ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1691-6
「高齢者機能健診および認知症・要介護リスクに関する縦断研究」についてのお知らせ
国立長寿医療研究センター予防老年学研究部では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、すでに取得したデータから必要な情報を取り出し、また、後述する2年後の再調査(以下、再調査)に参加した方については、その際に取得したデータをまとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象者様のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2025年3月17日
記
「高齢者機能健診および認知症・要介護リスクに関する縦断研究」(倫理・利益相反委員会受付番号No.1691-6)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
老年学・社会科学研究センター センター長 島田裕之
理事 鈴木隆雄
取締役執行役員 末延則子
栄養機能研究部 専任課長 中村健太郎
健康科学部健康栄養学科 教授 丸山和佳子
栄養機能研究部 研究員 佐々木舞雪
本研究における脳とからだの健康チェックには、問診、運動機能検査、認知機能検査、身体組成検査、血液検査などが含まれます。この健康チェックの約2年後に、同様の健康チェック(再調査)を実施します。さらに、これらの健康チェックから得られたデータと、自治体から提供をうける介護保険情報および医療レセプト情報を紐づけし、研究期間終了までの10年間、縦断的に新規要介護認定の発生や認知症の発症を追跡します。これにより、身体機能や認知機能の変化や、要介護認定の発生や認知症発症に関連する因子を特定することができ、認知症や加齢によって生じやすい疾病の背景にある心身機能の低下を早期に発見して、対処すべき体制の構築を図ることを目的としています。
現在までに、認知機能や運動機能などの心身機能を包括的に評価する事業が展開されておりますが、認知症発症の危険因子を同定することや、加齢変化をとらえるための縦断的な取り組みは十分には行えておりません。また、認知症の危険性が高い高齢者に対する予防戦略は整理できつつありますが、このような高い危険性を有する高齢者に焦点をしぼった方法では、対象となる方は全高齢者の数パーセントにとどまり、認知症発症率や要介護発生率を減少させるためには、地域全体の方々を対象とした取り組みを並行して実施する必要があると考えられます。
そこで、本研究では、行政、医療機関などが連携して皆様の心身機能を包括的に評価することで、認知症や要介護の発生の危険因子を特定することを目的としています。ひいては検査結果を皆様にお返しすることで、地域全体の健康意識の向上が促され、認知症予防および介護予防が達成できるのではないかと思われます。
また、国立長寿医療研究センターでは、新しい医療の研究開発に貢献するバイオバンク事業を進めています。本事業の目的は、皆さまからご提供いただく血液、尿、体の組織などの生体試料や診療情報・検査データなどの医療情報を収集、保管し、多くの研究者に広く配布・分譲することによって様々な病気の研究に活用することです。血液検体を含む一部の試料・情報に関しては、バイオバンク事業の規定にしたがって保管させていただきます。
機能健診情報:身体機能、認知機能、心理状況、脳画像、日常生活状況、血液情報など
死亡(死因含む)、疾病発生(がん罹患、脳卒中・心筋梗塞発症、糖尿病、認知症、うつ、その他)、要介護情報
上記の情報については、2024年1月1日から、利用・提供予定です。
本研究は、高齢者機能健診を実施し、得られたデータと老年症候群に関連する因子との横断的な調査を行います。また、死亡・疾患発生・新規要介護認定との縦断的な調査を行います。本研究に同意・参加された方の血液検体を用いて、愛知学院大学教授丸山和佳子が脳由来神経栄養因子(BDNF)の分析を担います。また、2023年から2024年にかけて実施した高齢者機能健診に参加した方を対象に、再調査を実施いたします。なお、対象となる方には順次こちらから参加に関するご案内を送付いたします。
2023年4月10日から2034年3月31日
高齢者機能健診および認知症・要介護リスクに関する縦断研究(倫理・利益相反委員会受付番号No. 1691-2から4)に同意・参加された方を対象としています。
健康チェックのためには、一定の場所にお越しいただき、実施するための時間をいただきます。また、健診会場への交通費もご負担いただく必要があります。
検査や採血(最大20ml)のために、注射針を刺します。これにともなって出血や痛みが生じる可能性があります。検査結果から、精神的ショックを受ける可能性があります。SNP解析によって得られた情報は個人の遺伝情報に関するものであり、非常にプライバシーにかかわるものです。個人情報の流出は対象者の方々の不利益になるため、データは厳重に管理し、情報流出リスクを最小限に抑える対策を講じます。また、本研究の結果によって対象者の方々が不利益を受けることはございません。MRIは、脳画像を作成するため静磁場(強さが一定の磁場)やラジオ波、傾斜磁場(非常に弱い変動磁気)を使用します。静磁場は3テスラの強さ、ラジオ波は携帯電話やラジオで使用する電波と同程度のごく弱いものを使用しております。通常の診療と同じ使用範囲で行い、安全性が高い検査です。これらの使用により生体に有害な影響を与えるという報告はありません。また、磁場を利用しますので、検査による被曝はまったくありません。
健康チェックへの参加によって、認知機能や身体機能などのご自身の状態を確認することができます。また、遺伝子情報を解析するSNP解析は、新たな疾患のリスク評価や、新たな予防法の発見などに役立ちます。
脳由来神経栄養因子(BDNF)の分析は、すでに採血を行った血液検体を使用させていただきます。そのため、本研究に参加することで生じる負担ならびに危険が生じるものはありません。
再調査については、参加していただくにあたり、再度健診会場にお越しいただき検査を受けていただく必要があり、時間的拘束が生じます。また、健診会場までの交通費をご負担いただく必要があります。再調査においても採血を実施しますので、出血や痛みが生じる可能性があります。
本研究の参加によって、対象者の健康や生活に直接生じる可能性のある利益はありません。
ご自身の研究データが、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に利用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により、本研究に関する情報公開といたします。匿名化されたデータは統計解析され、結果については論文・学会発表・報告書・マスメディアへの公表の形で公開しますが、個人情報が公表されることはありません。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究では、血液検体を用いるBDNF分析については、丸山(愛知学院大学)が担当しますが、対象者様が特定できる情報(氏名・住所・対象者ID番号など)を削除した状態で使用しています。血液運搬については、冷凍状態を維持したまま、国立長寿医療研究センターから愛知学院大学までの運搬を委託します。研究で得られたデータは研究の目的以外に使用せず、プライバシーを守秘し、いかなる個人情報も外部に漏れないよう配慮いたします。 また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも対象者様を特定できるような内容を含むことはございません。ただし、今後、予防老年学研究部が主体として実施する研究の案内を差し上げる可能性があります。
BDNF分析から得られたデータについては、研究終了後に本研究で得られた情報を廃棄する予定はございませんが、もし廃棄する必要がある場合には、後述の方法で消去いたします。
この研究は、国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部横断的研究推進費(分担研究者:島田裕之)、運営交付金「電子化医療情報を活用した疾患横断的コホート研究情報基盤整備事業」(主任研究者:島田裕之)、長寿医療研究開発費(主任研究者:島田裕之)、National Institutes of Health Research Project Grant(R01)(NIH)(分担研究者:島田裕之)、科学研究費助成事業科学研究費補助金基盤研究(B)(研究代表者:土井剛彦)、ポーラ化成工業株式会社からの研究費によって実施されます。また、一般社団法人 日本応用老年学会(研究分担者:鈴木隆雄)は、委託研究である「地域在住高齢者を対象とした大規模コホートによる乳・乳製品摂取と認知機能・心血管関連指標との関連性に関する研究」(株式会社明治乳酸菌研究所との委託契約)の研究費の一部を本研究に支出する予定です。顔画像検査における測定機器の無償提供元である、ポーラ化成工業株式会社との協働も利益相反情報として表示し、当センター利益相反防止規定を遵守しており、利益相反行為が生じないよう配慮をしております。それ以外に申告すべき利益相反情報はありませんし、本研究の計画・実施・報告において、研究の結果および結果の解釈に影響をおよぼすような「起こり得る利益の衝突」は適切に管理されますので、研究の実施が対象者の権利・利益を損ねることはございません。なお、本研究の結果に基づいて、特許等の知的所有権が生じた場合は、研究者あるいは研究機関がその知的所有権を持つことになります。
研究に対するお問い合わせがございましたら、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。研究責任者が対応いたします。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
老年学・社会科学研究センター センター長 島田裕之
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)