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ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1483

倫理・利益相反委員会受付番号No.1483

「サルコペニア簡易評価の精度およびフレイル、栄養との関連性(倫理・利益相反委員会受付番号No.1483)」:人を対象とする医学系研究実施についてのお知らせ

 国立長寿医療研究センター 老年内科部では、以下の人を対象とする医学系研究を実施しております。
 この研究は、通常の診療で得られた情報(カルテなど)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
 このような研究は、厚生労働省・文部科学省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
 この研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「17.この研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2020年12月1日

  1. 研究課題名
    「サルコペニア簡易評価の精度およびフレイル、栄養との関連性」
    (倫理・利益相反委員会受付番号No.1483)
    この研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
  2. 研究機関の名称及び研究責任者の氏名
     国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
     前田 圭介(国立長寿医療研究センター 老年内科部 老年内科医長)
     上島 順子(NTT東日本関東病院 栄養部 医療技術主任)
     清水 昭雄(浜松市リハビリテーション病院 栄養管理室)
  3. 研究分担者名
     佐竹 昭介(国立長寿医療研究センター 老年内科部 部長)
     松井 康素(国立長寿医療研究センター ロコモフレイル診療部 部長)
  4. 当該研究の意義、目的
    サルコペニアとフレイル、栄養状態は深い関連があり[1]、実臨床ではそれらはオーバーラップして存在しています[2]。サルコペニア高齢者でフレイルが認められたのは約50%[3]、低栄養が認められたのは約30%[2]であったとの報告があります。また、サルコペニア高齢者が健康的な生活を営むためには、サルコペニアおよびフレイル、低栄養の早期発見・介入が必要となると考えられています。
    アジアのサルコペニアエキスパートグループであるAsian Working Group for Sarcopeniaのサルコペニア診断基準(AWGS2019)が2019年10月に改訂されました。改訂の大きなポイントとして、二重エネルギーX 線吸収測定や生体電気インピーダンス法を用いて骨格筋量測定ができない施設においても、「サルコペニアの可能性あり」を診断できるよう簡易評価基準(以下簡易評価)を追加したことがあげられます。この簡易評価は主に一般の診療所や地域での評価場面を想定しています。簡易評価は、症例の抽出を下腿周囲長測定やサルコペニア質問票で行い、二次評価を握力測定と5回椅子立ち上がりテストを行うことで判定します[4]。この簡易評価で「サルコペニアの可能性あり」と判定された場合は、設備が整った施設で骨格筋量の詳細な評価を行い、サルコペニアまたは重度サルコペニアの確定診断を行うようAWGS2019がすすめています[4]。しかしながら、AWGS2019で新たに提唱された「サルコペニアの可能性あり」と判定された患者のうち、サルコペニアと確定診断される患者の割合はまだ報告されていません。さらに、フレイルおよび栄養状態と「サルコペニアの可能性あり」との関連性についても報告がありません。そこで本研究は、サルコペニア簡易評価の精度およびフレイルと栄養状態項目との関係性を明らかにすることを目的として計画したものです。
    注釈:サルコペニアとは全身の筋肉量と筋力が低下した疾病を指しています。また、フレイルとは、とても健康な状態とは言えず、要介護の手前の虚弱な健康状態を指しています。
    参考文献
    [1]   Gomez-Gomez, ME, Zapico, SC. Frailty, Cognitive Decline, Neurodegenerative Diseases and Nutrition Interventions. Int J Mol Sci 2019;20(11).
    [2]   Gingrich, A, Volkert, D, Kiesswetter, E, et al. Prevalence and overlap of sarcopenia, frailty, cachexia and malnutrition in older medical inpatients. BMC Geriatr 2019;19(1):120.
    [3]   Tan, LF, Lim, ZY, Choe, R, et al. Screening for Frailty and Sarcopenia Among Older Persons in Medical Outpatient Clinics and its Associations With Healthcare Burden. J Am Med Dir Assoc 2017;18(7):583-587.
    [4]   Chen, LK, Woo, J, Assantachai, P, et al. Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment. J Am Med Dir Assoc 2020;21(3):300-307 e302.
  5. 研究に使用する情報
    (1) 対象者基本情報:年齢、性別、教育年数、家族構成、要介護認定、生活機能評価、社会的評価、精神心理面評価、併存疾患数、服薬状況
    (2) 身体測定:身長、体重
    (3) 血液検査:Alb、CRP
    (4) アウトカム関連指標: 下腿周囲長、身体組成(Inbody)、DEXAによる全身撮影結果、立ち上がりテスト(SPPB:椅子立ち上がりテスト) 、歩行速度、握力計測(新型握力計) 、フレイル評価、社会的フレイル(LSNS-6、基本チェックリスト)、精神心理面(GDS)、認知機能評価(MOCA-J、MMSE)、栄養評価(簡易栄養状態評価、BMI、FFMI)
    すべての項目は研究のための新たな侵襲を伴いません。
  6. 当該研究の方法
    「サルコペニアの可能性あり」と判定された対象者のうちサルコペニアまたは重度サルコペニアと判定された対象者の診断精度を報告します。感度、特異度、精度、F値、マシューズ相関係数等で検証します。さらに「サルコペニアの可能性あり」と身体的・社会的・認知的フレイル、低栄養との関連性について「サルコペニアの可能性あり」の有無の群間比較および、回帰分析を用いて明らかにします。
    本研究は、国立長寿医療研究センターで行われている研究課題名「ロコモ・フレイル・サルコペニアのレジストリ研究」に登録され国立長寿医療研究センターで取得した情報を、共同研究機関であるNTT東日本関東病院および浜松市リハビリテーション病院にも提供して行われます。
  7. 研究期間
    2020年12月1日 ~ 2022年3月31日
  8. 対象となる患者さん・研究対象者として選定された理由
    対象者は以下の適格基準に合致し、除外基準に抵触しない人とします。
    適格基準
    下記項目をすべて満たすものとします
    研究課題名「ロコモ・フレイル・サルコペニアのレジストリ研究」に登録されている
    同研究のデータ管理者によりデータクリーニングが終了している
    除外基準
    下記項目を一つでも満たす者
    研究参加の意思を撤回した
    検討項目に欠測がある
  9. 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
    既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益並びに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
  10. 研究実施について同意しないこと及び同意を撤回することの自由について
    ご自身の診療情報が、当該課題に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、17.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等で既に公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
  11. 研究に関する情報公開の方法
    本掲示により研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、日本サルコペニア・フレイル学会での学会発表および日本老年医学会雑誌への投稿などにて行う予定でおります。
  12. 研究計画書等の閲覧について
    他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、17.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
  13. 個人情報等の取扱い
    「ロコモ・フレイル・サルコペニアのレジストリ研究」では、計測情報と被験者の個人情報は完全に分離されているとともに、各コンピューターはインターネットに接続せず、データは匿名化し、対応表は治験・ 臨床研究推進センター内に保管されています。本研究において、データの分析は匿名化の後に実施します。
  14. 試料・情報の保管及び廃棄の方法
    本研究に係る試料・情報、文書、記録等は、当該研究成果の発表後10年間、鍵付きのロッカー、またはインターネットに接続しないパスワード付きのPCで、個別化の対応表以外を研究責任者および共同研究者が保管します。匿名化の対応表は治験・ 臨床研究推進センター内に保管されています。保管期間終了後、紙媒体の資料はシュレッダーで、電子媒体の資料はデータ消去ソフトウェアで廃棄します。
  15. 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
    本研究の遂行にあたって、研究責任者、共同研究者、研究協力者と特別な利益相反状態にある企業等はありません。
  16. 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
    ロコモ・フレイル・サルコペニアのレジストリ研究」に登録された患者さん及びその関係者の方からの本研究に関する相談を研究責任者が窓口となり随時受け付けます。
  17. この研究に関するお問い合わせ先
    国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年内科部 前田 圭介
    電 話:0562-46-2311(代表)