ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1791-3
「認知症リスク低減を目指した多因子介入研究の統合解析」についてのお知らせ
国立長寿医療研究センター、名古屋大学、藤田医科大学、東京都健康長寿医療センター、神戸大学、横浜市立大学、名鉄病院、日本歯科大学、鳥取大学、東京医科歯科大学、産業技術総合研究所、東京都立産業技術大学院大学、神戸学院大学、東京医科大学、統計数理研究所、順天堂大学、福岡女子大学、安田女子大学、久留米大学、愛知県がんセンター、京都大学では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、認知症リスクをもつ高齢者に対する進展予防を目指した多因子介入によるランダム化比較研究(J-MINT研究)と、その関連研究であるJ-MINT PRIME Tamba研究およびJ-MINT PRIME Kanagawa研究のデータを用いて、解析を行うものです。
J-MINT研究とJ-MINT PRIME Tamba研究、J-MINT PRIME Kanagawa研究では、対象者の皆様から、様々な調査を実施し認知症予防を目的とした研究に使用することについて同意をいただいております。そのため、このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる試料提供者様のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2025年8月29日
記
「認知症リスク低減を目指した多因子介入研究の統合解析」(倫理・利益相反委員会受付番号No.1791-3)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
認知症は急速に拡大している世界的な公衆衛生の課題とされており、 認知症リスクを低減するための適切な介入方法を開発することは喫緊の課題です。
近年、認知症の発症には多くの危険因子が関与していることが明らかとなっており、The Finnish Geriatric Intervention Study to Prevent Cognitive Impairment and Disability(FINGER研究)をはじめとして、複数の危険因子に対して総合的な介入を行う多因子介入研究が行われてきましたが、結果は一致してきませんでした。
そこで、本邦においても、2019年から認知症リスクをもつ高齢者に対する進展予防を目指した多因子介入によるランダム化比較研究(J-MINT研究)が開始され、軽度の認知症機能障害を有するMCI相当の高齢者に対する、多因子介入プログラム(運動、栄養指導、認知トレーニング、生活習慣病の管理)の認知機能に対する効果を検証してきました。また、関連研究として、兵庫県丹波市においてJ-MINT PRIME Tamba研究、神奈川県横浜市においてJ-MINT PRIME Kanagawa研究も開始され、それぞれの地域の実情に合わせた多因子介入の認知機能に対する効果を検証してきました。
現在各研究における介入は終了しており、介入結果に関する論文の執筆・投稿が進められています。J-MINT研究では、認知機能に対する統計学的に有意な効果は認められませんでしたが、運動教室への参加率が70%以上の対象者では、認知機能の改善効果が認められました。また、部分集団解析では、前期高齢者(65から74歳)やApoE-ε4 という遺伝子を保有している高齢者、脳内炎症の程度を示す認知症バイオマーカーであるGlial fibrillary acidic protein(GFAP)が高い高齢者において、介入効果が認められやすい可能性が明らかとなっています。J-MINT PRIME Tamba研究においては、認知機能に対する介入効果が認められましたが、J-MINT PRIME Kanagawa研究では認知機能に対する介入効果には統計学的有意差は認められませんでした。
このように、多因子介入による認知機能への介入効果には、対象者の特性や介入地域の特性によって異なる可能性があり、今後の社会実装を見据えて、認知症予防を目指した多因子介入プログラムが有効な対象者を特定することが重要となります。しかし、個々の研究における層別解析では、対象者数が減少することによる検出力不足などの課題があります。
そこで本研究は、J-MINT研究とJ-MINT PRIME Tamba研究、J-MINT PRIME Kanagawa研究のデータを統合し、統合データベースを用いた解析を実施することで、多因子介入による認知機能低下抑制効果の検証や介入が有効な高齢者の探索をはじめとした、認知症リスク低減に寄与するエビデンスを創出します。
本研究は、J-MINT研究およびJ-MINT PRIME Tamba研究、J-MINT PRIME Kanagawa研究への参加およびデータ利用に同意された方を対象とします。
本研究では、J-MINT研究とJ-MINT PRIME Tamba研究、J-MINT PRIME Kanagawa研究において取得された情報を使用します。具体的には、年齢、性別、生活歴などの基本情報に加え、身体機能や認知機能、生活機能、ライフスタイル、血液検査、脳画像検査、身体活動量、介入に関するデータなどを使用します。これらの情報は2024年4月11日から、各研究機関に提供します。
本研究ではこれらの情報を使用して、多因子介入プログラムの介入効果や多因子介入プログラムが有効な対象者を調査します。また、認知機能やライフスタイルに影響を及ぼす因子も検討し、認知症予防に資するエビデンスを創出します。
2024年3月15日から2034年3月31日
本研究では、J-MINT研究とJ-MINT PRIME Tamba研究、J-MINT PRIME Kanagawa研究において、すでに収集されている情報を利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益および危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
ご自身の情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには、その研究結果に含まれるあなたの情報を削除できないことがあります。
この掲示により、本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、当センターのホームページや学会発表、論文投稿などにて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書または研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究では、J-MINT研究とJ-MINT PRIME Tamba研究、J-MINT PRIME Kanagawa研究の情報をID化した上で国立長寿医療研究センターに集約するため、個人情報が研究者に提示されることはありません。研究者に提供された情報がどなたのものであるかがわかる対応表は、J-MINT研究の参加者については国立長寿医療研究センター、J-MINT PRIME Tamba研究については神戸大学、J-MINT PRIME Kanagawa研究については横浜市立大学における、本研究に直接関わらない者が、外部からのアクセスが不可能なパスワード管理された端末で厳重に保管します。研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも個人を特定できるような内容を含むことはございません。
本研究で利用するすべての情報は、外部からのアクセスが不可能な、国立長寿医療研究センター、名古屋大学、藤田医科大学、東京都健康長寿医療センター、神戸大学、横浜市立大学、名鉄病院、日本歯科大学、鳥取大学、東京医科歯科大学、産業技術総合研究所、東京都立産業技術大学院大学、神戸学院大学、東京医科大学、統計数理研究所、順天堂大学、福岡女子大学、安田女子大学、久留米大学、愛知県がんセンター、京都大学の、パスワード管理された端末で保管します。特定の個人を識別可能なデータと本研究のIDとの対応表に関しては、J-MINT研究の参加者については国立長寿医療研究センター、J-MINT PRIME Tamba研究については神戸大学、J-MINT PRIME Kanagawa研究については横浜市立大学が、外部からのアクセスが不可能なパスワード管理された端末で保管します。本研究で利用するデータセットおよび学術的公表に関する解析結果や解析プログラムなどは、一般からの問い合わせに応じることができるよう、研究終了(研究期間終了)後も各研究機関で保管します。
研究資金は、以下の研究資金および各研究機関が保有する研究資金により、まかなわれています。本研究の計画・実施・報告・作成するデータベースおよび結果の解析と解釈に影響を及ぼすような、利益の衝突は存在しません。この研究に関する利益相反に関しては、当センターの利益相反対処方針に従い、利益相反行為防止規則を遵守し、適正に本研究を実施します。
代表:櫻井孝
課題名:認知症の共生と予防に貢献するエビデンス構築研究
代表:櫻井孝
課題名:認知症予防と栄養・代謝、がんに関する研究 ~1次予防から3次予防を考える~
代表:櫻井孝
課題名:MCIの早期発見・早期介入と認知症合併症の予防に関する研究
代表:櫻井孝
課題名:エビデンスに基づく認知症予防プログラムの社会実装 ~高齢者のQOL向上と持続可能なコミュニティ支援の確立~
代表:櫻井孝
本研究では、アルツハイマー病に関連する可能性があるApoEという遺伝子の情報を利用しますが、その結果は、対象者本人、ご家族、主治医には開示しません。その理由は、認知症に関連する遺伝子異常が判明しても、今の医学では遺伝子異常を治療できる可能性が低く、遺伝子の情報によって治療方針が変わらないからです。また、遺伝カウンセリングは実施しません。
研究に対するお問い合わせがございましたら、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。研究責任者が対応いたします。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
理事長 荒井秀典
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)