ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1581
国立長寿医療研究センターでは、「国立長寿医療研究センター・メディカルゲノムセンター・バイオバンク」への研究参加同意をいただいた方を対象とした生命科学・医学系研究を実施しております。メディカルゲノムセンター・バイオバンクでは、対象者の皆様の様々なデータを老化・老年病予防を目的とした研究に利用しております。尚、対象者の皆様からは、様々な調査・検査結果を老化・老年病予防を目的とした将来の研究に使用することについて、同意を得ております。
この度、国立長寿医療研究センターにおいて「老年症候群における血液学的老化の研究」を実施することとなりましたので、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づき、研究実施の情報公開をいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2022年4月15日
記
「老年症候群における血液学的老化の研究」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1581)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
国立長寿医療研究センター 血液内科部 部長 勝見 章
国立長寿医療研究センター 研究所 メディカルゲノムセンター疾患ゲノム研究部 部長 尾崎 浩一
国立長寿医療研究センター 血液内科部 医師 鴨下 園子
国立長寿医療研究センター 血液内科部 技術補佐員 伊藤 美由紀
【背景】
貧血はWHO(世界保健機関)では男性でヘモグロビン13.0g/dl未満、女性でHb12.0g/dl未満と定義されています。海外では高齢者の貧血は転倒、認知力低下、うつ状態、フレイル、死亡率等との関連が報告されています。高齢者における貧血の原因は栄養性、慢性炎症、造血器疾患等が挙げられますが、約1/3がその何れにも該当しない原因不明貧血とされています。近年高齢者に多い造血器疾患である骨髄異形成症候群において高頻度に認められる遺伝子変異(CHIP関連遺伝子変異といいます)が健常高齢者の約10%に認められることが報告され、変異と種々の老年症候群の関連性が議論されています。また赤血球容積分布幅が新たな老化のマーカーとして注目を集めています。
【目的】
1) 高齢者の原因不明貧血の病型分類
2)高齢者におけるCHIP関連遺伝子変異の頻度と、様々な疾患との関連性調査
3)赤血球容積分布幅の老年症候群の予後因子としての有効性の検討です。
【意義・研究の科学的合理性の根拠】
本研究を遂行することにより、日本におけるCHIP関連変異の頻度と併存疾患発症率との関連、原因不明貧血の理解が期待されます。また包括的な老化指標の策定に寄与できることが期待されます。
(1) 65歳以上の当センターバイオバンク登録者のうちWHO基準(男性Hb<13.0g/dl、女性Hb<12.0g/dl)で貧血と診断される患者さんを抽出します。明らかな血液疾患、出血性疾患の患者さんを除外します。血清エリスロポエチン、テストステロン、hepcidin濃度、鉄マーカー(フェリチン・血清鉄・UIBC・Tsat)、ビタミン(ビタミンB12、葉酸)、微量元素(銅、亜鉛、セレニウム)を測定し、高齢者貧血におけるこれらの血清因子の関与を調査します。
(2) 当センターバイオバンクに保存されている全ゲノムデータとジェノタイピングアレイデータ、臨床情報を利用して日本の高齢者におけるCHIP関連遺伝子変異頻度と、併存疾患発症率との関連を調査します。
(3) 当センターバイオバンクに保存されている臨床情報を使用した研究として65歳以上の高齢者のうち認知症、骨粗鬆症、サルコペニア等の老年症候群発症者と非発症対照者の間でRDW値とその経時的変化を調査し、RDWが老年症候群発症因子・予後予測因子になり得るかを検討します。
本研究はバイオバンク既存試料・情報を用いた観察研究であり、介入、新たな負担を伴いません。臨床情報として認知症、サルコペニア、骨粗鬆症などの老年症候群の罹患歴を使用します。
2022年4月15日~2025年3月31日
(1)65歳以上の当センターバイオバンク登録者のうちWHO基準(男性Hb<13.0g/dl、女性Hb<12.0g/dl)で貧血と診断され、明らかな血液疾患、出血性疾患の患者さんを除外した方
(2) 当センターバイオバンクに保存されている全ゲノムデータとジェノタイピングアレイデータ、臨床情報
バイオバンク事業に同意を頂いた方の検体・情報を研究に利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、対象者の方に新たに発生する負担はありません。予測されるリスクは個人情報の流出ですが、個人から得られたデータは、個人が特定できないIDにより管理し、解析の際は匿名化データを用いるため、個人情報流出の可能性は極めて低いです。また研究成果は、集団として解析した結果のみを示すため、研究成果から個人が特定されることはありません。
対象者個人に対する直接の利益も想定されませんが、本研究から健康に有益な情報が発信された場合、その情報を個人の健康増進に役立てることにより、間接的に利益が得られる場合があります。
対象者の方ご自身の検査結果が、本研究課題に利用されることに同意いただけない場合には、研究に使用する検査結果からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。
情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会報告や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により本研究に関する情報公開とします。本研究で得られた研究結果は国立長寿医療研究センターが実施する研究として、学会報告・論文投稿にて発表します。また研究成果の内容によってはホームページ掲載や広報紙にて、対象者および一般住民の方に向けた内容で公表します。
他の対象者の個人情報保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
生体試料と医療情報を研究に活用させていただく場合、個人を特定できなくするための匿名化等の操作を行い、プライバシーの保護に細心の注意を払います。具体的には、いただいた生体試料および医療情報から個人が特定できる情報(氏名や生年月日等)を消去し、新たな符合または番号を付して匿名化します。この符合や番号が誰の生体試料や医療情報と対応しているのかを示す「対応表」は、法令に則って個人情報管理者や個人情報管理補助者によって厳重に管理されます。万一、個人情報の漏えいなどにより損害をこうむられた場合は、関連する法律、および遵守すべき指針に即して適切に対処いたします。また研究成果は集団として集計した結果を学会報告や論文として発表しますので、解析結果から個人が特定されることはありません。
長寿医療研究センターバイオバンクより分譲された試料・情報については、学会や論文等での発表から10年の間、国立長寿医療研究センター血液内科部にて施錠保管します。保管期間満了後は速やかに試料・情報を廃棄します。バイオバンクが最終的にその使命を果たし、閉鎖される場合は、保管されていた試料および診療情報などは倫理・利益相反委員会の判断を受けて、適切な機関に移譲あるいは廃棄されます。
メディカルゲノムセンター・バイオバンクの全ての情報・試料は、国立長寿医療研究センターの運営費や公的研究費(競争的研究資金等)を主財源として収集しており、国立長寿医療研究センターが管理・運用を行っています。本研究は、国立長寿医療研究センター所属の研究者による共同研究であり、国立長寿医療研究センターの長寿医療研究開発費と日本学術振興会科学研究費補助金を資金源とします。本研究に参加する研究者間に一切の利害関係は無く、研究費について開示すべきCOI(利益相反)はありません。
本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載のお問い合わせ先までご連絡ください。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
血液内科部 部長 勝見 章
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)