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倫理・利益相反委員会受付番号No.1734

「RDWに関するゲノムワイド関連解析(倫理・利益相反委員会受付番号No.1734)」人を対象とする生命科学・医学系研究実施についてのお知らせ

 国立長寿医療研究センターでは、「国立長寿医療研究センターバイオバンク」への研究参加同意をいただいた方を対象とした生命科学・医学系研究を実施しております。バイオバンクでは、対象者の皆様の様々なデータを老化・老年病予防を目的とした研究に利用しております。尚、対象者の皆様からは、様々な調査・検査結果を老化・老年病予防を目的とした将来の研究に使用することについて、同意を得ております。
 この度、国立長寿医療研究センターにおいて「RDWに関するゲノムワイド関連解析」を実施することとなりましたので、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づき、研究実施の情報公開をいたします。
 本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2023年8月21日

1.研究課題名

「RDWに関するゲノムワイド関連解析」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1734)

本研究課題は、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。

2.研究機関の名称および研究責任者の氏名(部署名)

  • 国立長寿医療研究センター 血液内科部 部長 勝見章

3.研究分担者名(部署名)

国立長寿医療研究センター

  • 研究所 メディカルゲノムセンター センター長 尾崎浩一
  • 整形外科部 部長 酒井義人​
  • 血液内科部 医師 小原史也、技術補佐員 伊藤美由紀 

4.本研究の意義、目的

背景

RDW (red cell distribution width:赤血球分布幅)は、赤血球量の不均一性を反映する指標です。RDWは従来貧血の鑑別診断に用いられてきましたが、近年心血管疾患、静脈血栓塞栓症、癌、糖尿病、市中肺炎、慢性閉塞性肺疾患、肝不全、腎不全や、その他の急性・慢性疾患において、RDW上昇が見られることが報告されています。当センターでは椎体骨折保存治療の予後予測因子として研究が進められており、RDW は種々の疾患の短期および長期の予後に関する重要な情報とみなされています。また、RDW高値が一般集団における死亡の独立した危険因子であるとみなされてます。RDW の上昇がこれらの疾患の危険因子であるのか、それとも生物学的および代謝的な不均衡の随伴現象であるのかは、まだ明確にはなっていません。今回我々は、当センターバイオバンクに保存されている全ゲノム配列データおよびジェノタイピングアレイデータを利用して、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を提案しました。RDWの高い集団とRDWの低い集団の間で統計的に有意な頻度差を示す遺伝子多型を網羅的に検索し、RDW高値に関わる感受性領域の同定を行うとともに、機能的候補遺伝子の抽出を行います。

目的

本研究の目的はRDW高値に関わる機能的候補遺伝子の抽出を行うことで、RDWの生物学的意義、特に老化や炎症への関与メカニズムを解明することです。

意義・研究の科学的合理性の根拠

本研究は、当センターの中長期目標のうち「バイオバンクと連携した老化・老年学に関するコホート研究」に合致するものです。本研究を遂行することにより、RDWによる層別化を種々の疾患に拡大し、包括的な老化指標の策定に寄与できることが期待されます。

5.本研究の研究計画

本研究はバイオバンク既存試料・情報を用いた観察研究であり、介入、新たな侵襲を伴いません。

1.GWASによる高RDW感受性領域の同定

当センターバイオバンクに保存されている全ゲノムシークエンスデータ1,600例、Asian Screening Array(ASA)データ9,800例を利用します。保存時採血データより抽出したRDW値を解析し、統計的に有意な頻度差を示す遺伝子多型をGWASにより網羅的に検索します。

2.候補バリアントの抽出

同定された感受性領域群において、最も強い関連を示したバリアントと連鎖不均衡にあるバリアントを確認し、fine-mappingによりRDW値に直接関連するバリアントを抽出します。

3.抽出された関連候補バリアントの注釈・解釈

RDW値に関わる候補バリアントが機能的であるかどうかを、アノテーションソフトウェア等で判定します。また関連バリアントを統合するgene-based testを行い、候補遺伝子を同定します。遺伝子の発現量に影響を与えるバリアント群に関するeQTL(Expression-Quantitative Trait Locus:発現量的形質遺伝子座)情報、エピゲノム情報、転写因子結合配列情報等を統合することにより、感受性候補バリアントの解釈を行います。

4.同定した感受性バリアント群の総合的解釈

GWASの結果を用いたパスウェイ解析、タンパク質の相互作用、論文データベース、データベースによるノックアウトマウスの表現型等の情報により、感受性バリアントが影響を与える候補遺伝子について抽出を行い、RDW値に影響を及ぼす機能的候補遺伝子を抽出します。

6.本研究で使用する試料・情報

本研究はバイオバンク既存試料・情報を用いた観察研究であり、介入、新たな負担を伴いません。臨床情報として採血データを使用します。情報の利用開始予定日は、倫理・利益相反委員会承認後です。

7.研究期間

2023年8月21日 ~ 2026年3月31日

8.対象となる患者さん・研究対象者として選定された理由

当センターバイオバンクに保存されている全ゲノムデータとジェノタイピングアレイデータ、臨床情報

9.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスクおよび利益

バイオバンク事業に同意を頂いた方の検体・情報を研究に利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、対象者の方に新たに発生する負担はありません。予測されるリスクは個人情報の流出ですが、個人から得られたデータは、個人が特定できないIDにより管理し、解析の際は匿名化データを用いるため、個人情報流出の可能性は極めて低いです。また研究成果は、集団として解析した結果のみを示すため、研究成果から個人が特定されることはありません。
対象者個人に対する直接の利益も想定されませんが、本研究から健康に有益な情報が発信された場合、その情報を個人の健康増進に役立てることにより、間接的に利益が得られる場合があります。

10.研究実施について同意しないことおよび同意を撤回することの自由について

対象者の方ご自身の検査結果が、本研究課題に利用されることに同意いただけない場合には、研究に使用する検査結果からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。
情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会報告や論文等ですでに公開されている場合などには、解析結果を削除できないことがあります。

11.本研究に関する情報公開の方法

この掲示により本研究に関する情報公開とします。本研究で得られた研究結果は国立長寿医療研究センターが実施する研究として、学会報告・論文投稿にて発表します。また研究成果の内容によってはホームページ掲載や広報紙にて、対象者および一般住民の方に向けた内容で公表します。

12.研究計画書等の閲覧について

他の対象者の個人情報保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。

13.個人情報等の取扱い

生体試料と医療情報を研究に活用させていただく場合、個人を特定できなくするための匿名化等の操作を行い、プライバシーの保護に細心の注意を払います。具体的には、いただいた生体試料および医療情報から個人が特定できる情報(氏名や生年月日等)を消去し、新たな符合または番号を付して匿名化します。この符合や番号が誰の生体試料や医療情報と対応しているのかを示す「対応表」は、法令に則って個人情報管理者や個人情報管理補助者によって厳重に管理されます。万一、個人情報の漏えいなどにより損害をこうむられた場合は、関連する法律、および遵守すべき指針に即して適切に対処いたします。また研究成果は、集団として集計した結果を学会報告や論文として発表しますので、解析結果から個人が特定されることはありません。

14.試料・情報の保管および廃棄の方法

国立長寿医療研究センターバイオバンクより分譲された試料・情報については、学会や論文等での発表から10年の間、国立長寿医療研究センター血液内科部にて施錠保管します。保管期間満了後は速やかに試料・情報を廃棄します。バイオバンクが最終的にその使命を果たし、閉鎖される場合は、保管されていた試料および診療情報などは倫理・利益相反委員会の判断を受けて、適切な機関に移譲あるいは廃棄されます。

15.研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反および個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

バイオバンクの全ての情報・試料は、国立長寿医療研究センターの運営費や公的研究費(競争的研究資金等)を主財源として収集しており、国立長寿医療研究センターが管理・運用を行っています。本研究は、国立長寿医療研究センター所属の研究者による共同研究であり、国立長寿医療研究センターの長寿医療研究開発費を資金源とします。本研究に参加する研究者間に一切の利害関係は無く、研究費について開示すべきCOI(利益相反)はありません。

16.研究対象者等およびその関係者からの相談等への対応

本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載のお問い合わせ先までご連絡ください。

本研究に関するお問い合わせ先

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
 血液内科部 部長 勝見章

〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地

電話:0562-46-2311(代表)