ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1914
「緊急入院した高齢者の転帰とその入院時CT画像で得られる大腰筋面積/体積指標との関連性」についてのお知らせ
国立長寿医療研究センター(ロコモフレイルセンター)では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、通常の診療で得られた情報(電子カルテなど)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2025年7月14日
記
「緊急入院した高齢者の転帰とその入院時CT画像で得られる大腰筋面積/体積指標との関連性」(倫理・利益相反委員会受付番号No.1914)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
国立長寿医療研究センター ロコモフレイルセンター センター長 赤津裕康
国立長寿医療研究センター ロコモフレイルセンター 外来研究員 岩井健司、櫻井圭太
日本の全人口のうち、65歳以上の高齢者割合は29.2%、75歳以上割合は16.3%を示して(2024年総務省)、2023年全国救急搬送患者数が約663万人に対し、満65歳以上高齢者の搬送割合が61.6%と、増加の一途から6割をはじめて超えました。このような中で、緊急入院した高齢者に対する進歩した救急医療/延命治療は、しばしば寝たきりで胃瘻やその他のチューブにつながれる方を数多く生み出している 現状があり、超高齢化社会に突入した我が国においては、救急医療の適正化が、社会問題となっています。しかし、現在救急医療が高齢者へ過度の延命行為とはならない適正医療か否かの明確な指標が、緊急入院時には存在していません。つまり、ある高齢者にとっては、高度な救急医療が最適か否か(ひいては控えるべきか否か)という治療選択の臨床的問題を、多くの救急医が今日まで個人の経験則に頼りながら、診療せざるを得ない現状となっています。経験則に基づいた治療選択には、やはり限界があり、上記の如く、救急医療の適正化という社会問題に対応するためには、高齢の患者に対して治療介入する前から、比較的簡便かつ信頼性の高い予後予測の評価法の確立が必要と、われわれは考えています。本研究では、フレイル-サルコペニア評価でも用いられる大腰筋の面積や体積が、緊急入院する高齢者の予後/転帰にかかわる、と仮説を立て、特に家庭からの入院にも関わらず、転院となってしまう患者さんらは、入院前から大腰筋の体積が相対的に低い可能性に着目しています。入院時CT画像で測定できる大腰筋の面積と質が、高齢者の入院後予後/転帰との関連性で示されれば、予後予測の簡便な指標となり得ます。併せて、今後の救急医療への適正化(高齢者への過度の延命行為に繋がらない医療の適正化)への足掛かりとなる事にも期待しています。
以下の診療情報を2次利用します。
上記の情報については、利用前に被験者保護の観点から、倫理・利益相反委員会承認後1か月以上経過後から、利用予定です。
本研究では、2019年4月1日から2023年12月31日までの間に緊急入院した患者様のうち、入院時点の年齢が満65歳以上であった方々を対象としています。なお入院期間が一部この期間に含まれるだけでは対象とせず、入院の発生日(緊急入院日)が上記期間内であることを要件としています。対象の方の5.に示す診療情報を用いて、家庭へ退院された方の群とそうではなかった方(転院など)の群の比較検討を行います。CT画像で撮影される大腰筋の面積と質が、両群間では統計学的な有意差を生じる可能性について、特にわれわれは着目しています。
2025年7月14日から2026年12月31日
現存の高度の救急医療を請け負う救命救急センター内では、高齢者の緊急入院患者さんに対して、救急医個人の経験則や患者およびその家族の希望に基づいた選択的医療が行われることが大半で、治療内容も画一化された医療でないことが多いのが現状です。後ろ向き観察研究である本研究においては、高齢者に対する診療が、比較的画一化されている当院老年内科の患者さんらが、より適切であると考えています。
個人が研究参加および不参加により不利益を被ることはありません。個人から得られたデータは、個人が特定できないIDにより管理し、個人情報が外部に漏れることが一切ないよう細心の注意を払います。解析にあたっては、匿名化されたデータを用いるため、集団として集計した結果から個人が特定されることはありません。個人が研究参加により直接的な利益を得ることはありませんが、本研究から健康に有益な情報が発信された場合、その情報を個人の健康増進に役立てることにより、間接的に利益が得られる場合があります。
ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に利用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により、本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開についてはホームページ掲載・学会発表・論文投稿にて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究では、診療情報(電子カルテ)より上記5.の情報を抽出して利用いたしますが、患者さんが特定できる情報(ID、氏名、住所など)を削除した状態で抽出しています。研究上取得した情報等は、個人情報が特定されない処理をしてあつかう事に細心の注意を払います。収集する個人情報は電子カルテから抽出される臨床情報であり、研究者の手元には個人を特定しうる情報が残ることはありません。また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも、患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。
本研究で試料は用いません。計測情報と被験者の個人情報は完全に分離されているとともに、各コンピュータはインターネットに接続せず、データは匿名化し、対応表は研究に携わらない第三者(ロコモフレイルセンターの事務担当)が保管いたします。研究期間中は、研究責任者がデータを保管し、終了後はロコモフレイルセンター長の研究室で10年以上保管します。破棄が必要となった場合、ハードディスクに保存したデータは粉砕処理など適切に破棄します。
本研究は、国立長寿医療研究センター 長寿医療研究開発費により運営されています。
開示すべき利益相反関係は、ございません。
研究に対するお問い合わせがございましたら、以下のお問い合わせ先までご連絡ください。研究責任者が対応いたします。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
ロコモフレイルセンター センター長 赤津裕康
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)