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「疾患特異的iPS細胞を用いたアルツハイマー病初期の青斑核ノルアドレナリン神経の変性機序解明」についてのお知らせ
国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、健常者やアルツハイマー病患者由来の体細胞等から作製された既存のiPS細胞株や、それらに由来する試料を用いて行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる方のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2025年11月18日
記
「疾患特異的iPS細胞を用いたアルツハイマー病初期の青斑核ノルアドレナリン神経の変性機序解明」(倫理・利益相反委員会受付番号No.1983)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
国立長寿医療研究センター 神経遺伝学研究部 部長 飯島浩一
脳幹に位置する青斑核の神経細胞は、脳の広い領域に軸索を投射し、ノルアドレナリンの分泌を介して情動や睡眠、認知機能の制御に関わっています。アルツハイマー病では、青斑核のノルアドレナリン神経細胞の大半が脱落し、病理の拡大や臨床症状の顕在化につながると考えられます。したがって、ノルアドレナリン神経細胞の脱落を防ぐことができれば、アルツハイマー病の発症を抑止、遅延させるための介入法を確立できると期待されます。しかし、なぜアルツハイマー病で青斑核のノルアドレナリン神経細胞が顕著に脱落するのかは未だ明らかではありません。
これまでに研究代表者は、ノルアドレナリン神経軸索がアミロイドβ病理により慢性的に傷害され青斑核の脱落に至る可能性を見出し、軸索が変性する機序の解明、それを抑止する治療標的の同定を進めています。本研究では、ノルアドレナリン神経細胞の変性機序の解明や、それを防ぐ治療薬の探索を加速するため、家族性アルツハイマー病患者由来のiPS細胞からノルアドレナリン神経細胞の病態モデルを確立します。
本研究では、国内の大学等の研究機関等により樹立された健常者、また家族性アルツハイマー病患者由来のiPS細胞株を使用します。本研究において使用するのは、試料番号、年齢、性別、病歴に関する情報(診断、発病期間、治療経過、処方歴、感染歴)、家族性アルツハイマー病の原因となる遺伝子変異に関する情報です。個人を特定できる情報は含まれません。
上記の試料・情報については、被験者保護の観点から、倫理・利益相反委員会の承認から1ヶ月以上経過した後に、利用・提供予定です。
本研究では、国内の大学等の研究機関より、すでに樹立された健常者、また家族性アルツハイマー病患者由来のiPS細胞株の提供を受け、それらをノルアドレナリン神経細胞へと分化させて、神経機能を評価するとともに、家族性アルツハイマー病の原因となる遺伝子変異がノルアドレナリン神経細胞へおよぼす影響を明らかにします。
2025年11月18日から2027年3月31日(2年間)
本研究では、健常者や家族性アルツハイマー病患者由来の体細胞等から作製された既存のiPS細胞株およびそれらに由来する試料等の供与を受けて解析に使用します。本研究において、新たに研究対象者からiPS細胞株を樹立する計画は含まれません。既存の試料等の使用にあたっては、本研究への試料や情報の使用およびそれらを利用する者の範囲についてホームページ等で情報公開を行い、必要に応じて拒否機会を設けます。
本研究では、既存のiPS細胞株およびそれらに由来する試料、臨床情報や遺伝情報のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されているため、新たに発生する不利益および危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益は想定されません。一方、アルツハイマー病に特異的なノルアドレナリン神経細胞の病態モデルを確立し、青斑核神経軸索の変性機序の解明とそれに基づく治療薬の探索を加速できれば、新たな先制治療法の開発に貢献すると考えられます。
本研究については、国立長寿医療研究センターおよび愛知医科大学において研究実施についての情報公開を行い、研究対象者となる方に同意撤回の機会を確保いたします。ご同意いただけない場合には、研究に使用する情報から対象者となる方にかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても差し支えありません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはありません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには、解析結果を削除できないことがあります。
本掲示をもって、本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、ホームページ掲載、学会発表、論文発表などにて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究の対象となる方の試料には、採取時に患者名等の個人情報とは関係のない試料番号が付され、厳重なセキュリティ下で保管されています。個人情報と試料番号の対応は、原則としてiPS細胞株を樹立した研究機関が保管しており、細胞株の供与を受ける各研究機関の者に個人情報が漏洩しないよう管理されています。本研究において、国立長寿医療研究センターに提供されるのは、試料番号、年齢、性別、病歴に関する情報(診断、発病期間、治療経過、処方歴、感染歴)、家族性アルツハイマー病の原因となる遺伝子変異に関する情報のみであり、個人を特定できる情報は含まれません。また、提供された情報は、当センターにおいて厳重に保管されます。
研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも研究の対象となられた方を特定できるような内容を含むことはありません。
試料・情報の提供に関する記録は、愛知医科大学加齢医科学研究所神経iPS細胞研究部門および国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部にて、当該論文等の発表後10年間まで保管いたします。
ID化された研究データについては、愛知医科大学加齢医科学研究所神経iPS細胞研究部門、国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部および新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センターのコンピュータおよびバックアップ用記憶媒体に、当該論文等の発表後10年間まで保管いたします。保管期間満了後は、専門家とも相談しながら、保存媒体ごと安全な形でデータを廃棄いたします。研究データ等の授受に関する記録についても、上記の各機関において当該論文等の発表後、10年間まで保管いたします。
試料は、混合や盗難、紛失等が起こらないように、本研究の関係者のみがアクセスできる、愛知医科大学加齢医科学研究所神経iPS細胞研究部門および国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部の施錠可能な研究室内に設置された試料保管庫(液体窒素タンク、フリーザーも含む)にて保管いたします。使用した試料は、当該論文等の発表後5年間まで保管し、保管期間満了後は医療廃棄物として廃棄いたします。研究対象者の方からの同意撤回により試料等を廃棄する場合には、特定の個人を識別できないよう適切な措置を講じた上で廃棄いたします。
本研究で使用した試料および収集した情報は、患者および検体提供者、または代諾者の方の同意の上、国立長寿医療研究センター内外で行われる、将来の他の研究に利用することがあります。新たな研究での使用に際しては、その内容について関係研究機関の倫理委員会による審査を受け、その承認が得られた場合にのみ行います。
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラムによって行われ、研究に係る利益相反は生じません。
国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部 飯島浩一および愛知医科大学加齢医科学研究所神経iPS細胞研究部門 岡田洋平にて、対応いたします。
本研究で実施するシングル核解析については、国立長寿医療研究センターあるいは愛知医科大学にて細胞を回収した後、株式会社Rhelixaに送付し、解析業務を委託して行います。研究代表者(国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部 飯島浩一)が担当者と調整し、業務の進捗を管理します。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
神経遺伝学研究部 部長 飯島浩一
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)