ニーズの収集や取組・事業の修了者を対象とした受け皿の確保ができていないと回答した市町村が半数以上であったことなどが示された。それを踏まえ、事業の成果物である手引きは上記を踏まえて作成するとともに、報告会においては「何を目的に」「誰を対象に」「どのように取組を進めたか」について自治体職員の検討委員から報告を頂いた。
 認知症予防に資する取組・事業は、これまで市町村で実施されてきた介護予防や健康づくりの取組・事業と近しい。それらの取組・事業と一体的に、または連携して実施していくことで、認知症予防の取組が推進され、今後ますます増加する後期高齢者、そして認知症の人の支援をしていくことが期待される。


地域における認知症サポート医のあり方に関する調査研究事業

目的

地域における認知症サポート医と都道府県・指定都市、市町村、地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等の関係諸機関の連携の状況を明らかにし、認知症サポート医および認知症サポート医養成研修の今後のあり方に関して検討するための基礎資料とする。

方法

  1. 実態調査の内容・方法の検討:委員会を組織し、調査の内容・方法につき検討を行う。
  2. 調査を実施する。
  3. 調査の結果を踏まえ、地域における認知症サポート医のあり方について検討を行い、その結果をとりまとめる。

結果および考察

  1. 認知症サポート医調査:認知症サポート医と地域包括支援センター、市町村、認知症疾患医療センターの連携ができている現状が明らかになった。
  2. 都道府県・指定都市調査:認知症サポート医に期待する役割に関しては認知症初期集中支援チームのチーム員医師・アドバイザー、地域包括支援センターからの相談の応需・助言・連携が多かった。
  3. 市町村調査:認知症サポート医に対する期待として、認知症初期集中支援チーム・地域包括支援センターへの協力に次いで、受診困難な認知症者の訪問や往診が多かった。
    「市町村内に認知症サポート医がいない」「認知症サポート医の人数が少なく医師への負担が大きくなっている」等の意見があった。
  4. 地域包括支援センター調査:地域包括支援センターへの協力、受診困難な認知症者の訪問や往診への期待が多かった。また、訪問診療や往診を含め地域で活動する認知症サポート医が少なくないことが明らかになった。
  5. 認知症疾患医療センター調査:認知症サポート医が症状の安定している認知症患者を継続的に診療したり、認知症を有する患者の生活習慣病等の診療を行うこと、認知症サポート医の診療のレベルアップへの期待が多かった。
  6. 調査後の検討では、認知症サポート医フォローアップ研修等において市町村や地域包括支援センターとの連携をより強化したり、認知症の人の意思決定支援に関するような症例検討を行うことが提案された。また、受診困難な認知症者の訪問診療や往診については、認知症初期集中支援チーム以外には制度上難しいのではという意見や人権に留意した丁寧な対応が必要であるとの意見があった。 

認知症初期集中支援チームのあり方と効果的な活動に関する調査研究事業

目的

1.認知症初期集中支援チーム活動に関する調査

 全国の市町村に設置された認知症初期集中支援チームの直近の活動状況を把握し、経年的な変化等を含め、全体状況や課題を整理し、全国で共有していくことを目的とした。またこの内容も踏まえて認知症初期集中支援チームの今後のあり方、評価指標について検討する。

2.優良連携事例収集

 チーム活動における“地域の社会資源等との連携”に着目し、有効・優良な連携を整理し、認知症初期集中支援チームと地域の社会資源等との連携のあり方、また、地域の中のチームの役割等について、全国自治体やチームで共有すべき事例を収集することを目的とした。

事業概要

1.認知症初期集中支援チーム活動に関する調査

  1. 調査対象:全国の市町村に設置された認知症初期集中支援チーム(自治体経由で調査票提供)
  2. 調査方法:MSエクセル調査票を格納したCD郵送配布(回答はメール添付による)
  3. 調査期間:2021年10月下旬から2021年11月24日(回答期日)
  4. 回答状況:1,263チーム回答自治体数852市町村(48.9%)対象者情報4,796人分データ

2.優良連携事例収集

  1. 調査対象:全国の市町村(設置された認知症初期集中支援チーム)
  2. 調査方法:MSエクセル記入シートを格納したCD郵送配布
  3. 調査期間:2021年11月下旬から2021年12月20日
  4. 回答状況:239自治体(具体的な事例提供は189事例)
  5. 事例選定の経過
    a.提供された189事例について、収集目的(「複数の専門職により構成されるチームの強みを活かした活動」、「地域の社会資源や他の施策(事業)との優良な連携・取り組み」の観点)から絞り込み、b.委員会委員の分担作業(下記の基準・目安)によって、さらに20から25事例への絞り込み作業、c.委員会において、全体確認・協議の上、最終的な優良連携の事例として整理

事業結果

1.認知症初期集中支援チーム活動に関する調査

 全国の市町村に設置されたチームに対してアンケート調査を実施。回答状況は1,263チーム回答自治体数852市町村(48.9%)対象者情報4,796人分のデータが収集された。課題とされる地域包括支援センターとの役割分担は地域の特性に応じて行われていればよいが、その地域におけるそれぞれの守備範囲を双方がきちんと了解し合っていることが大前提となる。具体的には、ファーストタッチ事例と困難事例の両者はともに重要であるにも関わらず、ファーストタッチ事例にどこも対応していないといったことがないようにする必要がある。また地域包括のみならず、民生委員、医療保険部局などとの連携も意識していくことが求められる。今年度は調査方法、調査項目を若干変更した。その結果提出チーム数が増加し、偏りが改善された。この調査結果は研修資料としても重要であり、チームの活動を定点的に観察できる点でも有用である。今後も引き続き調査していく必要がある。また地域の施策におけるチーム活動の方向性について検討した。チームの役割が、次第に困難事例の解決に傾く傾向にある。そのような事例に正面から取り組み、医療や介護につなげていくことにより、地域の有する認知症に関する様々な仕掛けや組織につながったり、活性化することが実際に起こっており重要と思われる。チーム活動の評価指標としては適切な対象者の把握、社会から孤立している状態にある人への対応といった観点へのチームの取組向上につながるような指標が求められるのではないかと考えられた。

2.優良連携事例収集

 調査対象は全国の市町村(設置された認知症初期集中支援チーム)で回答状況は239自治体(具体的な事例提供は189事例)であった。その中からチームの役割を示すことに適した典型的な成功活動事例や、地域の力を生かした連携の成功例等29事例を採択した。これらの事例を公開することにより、全国のチームが多様な事例に対応する際の参考にしたり、チームの運用のヒントになることが期待される。


認知症ケアパスの作成と活用に関する個別的支援手法の調査研究

事業目的

 認知症施策推進大綱において、市町村における認知症ケアパス(以下、「ケアパス」)の作成率100%がKPIとして掲げられているが、昨年度の老健事業で実施した全国調査の結果では、回答のあった1,230の自治体のうち、人口規模の小さな自治体を中心に99件(8.0%)がケアパスの作成ができていないと回答した。また、ケアパスの活用に課題を感じている自治体も多い。
 そこで本事業では、都道府県に対する調査を行い、管内市町村のケアパス作成・活用の把握状況を確認するとともに、調査結果の報告を兼ねた都道府県対象支援会議を開催し、未作成自治体への支援方策の検討や事例紹介などを行う。さらに、ケアパスの好事例に関する報告会を開催するとともに、作成・活用促進にむけたリーフレットを作成・配布することを目的とした。

実施内容

 本研究事業を進めるにあたり、有識者と自治体職員から成る検討委員会を設置した。
 また、オブザーバーとして、厚生労働省老健局及び関東信越厚生局地域包括ケア推進課の協力を頂いた。事業内容は以下の4点である。

  1. 都道府県を対象としたケアパスの作成状況や活用促進に向けた取組状況・好事例に関する調査の実施(都道府県対象調査)
  2. 都道府県を対象としたケアパス作成・活用支援会議の実施(都道府県対象支援会議)
  3. ケアパスの作成・活用促進を目的とした好事例報告会の実施とリーフレットの作成(好事例報告会とリーフレットの作成)

結果

1.都道府県対象調査の結果

 全国の都道府県を対象に、管内市町村のケアパス作成・活用の把握状況を確認するため、令和3年12月9日から令和4年1月17日にかけ、メールにて質問紙調査を実施した。その結果、47都道府県すべてから回答があった(回収率100.0%)。
 管内におけるケアパス未作成(作成予定中を含む)の市町村の有無については、25の都道府県において「はい」との回答があった(47都道府県中53.2%)。未作成市町村のある都道府県(25か所)に対し、市町村から聞いた未作成の理由について確認したところ、市町村職員や地域包括支援センター、認知症地域支援推進員の人手不足/業務過多を理由とする回答が多く、「個別に相談対応しているので、認知症ケアパスを活用する場がない」「社会資源が少なく、整理するほどではない」といった回答が続いた。また、ケアパ
ス未作成の市町村に対し、都道府県として令和3から4年度に何かしらの支援を行う予定があるかを確認したところ、「はい」と回答した都道府県が5か所(未作成市町村のある25か所中20.0%)であった。
 次に、過去に管内市町村に向けてケアパスの作成・活用に向けた支援を行ったことがあるかを確認したところ、「はい」と回答した都道府県が30か所(47都道府県中63.8%)で、支援内容で最も多かった回答は「全市町村に対し、メール等を用いた情報提供」(16か所、30都道府県中53.3%)、次いで「都道府県独自の認知症地域支援推進員や市町村職員対象研修等にて好事例等を紹介」(13か所、同43.3%)、であった。
 管内で複数の市町村が共同でケアパスを作成している事例(介護保険の広域連合での作成を含む)を把握しているかを確認したところ、「わからない/把握していない」と回答した都道府県が22か所(同46.8%)で最も多く、次いで「いいえ」が16か所(同34.0%)、「はい」が8か所(47都道府県中17.0%)であった。また、「ケアパスを積極的に活用している事例」があるかを確認したところ、「わからない/把握をしていない」の回答が28か所(59.6%)で、次いで「はい」が18か所(47都道府県中38.3%)であった。

2.都道府県対象支援会議

 管内にケアパス未作成の市町村がある都道府県を中心に、都道府県調査結果の報告の他、昨年度実施した市町村調査の結果共有、未作成自治体に対する支援や活用について検討・ディスカッションを行うべく、支援会議を開催した。また、会議の開催にあたっては、地域特性を踏まえつつ、会議後の都道府県同士の連携や情報交換につながることを期待し、地方厚生局単位(北海道厚生局と東北厚生局、四国厚生局と四国厚生支局は合同)にて実施した。支援会議における議題は以下のとおりである。

  1. 先行研究の報告(都道府県対象調査、市町村対象調査)
  2. 認知症ケアパス未作成自治体の特徴と作成支援
  3. 先駆的自治体における認知症ケアパス

 支援会議に参加した都道府県は計27か所で、29名(オブザーバーを除く)が参加した。また、支援会議に参加した都道府県職員からは、「ケアパスは市町村で作ると思うが、都道府県レベルでの研修や情報交換会があれば、他の都道府県の良いケアパスを知ることが出来る」「認知症ケアパスを作成することのメリットの情報を出していった方が未作成自治体にも必要性をわかってもらえるのではないか」「『認知症の正しい理解を推進することで早期相談に結びつける』『住民に早い段階から老後について考えて頂く機会をつくる』というのは、まさに『ケアパスの必要性』であり、そういうことを丁寧に市町村担当者に理解してもらうことが重要」といった感想があった。

3.好事例報告会とリーフレットの作成

 ケアパス未作成の自治体や活用方法に悩む声が聞かれることから、オンデマンド配信による好事例報告会を行った。あわせて、ケアパス作成・活用に向けたリーフレットを作成し、全市町村に配布した。

考察とまとめ

 認知症施策は基本的に市町村単位で推進されており、都道府県は研修の開催や連携支援といった「後方支援」を行っている。しかし「管内で共同でケアパスを作成している市町村の把握」については46.8%が、「積極的に活用している事例」については、59.6%が「わからない/把握していない」との回答があり、都道府県対象支援会議においても「市町村に対してどのように支援をしていくかがわからない」といった声が複数あるなど、都道府県も支援方法について悩んでいる様子が伺われた。しかしだからこそ、ケアパスをはじめとする認知症施策を担当する都道府県職員同士が横のつながりを持ち、情報交換をしていくことが必要と考えられ、本事業で実施した「都道府県対象支援会議」のような場は大変有意義であるとともに、ケアパスの全市町村作成・活用を推進していくためには、引き続きこのような場を設けていくことが必要であると考える。
 また、認知症施策はそれぞれが絡み合っており、ケアパスの作成・活用も他の認知症施策の推進と絡めながら進めていくことが重要と考える。地域の個別性を踏まえつつ、それぞれの地域の特長を踏まえ、地域住民と共に「認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会」を作るために、ケアパスがその一助となることを期待したい。