受付番号No.20TB8
「日本人向けの嗅覚刺激療法(嗅覚トレーニング)の確立のための比較研究(受付番号No.20TB8)」:人を対象とする医学系研究実施についてのお知らせ
 国立長寿医療研究センター 耳鼻咽喉科では、以下の人を対象とする医学系研究を実施しております。
 この研究は、通常の診療で得られた情報(カルテなど)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
 このような研究は、厚生労働省・文部科学省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
 この研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「17.この研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2021年2月8日
記
 
	- 研究課題名
 「日本人向けの嗅覚刺激療法(嗅覚トレーニング)の確立のための比較研究」
 (受付番号No.20TB8)
 この研究課題については、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
- 研究機関の名称及び研究責任者の氏名(部署名)
 研究責任者: 高知大学医学部 耳鼻咽喉科  奥谷 文乃
- 研究機関と研究分担者名
	
		
			
				| 医療法人福耳会京都駅前耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック
 | 耳鼻咽喉科 | 院長 | 荻野 枝里子 |  
				| 名古屋女子大学 | 家政学部 | 教授 | 片山 直美 |  
				| 三重大学 | 耳鼻咽喉科 | 准教授 | 小林 正佳 |  
				| 三重中央医療センター | 耳鼻咽喉科 | 医長 | 西田 幸平 |  
				| 東京大学 | 耳鼻咽喉科 | 准教授 | 近藤 健二 |  
				| 金沢医科大学 | 耳鼻咽喉科 | 准教授 | 志賀 英明 |  
				| 金沢医科大学 | 耳鼻咽喉科 | 教授 | 三輪 高喜 |  
				| 産業医科大学 | 耳鼻咽喉科 | 准教授 | 柴田 美雅 |  
				| 兵庫医科大学 | 耳鼻咽喉科 | 准教授 | 都築 建三  |  
				| 医療法人社団恵芳会松脇クリニック品川 | 耳鼻咽喉科 | 院長 | 松脇 由典 |  
				| 東京慈恵会医科大学 | 耳鼻咽喉科 | 講師 | 森 恵莉 |  
				| 順天堂大学 | 耳鼻咽喉科 | 准教授 | 井下 綾子 |  
				| 弘前大学 | 耳鼻咽喉科 | 助教 | 工藤 玲子 |  
				| 真生会富山病院 | 耳鼻咽喉科 | 副院長補佐 | 徳永 貴広 |  
				| 大阪大学 | 耳鼻咽喉科 | 助教 | 端山 昌樹 |  
				| 堺市立総合医療センター | 耳鼻咽喉科 | 医員 | 赤澤 仁司 |  
				| 国立長寿医療研究センター | 耳鼻咽喉科 | 医長 | 鈴木 宏和 |  
				| 名古屋市立大学高度医療教育研究センター | 耳鼻咽喉科 | 教授 | 鈴木 元彦 |  
				| 愛媛大学 | 耳鼻咽喉科 | 講師 | 西田 直哉 |  
				| 愛媛県立新居浜病院 | 耳鼻咽喉科 | 医長 | 西原 江里子 |  
				| 岡山大学 | 耳鼻咽喉科 | 医員 | 村井 綾 |  
 
- 当該研究の意義、目的
 嗅覚障害の新しい治療法を確立させるための研究です。嗅覚トレーニング(嗅覚刺激療法)によって、鼻の中から脳に至るまで嗅覚の伝導路を活性化すると、機能が回復することが期待されます。ヨーロッパでおこなわれている方法では、感冒後や外傷性嗅覚障害の患者さんで、嗅覚が改善することが証明されています。ただし、日本人に余り馴染みのないにおいが用いられているため、この研究では日本方式のキットを用いて、ヨーロッパ方式と同等の効果が出るかを検討し、日本人向けの嗅覚刺激療法を確立させることを目指しています。
- 研究に使用する情報
 1)被験者背景
 ①患者の性別、生年月日、年齢、被験者識別コード、身長、体重、合併症、既往歴、前治療歴
 ②現在の併用薬:薬剤名、一日投与量、投与経路、投与理由、投与期間
 2)鼻腔所見(治療開始前、12、24、36週間後)
 3)画像(CT)所見(治療開始前)
 4)嗅覚障害の程度(5段階)、日常においアンケート・VAS(治療開始前、12、24、36週間後)
 5)基準嗅力検査、オープンエッセンス(治療開始前、12、24、36週間後)
- 当該研究の方法
 嗅覚障害を来している方に被験者になっていただきます。ヨーロッパ式の嗅覚トレーニングキットにはバラ・クローブ(丁子)・ユーカリ・レモンのにおい液が入っており、日本式にはバニラ・材木・湿布薬・ココナツのにおい液が入っています。どちらかのキットを使用するかが無作為に割り付けられます。ヨーロッパ方式のキットでは、治療効果が明らかになっています。論理的に考えて、日本式のキットでも効果が期待できます。
 4種類のにおいを15秒ずつ2回かぐトレーニングを1日2回朝晩にして頂きます。3ヵ月毎に、嗅覚がどのくらい改善したかを検査します。治療期間は6ヶ月間です。
- 研究期間
 2021年2月8日 ~ 2025年3月31日
- 対象となる患者さん・研究対象者として選定された理由
 あなたは、現在鼻副鼻腔の疾患がないのに、においがわからない嗅覚障害となっています。鼻の中からにおいで刺激ができる状況にありますので、この治療をおこなう事ができます。
- 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
 「嗅覚トレーニング」に用いるにおいは、変質せず、不快なものは避けています。もし、あなたの嫌いな匂いが含まれている場合はそれを除外したトレーニングをお願いします。しかし、異嗅症といってなんのにおいを嗅いでも不快に感じる現象が回復過程にみられることがあり、その場合にはにおいを不快なものと感じるかもしれません。しかし回復が進むとこの現象はほとんどの例でなくなっていきます。またにおいの液は遮光性の瓶の中に入れた綿にしみ込ませてあるので、外へこぼれることはなく、皮膚に触れる心配はありません。ヨーロッパ方式の嗅覚トレーニングをすれば、嗅覚障害の改善が期待できます。日本方式であっても、科学的に考えて、同等の治療効果が得られることが期待されます。
- 研究実施について同意しないこと及び同意を撤回することの自由について
 この研究への参加は任意です。あなたの自由な意思が尊重されます。研究に参加しないことによって,今後の診療で不利益な対応を受けることはありません。
 いったん参加に同意した場合でも,いつでも不利益を受けることなく同意を撤回することができます。その場合,提供していただいた結果は廃棄され,それ以降は診療情報が研究のために用いられることもありません。ただし,同意を撤回したときすでに研究成果が論文などで公表されていた場合や結果が完全に匿名化されて個人が特定できない場合などには,結果を廃棄できないこともあります。
- 研究に関する情報公開の方法
 本掲示により研究に関する情報公開といたします。この研究で得られた情報を、関連学会や医学雑誌などに発表させていただくことがあります。
- 研究計画書等の閲覧について
 他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、17.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
- 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。)
 この研究で得られた結果は、実名や住所、カルテ番号などを隠し個人が簡単に特定できないようにした上で、データの解析などに利用されます。また研究結果について学術雑誌や学会で報告される場合にも、あなたが特定できるような情報が公表されるようなことは一切ありません。また、この研究が適切かつ安全に実施されている事や人権が守られている事などを確認する目的で、厚生労働省や研究者以外の者(倫理委員会からの指名者や研究責任者からの指名者)があなたのカルテ、検査記録、CTなどの医療記録を直接閲覧することがありますが、あなたの個人情報は厳重に守られます。他の研究機関にデータを提供する場合には、匿名化にした上で提供をします。
- 試料・情報の保管及び廃棄の方法
 <保管および使用方法>
 研究のために記録されたデータは,実名や住所、カルテ番号などを隠し、別のコードにする方法(以下匿名化といいます)のまま厳重に保管され,本研究のために使用されます。将来,本研究で得られたデータを将来の研究のために使用する場合には,改めて研究計画書を提出し,倫理委員会の承認を受け実施します。本研究で得られたデータは将来の研究のため貴重な情報として使用させていただきます。あなたから本研究に対する同意撤回又は情報の使用拒否があった場合、研究のために記録されたデータの使用停止・破棄、他機関への情報提供の差し止め等の措置を講じます。
 <保管期間>
 少なくとも、研究の終了について報告された日から10年を経過した日までの期間、適切に保管されます。
 <破棄方法>
 保管期間終了後、(紙データはシュレッダーなどを用いて破棄し、電子データはデータを完全に消去します)保管期間の過ぎたデータを破棄する場合にも、個人が特定できないよう適切な方法により破棄をいたします。
- 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
 <研究のための費用>
 研究資金は国からの長寿医療研究開発費によって行われます。従って患者さんからは通常の保険診療(耳鼻科の診察および鼻腔内視鏡検査、CT、基準嗅力検査)以外の出費はございません。
 <研究の資金や企業・団体との関わりについて>
 この研究に用いる全ての嗅素は、第一薬品産業株式会社から無償提供されます。この研究に関連して、企業等の利害関係は国立長寿医療研究センターとして許容できる範囲内のため、利害の衝突によって研究の透明性や信頼性が損なわれるような状況は生じません。
 また本研究に係る利益相反及び研究者の収益はありません。
- 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
 参加者及びご家族から研究について相談がある場合は、当センターの研究責任者、耳鼻咽喉科の鈴木宏和より説明させていただきます。
- この研究に関するお問い合わせ先
 この臨床研究についてわからないことや、ご心配なことがございましたら、耳鼻咽喉科、鈴木宏和にいつでも遠慮なくお問い合わせください。
 責任者及び連絡先
 国立長寿医療研究センター 耳鼻咽喉科部 医長 鈴木宏和
 電話(0562)46-2311(代表)