ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1897
「高齢入院患者における筋量推定式の妥当性の検証」についてのお知らせ
国立長寿医療研究センター老年内科部では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、通常の診療で得られた情報(カルテなど)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2025年2月19日
記
「高齢入院患者における筋量推定式の妥当性の検証」(倫理・利益相反委員会受付番号No.1897)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
国立長寿医療研究センター 老年内科部 老年内科 医師 宮原周三
国立長寿医療研究センター 老年内科部 老年内科 非常勤医師 前田圭介
サルコペニア、低栄養は高齢者の予後に影響を及ぼし、筋量低下はいずれの診断においても重要です[1、2]。筋量評価は専門的な機器(Dual-energy X-ray Absorptiometry、CT、MRI等)を用いたものが推奨されていますが、それらは環境によって実施が困難なケースも存在しています。様々な環境においても筋量評価を行うため、これまでに身体測定値や血液バイオマーカーによる筋量推定が試みられてきました [3、4]。一方で、特定の患者集団におけるそれらの有用性の比較や検証はあまり行われていません。そこで本研究は、これまでに報告されている筋量推定式の有効性を、高齢入院患者さんにおいて評価することを目的としました。
筋量評価に対する代替手段の精度が高精度であることが明らかとなれば、地域や一般病棟に入院した多くの患者さんに評価を行うことが可能となります。それにより、これまで評価が困難だった患者さんに対して、早期の評価・早期に介入を行うことが可能となります。また、これまでに報告されている様々な方法を同時に比較することで、日本人高齢者における各評価方法間の有効性の差が評価できます。低筋量を評価することはサルコペニアや低栄養診断に繋がり、早期からサルコペニアや低栄養対策が打てる可能性があります。これらのことは、サルコペニアや低栄養に陥ることで国民が被る不利益(死亡率、転倒骨折の増加等)を減少させ、医療費の増加を抑制する可能性があります。
注釈:サルコペニアとは、全身の筋肉量と筋力が低下した疾病を指しています。
国立長寿医療研究センターで研究に参加された方が、今回の研究の対象になります。
年齢、性別、飲酒、喫煙、既往歴、要介護度、高齢者総合機能評価、主病名、問題点、採血、薬剤名、Body Mass Index、Clinical Frailty Scale(虚弱の評価)、血圧、Performance status (身体機能)、Barthel index (日常生活動作)、IADL(手段的な日常生活動作、お金の管理など)、Geriatric Depression Scale-15(うつの評価)、Mini Mental State Examination (物忘れの評価)、入院元
Mini Nutritional Assessment-Short Form(栄養の評価)、the Global Leadership Initiative on Malnutrition criteria(栄養の評価)、握力、歩行速度、下腿周囲長、血液データ、握力、筋肉量(DXA)、筋質、握力、体温、血圧、脈拍数、呼吸数、SpO2、呼吸パターン、quick SOFA(呼吸数、意識レベル(GCS)、収縮期血圧)
Barthel index、薬剤名、Body Mass Index、Clinical Frailty Scale、在院日数、退院先、Performance status、入院期間中のせん妄、転倒、新規の褥瘡、新規の失禁、感染症
握力、筋肉量、筋質、Mini Mental State Examination
死亡の有無、再入院の有無、Barthel index、CFS、Performance status、療養場所、要介護度、救急受診の有無、転倒の有無、訪問診療の有無
すべての項目は、研究のための新たな侵襲を伴いません。
上記の情報については、使用前に保険者保護の観点から、倫理・利益相反委員会の承認後1か月以上経過後から使用予定です。
入院時のデータを用いて筋量推定式から算出された筋量と、DXAにより導かれた筋量との相関・一致度や誤差を報告します。
2025年2月19日から2026年3月31日
対象者は以下の適格基準に合致し、除外基準に抵触しない人とします。
下記項目をすべて満たすものとします
下記項目を一つでも満たす者
既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益ならびに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に利用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには、解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により、本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、日本サルコペニア・フレイル学会での学会発表および日本老年医学会雑誌への投稿などにて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
「高齢入院患者の予後不良の関連因子の検討のための登録研究」では、計測情報と被験者の個人情報は完全に分離されているとともに、各コンピュータはインターネットに接続せず、データは匿名化し、対応表は老年内科部内に保管されています。本研究において、データの分析は匿名化の後に実施します。
本研究に係る情報、文書、記録等は、本研究成果の発表後10年間、鍵付きのロッカー、またはインターネットに接続しないパスワード付きのPCで、個別化の対応表以外を研究責任者および共同研究者が保管します。匿名化の対応表は、老年内科部内に保管されています。保管期間終了後、紙媒体の資料はシュレッダーで、電子媒体の資料はデータ消去ソフトウエアで廃棄します。
本研究の遂行にあたって、研究責任者、共同研究者、研究協力者と特別な利益相反状態にある企業等はありません。
「高齢入院患者の予後不良の関連因子の検討のための登録研究」に登録された患者さんおよびその関係者の方からの本研究に関する相談を、研究責任者が窓口となり、随時受け付けます。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
老年内科部 老年内科医師 宮原周三
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)