ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1629
国立長寿医療研究センター消化器内科部では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、通常の診療で得られた情報を電子カルテから必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2022年8月5日
記
「高齢者の総胆管結石症に対する内視鏡的治療後の胆道系合併症についての後ろ向き縦断的観察研究」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1629)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
総胆管結石症は加齢とともに増加することが知られており、人口の高齢化に伴い遭遇する機会が増えています。総胆管結石症は放置すれば胆管炎や膵炎を併発し重篤な状態となりうるため治療の対象となる疾患であり、内視鏡的治療が標準治療として位置付けられております。内視鏡治療は低侵襲であり、高齢者や、基礎疾患を有する症例、ADL(日常生活動作)が不良な症例に対しても十分な観察のもとに内視鏡治療が施行されております。高齢者では症状が出にくいため、胆管炎を合併し重篤な状態で来院されることが多いのですが、このような症例に対しても積極的に内視鏡的治療が行われることが多々あります。内視鏡治療に伴う早期合併症に関しては高齢者と非高齢者で差がないとする報告が多くありますが、高齢者における長期合併症に関しては十分検討されておらず不明な点が多々あります。一方、高齢者では総胆管結石に胆嚢結石(以下、胆石)を合併する症例が多くあり、長期的に胆嚢炎などの胆道合併症を生じる可能性が高いため、ガイドラインでは内視鏡的に総胆管結石除去術を施行したのちに外科的に胆嚢摘出術を施行することが推奨されております。しかし高齢者では基礎疾患や身体状況により外科的切除が困難な症例が少なくありません。当センターでは主に高齢者を治療の対象としているため、基礎疾患を有しADLが不良な総胆管結石症例が多くあり、胆嚢摘出術を施行しえず、経過観察となっている症例が一定数存在しております。しかし、胆嚢摘出術が行われなかった症例の長期予後に関する報告はほとんどなく、その予後は明らかにされておりません。
本研究では、高齢者における総胆管結石の内視鏡治療後の長期合併症およびその危険因子を明らかにすること、胆石合併例で胆嚢摘出術が施行できなかった症例の長期予後を明らかにすることを目的としております。
性別、年齢、入院期間、治療回数、合併疾患、ADL(日常生活動作) 、経過、胆摘術の既往、結石再発の既往、画像検査報告書、画像データ情報 : US(エコー検査)、CT(コンピューター断層撮影)、MRI(核磁気共鳴画像法)、内視鏡画像、放射線透視画像
WBC (白血球数)、CRP(C反応性蛋白)、T-Bil(総ビリルビン)、AST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、ALT(アラニントランスアミナーゼ)、ALP(アルカリホスファターゼ)、LAP(ロイシンアミノペプチタ-ゼ)、AMY(アミラーゼ)、リパーゼ、Ca(カルシウム)、TG (中性脂肪)
胆道感染症や膵炎合併の有無、肝障害の程度、胆石合併の有無、胆摘術の有無、総胆管結石の最大径、最大総胆管径、傍乳頭憩室の有無
砕石方法、内視鏡的砕石回数、機械的破砕器具の使用
急性期合併症(膵炎や胆管炎等)、胆道合併症の発症の有無およびその種類、発症するまでの期間、長期の胆道合併症の発症の有無、胆石合併症例での胆摘術の施行の有無(施行しなかった場合の理由)
2010年4月から2022年3月31日までの間に、当センターにて総胆管結石症と診断され内視鏡的治療(内視鏡的総胆管結石砕石術例)を行った患者さんを対象とし、過去に行われた治療(胆道合併症)に関するデータを電子カルテから収集し検討を行います(後ろ向き研究)。なお、得られたデータは匿名化し個人が特定できない形で解析をおこないます。
2022年8月5日 ~ 2024年4月30日
2010年4月1日から2022年3月31日までの間に、当センターで総胆管結石症に対する内視鏡的治療(内視鏡的総胆管結石砕石術例)を行った患者さんを対象者とします。
既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益並びに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については学会発表・論文投稿にて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究では、診療情報(電子カルテ)より上記5.の情報を抽出して使用いたします。抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に使用いたします。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に使用する抽出データとは別にされ、当センター内にて厳重に保管されます。
また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。
抽出したデータ、患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表、匿名化されたデータについては、研究期間終了後10年もしくは学会や論文等での発表から10年の間保管いたします。抽出したデータ、匿名化されたデータについては消化器内科部にて、保存媒体を施錠保管いたします。識別コードと患者を連結する対応表は、研究責任者が管理し、研究に関係しない第三者が施錠保管します。保管期間満了後は速やかに、紙媒体はシュレッダーにて、USB等の電子媒体は物理的に廃棄します。
本研究は長寿医療研究開発費を用いて実施しますので、本研究による内外の利益団体は存在しません。また、本研究遂行による研究機関・研究者個人の利益はありません。なお本研究において特許などの知的財産権が生じた際には、研究者と研究機関がその知的財産権を持つこととします。
本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載されているお問い合わせ先までご連絡ください。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
消化器内科部 部長 京兼和宏
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)