平成31年度・令和元年度
注:本ページでは概要のみテキスト化しております。事業の報告および結果につきましてはPDF文書をご覧ください。
介護保険施設等実地指導マニュアルの在り方に関する調査研究
目的
介護保険事業所への実地指導ならびに集団指導は、行政機関が事業所の実態確認や情報提供を行う貴重な機会であり、優良事例の紹介など有用な情報を提供することが望まれる。本事業では、現行マニュアルの活用状況の確認と、令和元年5月29日に厚生労働省老健局総務課介護保険指導室より発出された「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針(以下、「指針」)について」にて示された実地指導時の確認項目、確認文書の活用状況の他、国の重要施策に対し、実地指導や集団指導においてどの程度触れられているかについて確認する。
研究の実施体制
本研究事業を実施するにあたり、実地指導を効率的に行っている自治体と介護保険事業所における実地指導対応責任者、ならびに有識者からなる検討委員会(委員長1名、委員4名)ならびにワーキング委員会(委員5名)を設置した。
調査の実施
自治体における実地指導ならびに集団指導の実施状況や指針の取組状況等について把握すべく、全国の自治体を対象とした「自治体調査」と、その結果を元に事業所への情報提供や自治体の職員育成に力を入れている自治体を対象とした「聞き取り調査(事例収集)」を行った。
自治体調査
|
調査時期
|
令和元年12月18日(水曜日)から令和2年2月10日(月曜日) |
|
調査方法
|
ウェブサイトを用いた質問紙調査(郵送、Email、ファックスでの送付も受付) |
|
対象
|
全国の自治体(都道府県、政令指定都市、中核市、特別区、一般市町村) |
|
回収数
|
941件(ウェブ回答:701件、郵送・Email・ファックス:240件) |
事例収集
|
調査時期
|
令和2年1月から3月 |
|
調査方法
|
聞き取り・メールによる調査 |
|
対象
|
県:1か所、市:4か所、区:1か所、町:1か所、協議会:1か所 |
結果
- 回答は941か所からあったが、この数字の中には広域連合で介護保険事業を行っている自治体や、協議会を立ち上げている自治体もあることに留意されたい。
- 実地指導の実施件数や実施率、実地指導にかける平均時間、実地指導時の延べ所要時間の平均、報酬請求の確認にかかる平均時間は、自治体規模や実地指導の対象サービス種別に関わらず標準偏差が大変大きく、自治体によって実地指導の実施状況は大きく異なることが明らかとなった。
- 現行の実地指導マニュアルについて、半数の自治体が普段は活用しておらず、自治体独自のマニュアルを作成しているところが161か所あった。
- 指針にそった実地指導の標準化・効率化について、54.5%が「今年度から取り組んでいる/取り組む予定」と回答しており、標準確認項目ならびに標準確認文書については「適切である(ちょうどよい)」と回答した自治体が75%を超えた。
- 「各種加算等自己点検シート」を活用している自治体が65.1%で、そのうち事前提出を求めている自治体は474か所であった。
- 集団指導を年1回以上開催していると回答した自治体が55.2%と半数を超えたが、小規模自治体を中心に「開催していない」と回答した自治体も29.7%あった。また、集団指導の内容は、対象サービスに関わらず、「制度・基準全般」や「報酬改定」、「実地指導指摘事項の解説」を取り上げている自治体が多く、国が推進する施策の紹介や優良事例の紹介等はあまり行われていなかった。
- ICT化に対する考えとして、多くの自治体が必要文書のウェブ公開、メールでの送付や事業所がPCに保管している文書をPCで確認することを「推進すべき」と回答したが、すでに取り組んでいる自治体は項目により半数強もしくは40%以下であった。
- 実地指導全般の課題としては、「人員不足」、「専門知識の不足」、「事業所の対応力・理解力の不足」などが挙げられたが、これらに対し、職員研修の充実や他地域と合同で実地指導を実施している自治体、集団指導を通じて事業所への情報提供に力を入れている自治体など、様々な工夫や取組が報告された。
- 実地指導を効率的・効果的に行うための工夫や提案として、最も要望が多かったのは「標準化に向けたマニュアルの作成・普及」で、その他には「様式の統一」や「ICT化の推進」、「他部署・他機関との協力体制の構築」等が挙げられた。
- 聞き取り調査では、職員研修の効果的実施や集団指導における工夫、1市5町で協議会を設立した自治体等、先駆的取組の実施状況や背景等を確認した。
実地指導の効率化推進に向けた提案
自治体調査の結果より、様々な課題が浮き彫りとなったが、その反面、すでにその課題に対して先駆的に取り組んでいる自治体が複数あることが明らかとなった。今後、そういった優良事例を収集・整理していくことで、課題を感じている自治体の参考になるであろう。また、実地指導の標準化に向けたマニュアルの作成・普及を希望する声が多く上がっており、自治体・事業所の事務負担軽減に向け、早急に対応する必要がある。
認知症予防及び早期支援のための効果的な取組に関する調査研究
⽬的
認知症予防及び早期⽀援のための効果な取組について、⾃治体等で⾏われている先進的な活動事例を把握するとともに、把握した事例の特性を整理し、全国展開のための試⾏的事業の⽅法論について検討する。
調査研究の内容
- 効果的な取組の事例収集
- アンケート調査(認知症の予防及び早期⽀援のための効果的な取組の実施状況調査)
調査研究の過程
- 全国を北海道、東北、関東、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州の7つのブロックにわけ、それぞれの地区の実情に詳しい⼈材に委員として参加していただき、直接⾃治体を訪問して情報を収集し、結果を報告書としてまとめた。
- 令和2年1⽉30⽇から2⽉21⽇の期間に質問紙調査を⾏った。
事業結果
- 今回訪問できた先進的な取組を⾏っている地域の特性は(1)⻑期にわたって認知症施策を独⾃に⾏ってきている(2)仕組みはさまざまであっても中央⾏政が現場をしっかりコントロールして現場へ介⼊していること(3)企業を上⼿に巻き込んでいること(4)医療とのつながりがうまくいっていること(5)⽐較的⼩さい市町では認知症施策というよりも地域づくりという観点から早期発⾒につなげていることであった。また地域では事業が動き出す「起爆装置」がうまく働いており、それは医師会であったり、地域住⺠であったり、企業であったり⼤学であったり様々であるが他の地域も参考にしうる重要なポイントと考えられた。
- 全国の785市区町村から回答が得られた。介護予防事業としての取組でのポイントは(1)認知症の予防という観点から⾏われている取組としては運動と運動を含めた複数の介⼊の組み合わせが多いこと、(2)取組が始まったのは27%が平成20年よりも前から開始されており、半数以上は新オレンジプランが出される前から開始されていること、(3)取組開始時も平成30年度においても取組の中⼼は⾏政と地域包括⽀援センター、社会福祉協議会であり、医師会や医療機関との連携に乏しいこと、(4)平成30年度では⺠間企業の参⼊がめだつことがあげられる。また全体として当初よりも平成30年度のほうが参加者が増加していることも明らかとなった。取組を継続している中で感じた効果については地域住⺠の意識の向上と地域住⺠同⼠の⽀えあいのネットワークができたことがあげられており、ここでも地域づくりの重要性が浮かび上がっている。
目的
認知症初期集中支援チームや認知症サポート指導料などの制度の変化を踏まえ、認知症サポート医養成研修のあり方や課題、認知症サポート医制度の活用方法等に関して専門家・関係者等で検討を行い、その結果を踏まえ、認知症サポート医養成研修の研修カリキュラムや教材の改訂を行う。また、認知症サポート医フォローアップ研修、かかりつけ医認知症対応力向上研修に関しても検討を行う。
方法
- 委員会の組織:認知症サポート医養成研修受講者に対する調査内容の検討や認知症サポート医のあり方、教材改訂内容について検討を行うため専門家による委員会を組織する。
- 認知症サポート医養成研修受講者を対象としたアンケート調査を行う。
- 認知症サポート医や研修等に関する課題を整理し、そのあり方に関して検討を行う。
- 新たな教材の開発及び検証:新たな研修教材を開発し、試行・検証を行う。
- 教材の改訂:得られた知見をもとに教材を改訂する。
- 教材の周知:認知症サポート医養成研修修了者に改訂された教材を配布する。
結果および考察
- 令和元年度認知症サポート医養成研修受講者に対して行ったアンケート調査では、精神科の医師の受講が減っていること、受講目的で「認知症初期集中支援チームに協力するため」「認知症サポート指導料の算定要件取得のため」が減少傾向にあること、診療を行っている市町村に認知症初期集中支援チームが設置されているかどうかが「分からない」との回答が約半数にのぼっていた。
- 認知症サポート医の役割を検討した結果、地域包括支援センターや自治体と地域の医師との間の連携を推進していくことが示され、また、地域の認知症カフェなどへの協力も役割として示された。
- 意思決定支援に関して、新たな教材を使用したグループワークを予備的に行い、概ね良好な評価を得た。
- 研修教材の改訂において、BPSDに対する向精神薬使用ガイドライン(第2版)や認知症疾患診療ガイドライン2017等の新たな知見を加え、認知症の人本人の思いや希望を理解することを助ける資料を加え、介護保険制度の改定、診療報酬改定、成年後見制度の利用促進を目的とした様々な施策の変更、新たに取りまとめられた意思決定支援ガイドラインの活用等に対応するものとした。
認知症初期集中支援チーム設置後の効果に関する調査研究事業
⽬的
認知症の早期診断、早期対応の体制整備を促進するため、これまで全国⾃治体への認知症初期集中⽀援チームの設置に向けて、チーム員の研修を実施、チーム活動実績の把握・分析、具体的活動事例の集積と情報提供など、厚労省⽼⼈保健健康増進等事業の枠組みにおいて認知症初期集中⽀援チームにかかる事業を展開してきた。昨年度からは、全市町村に設置された認知症初期集中⽀援チームの活動の⽀援および評価に重点を置き、継続的に同施策の推進を担っている。
本年度は、昨年度に試案を作成したチーム活動の評価指標を⽤いて、全市町村の認知症初期集中⽀援チームを対象としてチーム活動の⾃⼰評価を⾏い、評価指標の検証を⾏うとともに、同指標に対する意⾒収集によって、更なる精度向上と普及策の検討を⾏う。
事業概要
平成30年度の調査結果から試作した評価指標をベースとした本年度版の調査票で、全てのチームに対して改めて評価指標調査を⾏った。調査では、⾃⼰評価を⾏うとともに、追加した項⽬を含めて新たな基礎データを収集した。
1.チーム員が⾃⼰評価できるような⾃⼰評価マニュアルの作成
2.全チームに対してマニュアルと評価⽤CDを郵送し回答を回収
本年度の調査票は、チームや対象者にかかる調査回答を⾏う過程で、チームのスコアが計算され、そのスコアによって⾃⼰評価を⾏えるものとした。
調査票ファイルには、回答⽅法とともに、⾃⼰評価の⼿順も含めて提供した。
3.チームの所属やチーム員数、背景⼈⼝などを勘案したチーム評価尺度の作成
本年度の調査項⽬は、チーム属性にかかる新たな項⽬を4つ、評価指標にかかる新たな項⽬を3つ追加し、昨年度版の評価指標のブラッシュアップを⾏った。
事業結果
回収状況は市町村票ファイル804ファイル(回答率46.2%)チーム票ファイル1,007ファイル(回答対象者数3,777⼈)であった。
5つの項⽬と相関し2つの項⽬に影響を与える、「医療/介護引継」が重要な評価指標であり、この認知症初期集中⽀援チームの本来の役割から考えても重要な評価項⽬である。これと並んで「初動⽇数」は3つの項⽬に影響を与えている。「困難事例への対応」は「かかりつけ医連携」を⾼め、間接的に「医療/介護引継」を向上させている可能性があり、これも評価指標として有⽤である。
「⽀援対象者数」は、「初動⽇数」の短縮と、条件はつくが「医療/介護引継」に相関する。「会議時間」は延⻑させるが「会議時間」の延⻑は「訪問回数」の増加と相関するためにポジティブな効果と考えられる。総合的に考えると「⽀援対象者数」も有⽤な指標として取り上げる価値がある。