ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1449-2
国立長寿医療研究センター神経内科部では、下記の人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しております。
本研究は、通常の診療で得られた情報(電子カルテなど)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省共管の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2021年8月4日
記
「もの忘れ外来受診患者のSCIからMCIへの移行を予測する客観的指標および主観的徴候に関する研究」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1449-2)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 新畑 豊(神経内科部)
櫻井 孝(もの忘れセンター )
篠﨑 未生(神経内科部)
現在、日本では高齢化が進むなかで認知症患者数は年々増加しています。高齢の患者さんが住み慣れた地域でできるだけ長く健康に過ごせるようにするためにも、認知症が進行する前の段階での早期診断、早期介入が重要となっています。そこで、客観的な認知機能や記憶力の低下がみられる前の段階で、認知症の発症リスクの高い患者さんを予測できる指標や、患者さん自身が気づくことができるような徴候を明らかにすることができれば、発症前の予防的介入や早期の段階での受診などが可能となり、認知症の発症や進行予防、日常生活動作の維持、健康寿命の延伸、介護予防などにつなげられるのではないかと考えています。
そこで本研究では、もの忘れ外来を受診された患者さんの検査結果や初診時の問診の内容、患者さんやご家族によるもの忘れに関する訴えの内容、その他診療情報の内容を解析することで、客観的な認知機能や記憶力の低下がみられる前の段階で、後の軽度認知障害(MCI)への移行を予測できるような客観的な指標や主観的な徴候を抽出することを目的としています。
国立長寿医療研究センターもの忘れ外来受診時の診療情報を使用いたします。具体的には以下の通りです。
(1)高齢者総合的機能評価
年齢、性別、社会的背景(同居、結婚、職歴、教育歴、経済状況)、既往歴、薬剤、介護
度、介護サービス利用状況、その他ライフスタイル(運動習慣、社会活動、飲酒、喫煙、
服薬、睡眠、昼寝)。
・身体的評価
身長、体重、BMI、血圧、心拍数、体組成、握力、歯科、平衡機能(重心動揺計)、片足
立ち、栄養状態(MNA)、食欲、聴力障害の有無、ADL(日常生活自立度、Barthel
Index、IADL尺度)、老年症候群、歩行速度、Up and Go test、転倒の有無、転倒スコ
ア、DFM、つぎ足、Functional Reach。
・心理的評価
うつ(GDS-15)、意欲(Vitality Index)、問題行動(DBDスケール)。
・認知機能評価
MMSE、野菜想起。
(2)神経心理学的検査
論理的記憶、数唱、MoCA、ADAS、FAB、RCPM、TMT、CDR、WAIS、WMS-R。
(3)その他診療情報
初診時問診の内容、患者さんやご家族から聴取されたもの忘れに関するエピソード、もの
忘れの自覚の有無、外来受診時の同伴者の続柄と同居状況、医師・看護師・コメディカル
による受診時の観察記録、神経心理学的検査の実施記録、臨床診断名、処方・服薬状況、
併発疾患、他科受診状況、国立長寿医療研究センターもの忘れ外来受診以降の入院の発生
、骨折の発生、疾患の新規発症や増悪、ストレスイベント(死別や転居など)の発生、転
機日時、転機情報、生命予後。
本研究では、客観的な認知機能や記憶力の低下が認められる前の段階でもの忘れ外来を受診された患者さんの検査結果や初診時問診の内容、患者さんやご家族によるもの忘れのエピソードの内容などを解析することで、主観的認知障害(SCI)から軽度認知障害(MCI)への移行の予測に役立つ客観的指標と主観的徴候を抽出いたします。
2020年10月5日~2023年3月31日
2010年6月1日以降に国立長寿医療研究センターもの忘れ外来を少なくとも3回以上受診されたことのある60歳以上の方。
なお、初診時以前あるいは初診時の検査後に軽度認知障害(MCI)あるいは認知症と診断された方、交通事故による高次脳機能障害等の認知機能に直接的な影響を及ぼす疾患の既往や障害を有する方、初診時にすでに介護認定を受けている方、初診時に認知症治療薬を服薬中の方は対象から除外させていただきます。
既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益および危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。
ご自身の診療情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
この掲示により本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については、学会発表・論文投稿・ホームページ掲載にて行う予定でおります。
他の研究対象者等の個人情報等の保護並びに本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
本研究では、電子カルテより上記5.の診療情報を抽出して使用いたしますが、患者さんが特定できる情報(氏名・住所など)を削除した状態で抽出しています。抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に使用いたします。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に使用する抽出データとは別にされ、当センター内にて厳重に保管されます。また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。
抽出したデータ、患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表、匿名化されたデータについては、研究期間終了後10年間保管いたします。抽出したデータ、匿名化されたデータについては国立長寿医療研究センター神経内科部内でデータファイルにパスワードをかけた上で保存媒体を施錠保管いたします。対応表については研究に携わらない研究補助員が抽出データとは別に施錠保管いたします。保管期間は研究期間終了後10年間とし、保管期間満了後は速やかに電子媒体データを消去し、紙媒体データをシュレッダー処理にて廃棄いたします。
本研究は長寿医療研究開発費20-43および臨床試験研究経費で行います。本研究について申告すべき利益相反はありません。
研究内容についてご質問やご相談等がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。研究責任者が対応させていただきます。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
神経内科部 部長 新畑 豊
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)