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ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1645

倫理・利益相反委員会受付番号No.1645

「MCI(mild cognitive impairment)を含む認知症患者のフレイル・要介護状態に陥る経時的変化とそのリスク因子の追求(倫理・利益相反委員会受付番号No.1645)」人を対象とする生命科学・医学系研究実施についてのお知らせ

 国立長寿医療研究センター予防科学研究部では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
 本研究は、国立長寿医療研究センターバイオバンクから分譲を受けた試料・情報を用いて解析を行うものです。
 国立長寿医療研究センターバイオバンクではお預かりした試料・情報の利用にかかる包括的同意をいただいているため、このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる試料提供者様のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
 本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2022年9月20日

1.研究課題名

「MCI(mild cognitive impairment)を含む認知症患者のフレイル・要介護状態に陥る経時的変化とそのリスク因子の追求」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1645)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。

2.研究機関の名称および研究責任者の氏名(部署名)

  • 国立長寿医療研究センター研究所 研究所長 櫻井 孝
  • 名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学 准教授 梅垣 宏行

3.研究分担者名(部署名)

国立長寿医療研究センター

  • 研究推進基盤センター センター長 新飯田 俊平
  • 予防科学研究部 研究員 杉本 大貴

名古屋大学医学部附属病院

  • 地域連携・患者相談センター 病院講師 小宮 仁
  • 老年内科 病院講師 藤沢 知里
  • 老年内科 助教 渡邊 一久
  • 老年内科 医員 山田 洋介
  • 老年内科 医員 長永 真明
  • 老年内科 医員 田島 富彦

4.本研究の意義、目的

人口の高齢化とともに、世界で認知症患者が急増することが予想され、認知症に対する対策が急がれます。認知症の発症を遅らすこと以外にも、認知症の経過中に起こる身体機能や筋肉量・栄養状態・生活の質・認知機能の低下・不眠や転倒をできるだけ予防し、認知症患者がフレイルや要介護状態に陥るのを予防し、できるだけ自立して生活できるよう策を立てることが望まれています。これまでの研究では認知症患者の経過で初期から身体機能の低下を示唆する報告がみられるものの、MCIを含む認知症患者の経過中の身体機能や筋肉量・栄養状態・生活の質・認知機能の低下・不眠や転倒の発生についての経時的な変化についての報告はほとんどありません。さらに、これまでにも運動量や外出頻度の低下・孤独・低栄養・食事量の低下などがフレイルサイクルといわれるフレイル・要介護状態に陥る悪循環の主要因子として報告されてきていますが、我々は、本研究でこれら既知の因子以外にもフレイルや要介護状態となる潜在的なリスク要因がないかを探索していきます。具体的には、過去の文献よりフレイル進行に関わる可能性が示唆されている耐糖異常、甲状腺機能異常の有無、脳血流の低下、高ホモシステイン血症、ビタミン欠乏、アルツハイマー型認知症患者のリスク因子であるApoE4遺伝子保持が、縦断的に認知症患者のフレイルを促進または抑制させる潜在的なリスク因子かどうかを検証していきます。たとえフレイルや要介護状態に陥っても、適切な介入や支援があれば、生活機能の維持向上が可能であると考えられています。本研究により、認知症患者がフレイルや要介護状態に陥る機序の解明の一助となり、それに関わる因子が同定されれば、これらのリスクに対する介入の試みへとつながり、認知症患者がフレイル・要介護状態に陥ることを予防できる可能性につながることが期待されます。

5.本研究に使用する情報

初診時の年齢、性別、教育歴、社会背景(既婚または未婚、誰かと同居しているかどうか、経済状況、職業歴)、既往歴(糖尿病、心臓病、肝不全、がん、脳卒中、認知症)、薬剤内服歴 (降圧薬、糖尿病治療薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗てんかん薬、利尿薬、抗うつ薬、抗精神病薬)、血圧、聴覚障害の有無についての情報と下記の情報を国立長寿医療研究センターもの忘れ外来のカルテより採取いたします。

  • 総合的機能評価:基本的日常生活活動度(Barthel Index)、手段的日常生活活動度(Lawton&Brody Index)、認知機能(Mini-mental state examination)、うつ(Geriatric depression scale: GDS15)、意欲(Vitality Index)、行動障害(Dementia Behavior Disturbance Scale)、介護保険の利用、社会的・ライフスタイル(軽い運動や体操の頻度、定期的な運動やスポーツの頻度、過去6カ月間での体重減少の有無、わけもなく疲れたような気がするかどうか、飲酒歴、喫煙歴、内服歴、夜よく眠れるかどうか、昼寝の時間)の評価
  • 老年症候群:呼吸困難、咳・痰・喘鳴、胸痛・胸部圧迫感、動悸・息切れ、全身倦怠、悪心・嘔吐、腹痛、下痢・便秘、発熱、麻痺、言語障害、誤嚥・むせ、しびれ、振戦、意識障害・失神発作、頭痛・頭重、耳鳴り、咀嚼障害、頻尿、排尿障害、褥瘡、かゆみ、腰痛、背部痛、下肢痛、上肢痛の有無
  • 転倒の有無、転倒スコア(Fall Risk Index-21を用いて評価する)、失禁、歩行障害、嚥下障害などの老年症候群の有無の調査
  • 栄養評価:Mini Nutritional Assessment 短縮版を用いた低栄養のスクリーニング
  • 身体機能検査:握力、ファンクショナルリーチ、歩行能力(歩行速度と3m Up and Go test)、バランス能力(開眼片足立ち持続時間、つぎあし歩行、重心動揺計) 
  • 体格と体組成計(インピーダンス法):身長・体重とBMI、下腿最大周囲長、体脂肪率、脂肪・筋肉量の測定
  • 神経心理検査:認知症や軽度認知障害(Mild cognitive impairment)の診断や経過観察のため、WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)-Ⅲ、ADAS(Alzheimer’s Disease Assessment Scale)、WAIS-R、WAB、Stroop test、Trail-making test、CDR(clock drawing test)、FAB、ウィスコンシンカードソーティングテスト、レーブン色彩マトリシス、コース立方体、時計描画試験などの検査を組み合わせた脳機能の評価
  • 液体因子検査項目:二次性認知症の診断の目的で一般血液検査(血算、生化学、血清)、ビタミンB1、B12、葉酸、TSH、fT3、fT4、BNP、シスタチンC、CRP
  • アポ蛋白Eフェノタイプ
  • 頭部MRI検査と頭部SPECT検査:頭部MRI検査(1.5T/3.0T)による脳萎縮、脳梗塞の有無・部位・数、脳皮質下虚血性病変の有無・部位・程度などを評価。脳血流をSPMというソフトでz-score化して抽出します。

また、運動機能・筋肉量・栄養状態・総合的機能評価・神経心理検査の経時的変化不眠・転倒の発生の有無を再診時に採取した情報を利用します。

6.本研究の方法

国立長寿医療研究センターもの忘れ外来初診時の身体機能検査・筋肉量・栄養状態・ADL・血中ホモシステイン値・血中ビタミン値をMCIから認知症に至るまでの多群間で有意差を認めるかを検証する。さらに、最低1回以上、1年毎に経時的に記録された再診時の身体機能検査・筋肉量・栄養状態・ADL・認知機能を記録し、初診時に比べて、有意に低下する順序について解析・検証します。認知症のタイプにより、不眠・転倒の発生が増加するタイミングがどのように違いがあるのかを解析・検討します。また、初診時の耐糖異常、甲状腺機能異常の有無、脳血流の低下の有無、高ホモシステイン血症の有無、ビタミン欠乏の有無、ApoE遺伝子の有無が、その後の身体機能検査・筋肉量・栄養状態・ADL・認知機能検査の低下と関係性があるのかを解析・検証します。これらの検定は、統計ソフトRやSPSSという統計ソフトを使って調べます。解析は、研究責任者及び研究分担者が行います。

7.研究期間

2022年9月20日 ~ 2027年3月31日

8.対象となる方・研究対象者として選定された理由

  • 日本語を母国語とする方
  • 2010年1月から2021年12月の間の国立長寿医療研究センターもの忘れセンター外来受診者

9.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスクおよび利益

既存の診療情報及び国立長寿医療研究センターバイオバンクに収集されている情報を利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益並びに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。

10.研究実施について同意しないことおよび同意を撤回することの自由について

ご自身の情報が、当該課題に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する試料・情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等で既に公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。

11.本研究に関する情報公開の方法

この掲示により本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、ホームページ掲載・学会発表・論文投稿などにて行う予定でおります。

12.研究計画書等の閲覧について

他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。

13.個人情報等の取扱い

この研究では、国立長寿医療研究センターもの忘れ外来の患者さんの診療情報(電子カルテ)より上記5.の情報を抽出して使用いたしますが、患者さんが特定できる情報(氏名・住所)を削除した状態で抽出しています。抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に使用いたします。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に使用する抽出データとは別にされ、当センター内にて厳重に保管されます。加えてバイオバンクの情報も使用いたしますが、匿名化されたうえで利用します。研究者に提供された情報がどなたのものであるかが分かる対応表は国立長寿医療研究センターで保有しており開示されることはありません。
本研究で使用する 5.に記載した情報は、名古屋大学医学部附属病院の生命倫理委員会で委託審査の許可と研究期間の長の許可を受け、名古屋大学医学部附属病院に解析の為提供されます。この倫理審査の書類の中に提供される5.の情報が記載され、保存されています。
また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。

14.試料・情報の保管および廃棄の方法

氏名・住所・電話番号・生年月日などの個人が特定される情報は、検査データ等から切り離して取り扱います。研究に携わらない第三者が、国立長寿医療研究センターで、個人が特定される情報と検査データとの対応表を適切に管理するため、個人が特定されることはありません。登録された情報の消去を希望される場合は遠慮なく申し出てください。
(問い合わせ先:国立長寿医療研究センター 研究所 研究所長 櫻井孝 電話番号0562-46-2311)
国立長寿医療研究センターの情報については、研究期間終了後もしくは学会や論文などでの発表から10年の間、国立長寿医療研究センター内にて施錠管理いたします。保存期間満了後は速やかに試料・情報を破棄いたします。

15.研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反および個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

認知症の共生と予防に貢献するエビデンス構築研究に対する長寿医療研究開発費の一部を使用します。申告すべき利益相反情報はありませんし、本研究の計画・実施・報告において、研究の結果および結果の解釈に影響を及ぼすような「起こり得る利益の衝突」は適切に管理されますので、研究の実施が対象者の権利・利益を損ねることはございません。なお、本研究の結果に基づいて、特許等の知的所有権が生じた場合は、研究者あるいは研究機関がその知的所有権を持つことになります。

16.研究対象者等およびその関係者からの相談等への対応

本研究のことでわからないこと、不安なこと、もっと詳しく知りたいこと、伝えたいことなどがある場合には最後のページに連絡先が書いてありますので、遠慮なくおたずねください。本研究実施担当者が対応いたします。

本研究に関するお問い合わせ先

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
 研究所長 櫻井 孝

〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地

電話:0562-46-2311(代表)