ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1845
国立長寿医療研究センター(研究所、病院)、国立循環器病研究センター(脳神経内科、バイオバンク)では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、通常の診療で得られた情報(電子カルテなど)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2024年9月5日
記
「認知症の薬物および非薬物治療効果のモニタリングシステムの開発」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1845)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
野口倫生
認知症対策は世界の喫緊の課題ですが、最近レカネマブのような有望なアルツハイマー病(AD)の疾患修飾薬(DMT)が登場し、我が国でも薬事承認がなされて保険診療が開始されたことや、非薬物治療による発症遅延法の研究が進んだことなどにより、早期治療による認知症対策が現実的なものとなってきています。しかし、これらの治療の効果は個人差が大きく、また、その有効性を客観的に評価するには、神経心理学的評価に、アミロイド(Aβ)PET(Aβ-PET)や髄液バイオマーカー検査のような脳の病理変化に対応したバイオマーカー検査を組み合わせ、年単位のスパンで縦断的に観察することが必要です。加えて、心理学的検査は体調や精神状態に影響されるため個人内変動が大きく、また、PETや髄液検査はコストもしくは侵襲性が高いことが問題となっています。
そこで本研究は、なるべく低侵襲、かつ短期的なスパンで脳の病理や病態変化を捉え、治療効果のモニタリングができる方法を開発することを主な目的とします。われわれはその手段として、血液バイオマーカーや、fMRI、MEGといった脳の機能的イメージングが有用と考えています。近年、血液バイオマーカー研究はめざましい進展を遂げ、ADに伴うAβ蓄積、Tau蓄積、神経変性、神経炎症といった脳の病理学的変化をとらえることが可能になってきており、特にAβ病理に関しては非常に高精度な血液バイオマーカーが利用可能です。また、ADに伴う脳の機能的変化は、fMRIやMEGを用いてシナプス・ネットワーク機能の変化としてとらえることができます。
また、レカネマブのようなAβ抗体療法では、高頻度に脳浮腫や出血といった有害事象(Amyloid-related imaging abnormalities:ARIA)が発生することが問題になっており、これを予測するバイオマーカーもニーズが高いと思われます。本研究では、このARIA発生を予測するバイオマーカーの開発も目指していきます。更に、血液バイオマーカーがレカネマブ適応者選定の際のスクリーニングツールとして有用かどうか、コストパフォーマンスも含めて検証を行います。
加えて、もの忘れ外来には、医師による臨床診断に加え、認知機能や日常生活動作を含む総合的機能評価、MRIなどの脳画像検査、血液検査など包括的な検査の情報が縦断的に蓄積されています。したがって、レカネマブや非薬物療法を希望されない方のもの忘れ外来に蓄積されていく臨床データを活用し、レカネマブ治療や非薬物療法を実施した方との検査結果の比較を行うことも目的としています。
本研究では、もの忘れ外来における通常診療で得られた情報を使用します。具体的には、病名、年齢、性別、認知機能、脳画像、血液検査の結果、血液試料などが含まれます。今回、これらの情報をもとに、対象者の方の認知機能や血液指標の経時的な変化を調査し、レカネマブ治療や非薬物療法を実施した方との比較を行います。
上記の情報については、利用・提供前に被験者保護の観点から、倫理・利益相反委員会承認後1か月以上経過後から、利用・提供予定です。
倫理・利益相反委員会承認後から2026年3月31日にもの忘れ外来を受診した患者さんを対象とし、その患者さんの情報を分析します。
2024年9月5日 ~ 2027年3月31日
本研究の対象者は、倫理・利益相反委員会承認後から2026年3月31日にもの忘れ外来を受診し、バイオバンク事業への参加に同意した患者さんです。
既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益ならびに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に利用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには、解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により、本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、ホームページ掲載・学会発表・論文投稿などにて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究で利用するすべての情報は、匿名化されたうえで研究者に提供されています。また、研究者に提供された試料・情報がどなたのものであるかがわかる対応表は、研究者に提示されることはありません。研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも個人を特定できるような内容を含むことはございません。
抽出したデータ、患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表、匿名化されたデータについては、研究期間終了後10年もしくは学会や論文等での発表から10年の間保管いたします。抽出したデータ、匿名化されたデータ・対応表については国立長寿医療研究センター予防科学研究部にて、保存媒体を施錠保管いたします。保管期間満了後は、速やかに裁断しデータを廃棄いたします。本機関のもの忘れ外来で得られた情報を、他機関へ提供することはありません。
本研究は、国立長寿医療研究センター長寿医療研究開発費、国立高度専門医療研究センター横断的研究開発費、堀科学芸術振興財団の研究費にて行います。
本研究の計画・実施・報告・作成するデータベースおよび結果の解析と解釈に影響を及ぼすような利益の衝突は存在しません。研究代表者等は、本研究の実施に先立ち、本研究に係る利益相反に関する状況について各研究機関の規定にしたがって報告し、透明性を確保します。
研究に対するお問い合わせがございましたら、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。研究責任者が対応いたします。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 認知症先進医療開発センター
バイオマーカー開発研究部 研究代表者 部長 中村昭範
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)