ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1936
「質問票を用いたライフスタイルと臨床情報との関連解析」についてのお知らせ
国立長寿医療研究センター分子基盤研究部では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、通常の診療で得られた情報(電子カルテなど)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2025年7月25日
記
「質問票を用いたライフスタイルと臨床情報との関連解析」(倫理・利益相反委員会受付番号No.1936)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
国立長寿医療研究センター・分子基盤研究部 部長 里直行
認知症は、遺伝因子や後天的因子に加えて、身体活動や文化活動などのライフスタイルが認知機能に影響を与えることが日本国内や海外から報告されています。たとえば、メイヨークリニックではオリジナルのライフスタイル質問票を用いた地域コホート縦断研究が行われており、ライフスタイルが認知症に与える影響を多く、報告しています(Geda, et al. Ann Neurol 2010, Krell-Roesch, Geda, et al. Eur J Ageing 2019, Krell-Roesch, Geda, et al. JAMA Neurol 2017, Krell-Roesch, Geda, et al. Neurology 2019)。こういった観点に立ち、われわれはライフスタイル質問票のオリジナル版を作成したYonas Geda博士と共同で、日本語版の開発を行うこととなりました。その作成の段階において、ライフスタイル質問票の日本語版では、それまでにはなかった「時間」の概念を取り入れることによって、Total Physical Activity Scoreの算出がはじめて可能になりました(Matsumoto S, Shinohara M, Sato N, et al. JMA Journal, 8, 498-505, 2025.)。Total Physical Activity Scoreは連続変数であり、個人の身体活動を表すデータとして有用性が期待されています。本研究では、独自開発を行ったライフスタイル質問票を用いて、ライフスタイルが神経心理試験や脳画像と相関するかを明らかにします。
本研究に利用する情報は、年齢、性別、疾患名、ライフスタイル質問票、神経心理検査、 日常生活動作尺度、高齢者うつ尺度、握力、歩行速度、ふらつきなどの高齢者総合的機能評価、多疾患併存などの臨床情報、および脳MRIにおける萎縮の度合いなどのデータです。利用前に被験者保護の観点から、倫理・利益相反委員会承認後1か月以上経過後から、利用予定です。
当センターでは、MMSE、ADASをはじめとする詳細な神経心理検査を心理士により行っており、また握力や歩行速度などフレイル関連のデータも取得しています。研究責任者および研究分担者によって収集された症例の年齢、性別、疾患名、ライフスタイル質問票、神経心理検査(MMSE、ADAS、FAB、RCPM、論理的記憶、順唱・逆唱)、MoCA Jなど)、 ADL、Barthel index、IADL、GDS、握力、歩行速度、ふらつきなどCGA、多疾患併存などの臨床情報、研究分担者の櫻井圭太により解析された、脳MRIにおける脳部位別のパラメータ(脳萎縮の各種データ)について、コード化したうえで、研究分担者の分子基盤研究部の篠原 充が解析を行います。
Total Physical Activity Scoreは、次のように算出されます。
Total Physical Activity Score(METs・min/week)
=2.7(METs)×軽い身体活動の頻度(/week)×時間(min)
+2.9(METs)×軽い運動の頻度(/week)×時間(min)
+4.6(METs)×中等度の身体活動の頻度(/week)×時間(min)
+5.1(METs)×中等度の運動の頻度(/week)×時間(min)
+7.2(METs)×重い身体活動の頻度(/week)×時間(min)
+7.6(METs)×激しい運動の頻度(/week)×時間(min).
などの相関を明らかにします。
2025年7月25日から2026年3月31日
2024年2月より2025年10月までに、もの忘れセンターおよびロコモフレイルセンターにおいて、ライフスタイル質問票を実施した患者、約60人を対象とします。
既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益および危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益は想定されません。
ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に利用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには、解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により、本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、ホームページ掲載・学会発表・論文投稿などにて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先に、ご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究では、診療情報(電子カルテ)より上記5.の情報を抽出して利用いたしますが、患者さんが特定できる情報(氏名・住所など)を削除した状態で抽出しています。
抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に利用いたします。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に利用する抽出データとは別にされ、当センター内にて厳重に保管されます。
また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも、患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。
抽出したデータ、患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表、コード化されたデータについては、研究期間終了後10年または学会や論文等での発表から10年の間、保管いたします。抽出したデータ、コード化されたデータについては国立長寿医療研究センター・分子基盤研究部にて、対応表については別途、里直行にて、保存媒体を施錠保管いたします。保管期間満了後は速やかに、保存媒体ごと専門家とも相談しながら安全な形で、データを廃棄いたします。
本研究において、利益相反はありません。
研究に対するお問い合わせがございましたら、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。研究責任者が対応いたします。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
分子基盤研究部 部長 里直行
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)