ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1615-3
国立長寿医療研究センターでは、「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」への研究参加同意をいただいた方を対象とした、生命科学・医学系研究を実施しております。NILS-LSAでは、対象者の皆様の様々な調査・検査結果を、老化・老年病予防を目的とした研究に利用しております。尚、対象者の皆様からは、様々な調査・検査結果を老化・老年病予防を目的とした将来の研究に使用することについて、同意を得ております。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる方から直接同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2025年1月27日
記
「NILS-LSA対象者における認知機能低下者の歩行機能特性の検出:軽度認知障害の早期スクリーニングに向けて」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1615-3)
本研究課題は、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
我が国における超高齢社会の到来とともに、65歳以上の高齢者の約15%が認知症に罹患しており、2012年の認知症高齢者数は推計約462万人、その前段階である軽度認知障害(Mild Cognitive Impairments:MCI)者数は、推計約400万人とされています。認知症の治療や予防策に対する社会的要請はこれまで以上に高まっており、“早期検出・早期介入”は必須と考えられます。
近年行われた研究によって、認知症と診断された人は認知症と診断されなかった人に比べて、診断の約9年前から、身体活動が低下していることが明らかになりました。これらの結果は、認知症の診断に至るまで、長年に亘って身体活動が継続して低下しており、その身体活動の変化が、認知症の前臨床症状の一部である可能性を示唆しています。しかしながら、認知症の前段階である認知機能低下者における身体活動の低下が、どのような歩行機能の特徴と関連しているかはまだ明らかにされていません。
そこで本研究では、認知症の前段階である認知機能低下者における歩行機能の異常を検出することを目的として、MCIにおける運動学的な歩行機能の特性を明らかにすることを目標とします。また、認知機能低下者において何らかの歩行機能異常が検出された場合には、姿勢・歩行制御と中枢神経との関連性という観点からも、検討を行っていきます。
認知症前段階における歩行特性の異常を明らかにすることで、MCIの早期スクリーニングの応用に繋がり、これによって認知症発症予防の対策を早期にとることができ、認知症疾患の運動特性に基づいた適切な運動指導につながる可能性があります。また、転倒予防や歩行能力の低下を予防する意味でも有用であると考えられます。
本研究では情報のみを使用し、試料は使用しません。
すべての変数に関して、NILS-LSA第2次調査〜第7次調査のデータを用います。
*本研究では情報のみを使用し、試料は使用しません。また、他機関に情報の提供はいたしません。
*上記の情報については、利用・提供前に被験者保護の観点から、倫理・利益相反委員会承認後1か月以上経過後から、利用予定です。
愛知県大府市および知多郡東浦町の地域住民(観察開始時年齢40歳から79歳)からの無作為抽出者を対象とした、「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」第2次調査から第7次調査のいずれかに参加した者の中で、各調査に参加した時点で60歳以上の男女の、歩行解析データと重心動揺データ、認知機能データを解析して、認知機能低下者における歩行機能の特性を明らかにします。
2022年6月20日 〜 2027年3月31日
NILS-LSA第2次調査(2000年〜2002年)から第7次調査(2010年〜2012年)のいずれかに研究参加同意された、各調査時点で40歳以上の男女約2,300名のうち、60歳以上で研究に使用するデータが揃った方、約1,900名を対象者とします。
NILS-LSAに提供いただいた、既存の調査票記録および調査結果を研究に利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、対象者の方に新たに発生する負担はありません。予測されるリスクは個人情報の流出ですが、個人から得られたデータは、個人が特定できないIDにより管理し、解析の際は氏名など個人を特定できる情報を除いたデータを用いるため、個人情報流出の可能性は極めて低いです。また研究成果は、集団として解析した結果のみを示すため、研究成果から個人が特定されることはありません。
対象者個人に対する直接の利益も想定されませんが、本研究から健康に有益な情報が発信された場合、その情報を個人の健康増進に役立てることにより、間接的に利益が得られる場合があります。
対象者の方ご自身の検査結果が、本研究課題に利用されることに同意いただけない場合には、研究に使用する検査結果からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。
情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会報告や論文等ですでに公開されている場合などには、解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により、本研究に関する情報公開とします。本研究で得られた研究結果は、国立長寿医療研究センターが実施する研究として、学会報告・論文投稿にて発表します。また研究成果の内容によっては、ホームページ掲載や広報紙にて、対象者および一般住民の方に向けた内容で公表します。
他の対象者の個人情報保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
NILS-LSAの情報と試料は、氏名など個人を特定できる情報を除いた状態で保管・解析しております。尚、対象者の方からの申し出による同意の撤回や転居や死亡など追跡に必要な情報を更新するため、特定の個人を識別可能なデータとNILS-LSA固有のIDとの対応表を作成し、国立長寿医療研究センター内のNILS-LSA研究に直接関わらない者が保管しております。
解析にあたっては、氏名など個人を特定できる情報を除いたデータを用いるため、解析を行う研究者も、検査結果がどなたのものであるかは分かりません。
また研究成果は集団として集計した結果を学会報告や論文として発表しますので、解析結果から個人が特定されることはありません。
本研究で試料は用いません。本研究で利用するすべてのNILS-LSAに関する情報は、外部からのアクセスが不可能な、国立長寿医療研究センター内のパスワード管理されたサーバ内で保管します。また、本研究で利用する氏名など個人を特定できる情報を除いたNILS-LSAデータおよび学術的公表に関する解析結果や解析プログラムなどは、一般からの問い合わせに応じることができるよう、研究終了(研究期間終了)後も10年間は、外部からのアクセスが不可能な、国立長寿医療研究センター内のパスワード管理されたサーバ内で保管します。尚、特定の個人を識別可能なデータとNILS-LSA固有のIDとの対応表は、国立長寿医療研究センター内のNILS-LSA研究に直接関わらない者が、研究終了(研究期間終了)後も10年間は、外部からのアクセスが不可能な、国立長寿医療研究センター内のパスワード管理されたサーバ内で保管します。ただし、研究期間終了から10年後以降は、本研究に用いたすべての情報は個人が特定されない状態で完全に消去します。
NILS-LSAのすべての情報・試料は、国立長寿医療研究センターの運営費や公的研究費(競争的研究資金等)を主財源として収集しており、国立長寿医療研究センターが管理・運用を行っています。本研究は、国立長寿医療研究センター所属の研究者による共同研究であり、国立長寿医療研究センターの長寿医療研究開発費を資金源とします。本研究に参加する研究者間に一切の利害関係は無く、研究費について開示すべきCOI(利益相反)はありません。
本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載のお問い合わせ先までご連絡ください。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
研究所 老年学・社会科学研究センター 老化疫学研究部
長期縦断疫学調査センター
老化疫学研究部長 大塚礼
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)