ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1635
国立長寿医療研究センター摂食嚥下・排泄センター消化管排泄機能研究室では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、通常の診療で得られた情報を電子カルテから必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2022年8月25日
記
「高齢者の慢性便秘症に対する診断および治療についての後ろ向き研究」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1635)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
慢性便秘症に苦しむ患者は加齢とともに増加することが知られています。便通異常は、常に腹部不快感をともなうため、ご高齢の方では特に食欲低下や意欲減退を引き起こすなどQOL低下や栄養状態の悪化をもたらす一因となることや大腸癌などの発癌のリスクも指摘されています。つまり、便通改善はご高齢の方にとっては日々のQOLの改善のみならず、健康状態を保つためにも非常に重要な問題であると言えます。慢性便秘症はそのメカニズムの観点から、医学的には、①大腸全体に便が貯留する大腸通過正常型、②消化管運動機能低下により右側結腸に便が貯留しやすい大腸通過遅延型、③直腸に便が貯留する便排泄遅延型の3つのタイプに分類することができます。しかし、この分類分けには腹部レントゲン撮影やCT撮影が必要で被曝や手間のかかることもありまして、実際の医療現場では殆ど考慮されることなく、センノサイドなどの刺激性便秘薬やマグネシウム製剤などの緩下剤が漫然と使用されているのが実情です。当センターでは、医師、看護師、薬剤師、療法士から構成される排便サポートチームを形成して慢性便秘に対する対策を検討してきました。最近、簡易型の腹部超音波を用いて便の蓄積状況を把握する方法をとりいれて便秘の型を決定して、この所見をもとに、適応と考えられる便秘薬で検討したり、排便しやすい体位をとれるような指導を行っています。しかし、診療報酬などに反映されていないことから、排便サポートチームを形成している施設は未だ少なく、チーム医療としての有用性の検証も殆どなされていません。
本研究では、高齢者における慢性便秘症の分類分けと便貯留の客観的評価に関する腹部超音波の有用性、およびその知見に基づいたチーム医療としての治療選択の有効性を明らかにすることを目的としております。
慢性便秘症の治療介入前後で、排便に関する調査項目の変化を調査します。
また、排便に関する調査項目の変化や、各種評価項目間の関連性についても検討して治療介入の効果に影響を与えると考えられる要因の有無に関しても検証します。
2020年4月から2025年3月31日までの間に、当センターにて慢性便秘症と診断されて治療を行った患者さんを対象とし、過去に行われた治療に関するデータを電子カルテから収集し検討を行います(後ろ向き研究)。なお、得られたデータは匿名化し個人が特定できない形で解析をおこないます。
2022年8月25日 ~ 2026年4月30日
2020年4月1日から2025年3月31日までの間に、当センターで慢性便秘症の治療を行った患者さんを対象者とします。
既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益並びに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については学会発表・論文投稿にて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究では、診療情報(電子カルテ)より上記5.の情報を抽出して使用いたします。抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に使用いたします。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に使用する抽出データとは別にされ、当センター内にて厳重に保管されます。
また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。
抽出したデータ、患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表、匿名化されたデータについては、研究期間終了後10年もしくは学会や論文等での発表から10年の間保管いたします。抽出したデータ、匿名化されたデータについては摂食嚥下排泄センターにて、保存媒体を施錠保管いたします。識別コードと患者を連結する対応表は、研究責任者が管理し、研究に関係しない第三者が施錠保管します。保管期間満了後は速やかに、紙媒体はシュレッダーにて、USB等の電子媒体は物理的に廃棄します。
本研究は長寿医療研究開発費を用いて実施しますので、本研究による内外の利益団体は存在しません。また、本研究遂行による研究機関・研究者個人の利益はありません。なお本研究において特許などの知的財産権が生じた際には、研究者と研究機関がその知的財産権を持つこととします。
本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載されているお問い合わせ先までご連絡ください。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
副院長、摂食嚥下・排泄センター消化管排泄機能研究室長 松浦 俊博
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)