ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1841
国立長寿医療研究センターでは、「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」への研究参加同意をいただいた方を対象とした生命科学・医学系研究を実施しております。NILS-LSAでは、対象者の皆様の様々な調査・検査結果を、老化・老年病予防を目的とした研究に利用しております。尚、対象者の皆様からは、様々な調査・検査結果を老化・老年病予防を目的とした研究に使用することについて、同意を得ております。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる方のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2024年8月30日
記
「地域在住高齢者におけるキノコの摂取と認知機能および抑うつ症状との関連:日米共同研究」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1841)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
高齢化率の上昇に伴って問題となる認知機能低下や神経精神疾患に対し、栄養学的側面からの予防についての研究が進められてきています。その中でもキノコには、エルゴチオネインやグルタチオンという抗酸化物質が多く含まれており、これらの物質が認知機能や抑うつと関連することを示す研究がいくつか存在しています。日本で一般的に食されるキノコ(シイタケ、マイタケなど)には、海外で食されるキノコに比べてこれら2つの抗酸化物質が高濃度に含まれており、健康への好影響が期待されます。しかし、キノコとその成分が中高年の認知機能や抑うつに及ぼす影響については、まだ十分に解明されていません。
本研究では、「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(National Institute for Longevity Sciences - Longitudinal Study of Aging: NILS-LSA)」のデータを用いて、キノコの摂取量および血中エルゴチオネイン・グルタチオン濃度と認知機能および抑うつ症状との関連を明らかにすることを目的とします。
高齢化が進行する日本において、認知機能低下およびその原因の一つとなる抑うつを予防する方策の解明は喫緊の課題です。本研究の成果は、認知機能低下や抑うつ予防のための具体的な栄養指導や介入プログラムの開発、高齢者向けの食生活指針の改善などにつながり、高齢社会における健康維持と医療費削減に貢献できると考えられます。
*上記の試料・情報については、利用・提供前に被験者保護の観点から、倫理・利益相反委員会承認後1か月以上経過後から、利用・提供開始予定です。
*本研究では、上記の試料・情報(要介護認定情報以外)を以下に提供予定です。
愛知県大府市および知多郡東浦町の地域住民(観察開始時年齢40歳から79歳)からの無作為抽出者を対象とした「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」第1次調査から第7次調査(1997年~2012年)のいずれかに参加した男女を研究対象者とし、キノコの摂取量および血中エルゴチオネイン・グルタチオン濃度と認知機能および抑うつ症状との関連を検討します。尚、凍結血清を用いて血中エルゴチオネインとグルタチオン濃度を測定しますが、測定はアメリカ合衆国のPenn State College of Medicineで行います。
2024年8月30日 ~ 2027年6月30日
NILS-LSA第1次調査から第7次調査(1997年~2012年)のいずれかに参加した男女のうち、必要なデータに欠損のない男女約3,900名を研究対象者とします。また、血中エルゴチオネインとグルタチオンの濃度測定は、本研究の対象者のうち、第2次調査に参加し、バイオマーカー測定が可能な約310名の凍結血清に対して行います。
NILS-LSAに提供いただいた既存の調査票記録および調査結果、試料を研究に利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、対象者の方に新たに発生する負担はありません。予測されるリスクは個人情報の流出ですが、個人から得られたデータは、個人が特定できないIDにより管理し、解析の際は氏名など個人を特定できる情報を除いた状態のデータを用いるため、個人情報流出の可能性は極めて低いです。また研究成果は、集団として解析した結果のみを示すため、研究成果から個人が特定されることはありません。
対象者個人に対する直接の利益も想定されませんが、本研究から健康に有益な情報が発信された場合、その情報を個人の健康増進に役立てることにより、間接的に利益が得られる場合があります。
対象者の方ご自身の検査結果が、本研究課題に利用されることに同意いただけない場合には、研究に使用する検査結果からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。
情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会報告や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
本掲示により、研究に関する情報公開とします。本研究で得られた研究結果は国立長寿医療研究センターが実施する研究として、学会報告・論文投稿にて発表します。また研究成果の内容によってはホームページ掲載や広報紙にて、対象者および一般住民の方に向けた内容で公表します。
他の対象者の個人情報保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
NILS-LSAの情報と試料は、氏名など個人を特定できる情報を除いた状態で保管・解析しております。尚、対象者の方からの申し出による同意の撤回や、転居や死亡など追跡に必要な情報を更新するため、特定の個人を識別可能なデータとNILS-LSA固有のIDとの対応表を作成し、国立長寿医療研究センター内のNILS-LSA研究に直接関わらない者が保管しております。
解析にあたっては、氏名など個人を特定できる情報を除いた状態のデータを用いるため、解析を行う研究者も、検査結果がどなたのものであるかは分かりません。
また研究成果は集団として集計した結果を学会報告や論文として発表しますので、解析結果から個人が特定されることはありません。
本研究では、国立長寿医療研究センターの研究責任者から、アメリカ合衆国のPenn State College of Medicineの研究責任者に試料および情報を提供します。提供する試料および情報は氏名など個人を特定できる情報を除いた状態であり、個人が特定されることはありません。
アメリカ合衆国における個人情報の保護に関する制度およびPenn State College of Medicineが属するPenn State Universityが講ずる個人情報の保護のための措置については、下記のとおりです。
本研究で利用するすべてのNILS-LSAに関する情報は、外部からのアクセスが不可能な、国立長寿医療研究センター内のパスワード管理されたサーバー内で保管します。また、本研究ではNILS-LSAの凍結血清をPenn State College of Medicineに送付し、血清中のエルゴチオネインとグルタチオンの濃度測定解析を実施します。測定した濃度データと、本研究で利用する要介護認定情報を除く情報は、本研究の研究責任者および研究分担者、研究協力者以外からのアクセスが不可能なPenn State College of Medicine内の、サイバーセキュリティによりユーザー保護されたコンピュータ内にて保存します。研究期間終了時には、Penn State College of Medicineに保管した情報、解析結果、解析プログラムを国立長寿医療研究センターに移管し、Penn State College of Medicineに保管したすべての情報は破棄します。本研究で利用する氏名など個人を特定できる情報を除いた状態にされたNILS-LSAデータおよび学術的公表に関する解析結果や解析プログラムなどは、一般からの問い合わせに応じることができるよう、研究終了(研究期間終了)後も10年間は、外部からのアクセスが不可能な、国立長寿医療研究センター内のパスワード管理されたサーバー内で保管します。尚、特定の個人を識別可能なデータとNILS-LSA固有のIDとの対応表は、国立長寿医療研究センター内のNILS-LSA研究に直接関わらない者が研究終了(研究期間終了)後も10年間は、外部からのアクセスが不可能な、国立長寿医療研究センター内のパスワード管理されたサーバー内で保管します。ただし、研究期間終了から10年後以降は、本研究に用いたすべての情報は個人が特定されない状態で完全に消去します。
測定後のNILS-LSA残余血清は、Penn State College of Medicineにて匿名のまま密封容器で保管し、検査データを確認した後、個人が特定できない状態で適切に廃棄します。
NILS-LSAのすべての情報・試料は、国立長寿医療研究センターの運営費や公的研究費(競争的研究資金等)を主財源として収集しており、国立長寿医療研究センターが管理・運用を行っています。本研究は、アメリカ国立衛生研究所の研究費(NIH Exploratory/Developmental Research Grant Award)および国立長寿医療研究センターの長寿医療研究開発費を資金源とします。本研究に参加する研究者間に一切の利害関係は無く、研究費について開示すべきCOI(利益相反)はありません。
本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載のお問い合わせ先までご連絡ください。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
研究所 老年学・社会科学研究センター 老化疫学研究部
長期縦断疫学調査センター
老化疫学研究部長 大塚礼
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)