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ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1780

倫理・利益相反委員会受付番号No.1780

「認知症における中枢および末梢の神経機能の変化を測る機能的血液バイオマーカーの開発(倫理・利益相反委員会受付番号No.1780)」人を対象とする生命科学・医学系研究実施についてのお知らせ

 国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
 本研究は、国立長寿医療研究センターバイオバンクより分譲を受けた試料・情報を用いて解析を行うものです。
 国立長寿医療研究センターバイオバンクではお預かりした試料・情報の利用にかかる包括的同意をいただいているため、このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる方のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
 本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2024年2月1日

1.研究課題名

「認知症における中枢および末梢の神経機能の変化を測る機能的血液バイオマーカーの開発」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1780)

本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。

2.研究機関の名称および研究責任者の氏名(部署名)

  • 国立長寿医療研究センター 神経遺伝学研究部 副部長 関谷倫子

共同研究機関の研究責任者

  • 新潟薬科大学 医療技術学部 教授 中川沙織
  • 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 特任准教授 菊地正隆

3.研究分担者名(部署名)

国立長寿医療研究センター

  • 神経遺伝学研究部
    • 部長 飯島浩一
    • 研究員 榊原泰史
    • 外来研究員 廣田湧
  • 研究所長 櫻井孝
  • 脳機能画像診断開発部 部長 加藤隆司
  • バイオインフォマティクス研究部 部長 重水大智

4.本研究の意義、目的

アミロイドβ42やリン酸化タウ(p-tau T217やp-tau T181)、ニューロフィラメント(NfL)など、認知症の脳病理や神経変性といった器質的変化を反映する血液バイオマーカーが確立されつつあります。一方、病態の進行に伴う脳の神経活動の低下や末梢神経の障害、また治療薬投与によるそれらの改善効果といった、機能的変化を客観的に測る血液バイオマーカーも必要となっており、それらの確立が望まれています。
そこで本研究では、認知症で認められる中枢(脳)、並びに末梢の神経機能の変化を反映する、機能的血液バイオマーカーの開発を目的とします。目的1では、中枢の神経機能の指標として24(S)‐ヒドロキシコレステロール(24S-OHC)、ならびにコレステロール代謝物の血中濃度を測定し、脳病理を反映する器質的バイオマーカー(p-tau T217)のレベル、および臨床情報を統合して解析し、認知機能と良く相関するバイオマーカーを同定します。目的2では、末梢自律神経系の機能指標としてノルアドレナリンやセロトニンなどのモノアミンと代謝物の血中濃度を測定し、そこへα-シヌクレイン凝集体の検出によるα-シヌクレインの脳内蓄積に関する評価と臨床情報を統合して、α-シヌクレインの脳内蓄積の有無によるモノアミン代謝物の変化を明らかにします。

5.本研究に使用する情報

本研究では、国立長寿医療研究センターバイオバンクに保管されている血液試料(血漿)を使用します。血液試料は、国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部が提供を受け、さらに新潟薬科大学医療技術学部に提供し、血中物質の測定を行います。本研究において使用する情報は、試料番号、年齢、性別、病歴に関する情報(診断、発病期間、治療経過、処方歴、感染歴)、画像データ、神経心理学的検査データ、血液検査データ、APOE遺伝子型になります。これらの臨床情報は、国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部が提供を受け、新潟薬科大学医療技術学部、および東京大学大学院新領域創成科学研究科と共同して利用します。
上記の試料・情報については、被験者保護の観点から、倫理・利益相反委員会の承認から1ヶ月以上経過した後に、利用・提供予定です。

6.本研究の方法

本研究では、国立長寿医療研究センターバイオバンクに保管されている血液試料(血漿)を用いて血中物質の測定を行い、その測定データや臨床情報を統合して解析し、バイオマーカーの組み合わせを決定します。
目的1では、脳内アミロイド病理を反映するリン酸化タウ(p-tau T217)を超高感度ELISA(Simoa)法を用いて測定し、脳病理の有無を評価します。さらに、コレステロール代謝産物(24S-OHCなど12種類の血中オキシステロール)の含有量を、ガスクロマトグラフィー・質量分析法を用いて測定します。これらの測定データと、認知機能評価(MMSEスコア)やAPOE遺伝子型などの臨床情報を統合して解析し、最も良いバイオマーカーの組み合わせを決定します。
目的2では、血漿中のα‐シヌクレイン異常凝集体を最新の手法を用いて検出し、α‐シヌクレインの脳内蓄積の有無を評価します。さらに、血漿に含まれるモノアミン(ノルアドレナリン、アドレナリン、ドパミン、セロトニン)、およびその前駆物質や代謝産物(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール(MHPG)、バニリルマンデル酸、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸、5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)、トリプトファン)の含有量について、液体クロマトグラフィー・質量分析法を用いて測定し、これらの測定データと臨床情報を統合して解析します。

7.研究期間

2024年2月1日 ~ 2028年3月31日

8.対象となる患者さん・研究対象者として選定された理由

国立長寿医療研究センターバイオバンクに保管されている血液試料(血漿)から、目的ごとに以下のように、研究対象となる方の試料を選定します。
目的1では初めに、臨床診断が確定している、認知機能健常若齢者(50歳未満)、認知機能健常高齢者(50歳以上)、軽度認知障害(MCI)者(MMSEスコア27以下)、アルツハイマー病(AD)患者(MMSEスコア23以下)について、可能な限り、性別、年齢を合わせて、またAPOE遺伝子型に偏りが生じないように各50例を選定し、24S-OHCの血中濃度と血中p-tau T217の量や、臨床情報を統合して解析を行います。以上の結果を踏まえて、レビー小体型認知症(DLB)患者(MMSEスコア23以下)と前頭側頭葉変性症(FTD)患者(MMSEスコア23以下)について各30例を、可能な限り、性別、年齢を合わせて選定し解析します。DLB患者については、脳ドパミントランスポーターシンチグラフィ、またはMIBG心筋シンチグラフィによる画像診断に基づいて、研究対象となる方を選定します。解析結果に応じて、バイオバンクと調整の上、各患者群の検体数の追加解析を検討します。
目的2では初めに、臨床診断が確定している、認知機能健常高齢者(50歳以上)とDLB患者(MMSEスコア23以下)について、可能な限り、性別、年齢を合わせて各50例を選定し、血中α‐シヌクレイン凝集体の量やモノアミンの血中変化、臨床情報を統合して解析します。以上の結果を踏まえて、AD患者(MMSEスコア23以下)について50例を選定し、血中のα‐シヌクレイン量と自律神経障害の相関を解析します。

9.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスクおよび利益

本研究では、国立長寿医療研究センターバイオバンクに収集されている既存の試料・情報を利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益ならびに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。一方、認知症における脳、ならびに末梢の神経機能を測る機能的血液バイオマーカーを開発することができれば、病態の進行に伴う脳の神経活動の低下や末梢自律神経の障害、治療薬投与によるそれらの改善効果といった機能的変化を客観的に評価できるようになり、有効な予防・発症遅延法の開発にも貢献すると考えられます。

10.研究実施について同意しないことおよび同意を撤回することの自由について

研究対象となる方、またそのご遺族において、研究対象者となる方の血液試料と情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報から研究対象者となる方にかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。

11.本研究に関する情報公開の方法

本掲示をもって、本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、ホームページ掲載、学会発表、論文発表などにて行う予定でおります。

12.研究計画書等の閲覧について

他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。

13.個人情報等の取扱い

本研究の対象となる方の血液試料と情報には、採取時に患者名等の個人情報とは関係のない試料番号が付され、厳重なセキュリティー下で保管されています。個人情報と試料番号の対応は、国立長寿医療研究センターバイオバンクのスタッフのみがアクセス可能なデータベース(外部から遮断された専用サーバーで、アクセスにはスタッフ個別の認証が必要なもの)でのみ確認することができ、それ以外の者に個人情報が漏洩しないよう管理されています。本研究において利用する情報は、試料番号、年齢、性別、病歴に関する情報(診断、発病期間、治療経過、処方歴、感染歴)、画像データ、神経心理学的検査データ、血液検査データ、APOE遺伝子型のみであり、個人を特定できる情報は含まれません。
また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも研究の対象となられた方を特定できるような内容を含むことはございません。

14.試料・情報の保管および廃棄の方法

試料・情報の提供に関する記録は、国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部、新潟薬科大学医療技術学部、および東京大学大学院新領域創成科学研究科にて、コンピュータ、およびバックアップ用記憶媒体に当該論文等の発表後10年間まで保管します。
匿名化された研究データについては、国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部、新潟薬科大学医療技術学部、および東京大学大学院新領域創成科学研究科のコンピュータ、およびバックアップ用記憶媒体に当該論文等の発表後10年間まで保管します。匿名化されたデータと個人の識別情報との対応表については、国立長寿医療研究センターバイオバンクにてパスワードを設定したファイルとして管理し、外部と接続できないコンピュータで厳重に取り扱います。保管期間満了後は、専門家とも相談しながら、保存媒体ごと安全な形でデータを廃棄します。
試料は、混合や盗難、紛失等が起こらないように、本研究の関係者のみがアクセスできる国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部、新潟薬科大学医療技術学部の試料保管庫(施錠可能な冷凍庫)にて保管します。解析等に使用した試料は、当該論文等の発表後5年間まで保管し、保管期間満了後は医療廃棄物として廃棄します。

15.研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反および個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

本研究は日本学術振興会科学研究費補助金、堀科学芸術振興財団研究助成事業、および長寿医療研究開発費によって行われる予定であり、研究に係る利益相反は生じません。

16.研究対象者等およびその関係者からの相談等への対応

国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部 関谷倫子、新潟薬科大学医療技術学部 中川沙織、および東京大学大学院新領域創成科学研究科 菊地正隆にて対応いたします。

17.研究に関する委託する業務の内容および委託先の監督方法

本研究で実施する、超高感度ELISA(Simoa)法を用いたp-tau T217の測定については、国立長寿医療研究センターにて血液試料(血漿)を選定、調製した後、業者(選定中)に試料を送付し、測定業務を委託して行います。研究代表者(国立長寿医療研究センター神経遺伝学研究部 関谷倫子)が担当者と調整し、業務の進捗を管理します。

本研究に関するお問い合わせ先

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
 神経遺伝学研究部 副部長 関谷倫子

〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地

電話:0562-46-2311(代表)