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ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1448

倫理・利益相反委員会受付番号No.1448

「アルツハイマー病の早期血液診断マーカーの同定ならびに診断キット開発(倫理・利益相反委員会受付番号No.1448)」人を対象とする医学系研究実施についてのお知らせ

 

 国立長寿医療研究センター もの忘れセンターでは、以下の人を対象とする医学系研究を実施しております。
 本研究は、国立長寿医療研究センターバイオバンクから分譲を受けた試料・情報を用いて解析を行うものです。
 国立長寿医療研究センターバイオバンクでは、お預かりした試料・情報の利用にかかる包括的同意をいただいているため、このような研究は、厚生労働省・文部科学省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる試料提供者様のお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
 本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2020年10月1日

1.研究課題名

「アルツハイマー病の早期血液診断マーカーの同定ならびに診断キット開発」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1448)

本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。

2.研究機関の名称および研究責任者の氏名

道川 誠(名古屋市立大学医学研究科 神経生化学分野 教授)

3.研究分担者名

赤津 裕康(名古屋市立大学医学研究科 地域医療教育学分野 教授)
松原 悦朗(大分大学医学部 神経内科学 教授)
櫻井 孝(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター センター長)

4.本研究の意義、目的

アルツハイマー病(AD)は、脳内にアミロイドβタンパク質が沈着することが発症に関連することがわかっており、脳内アミロイドを減少させる治療法開発がなされています。早期の治療に必要になる客観的な指標として、診断マーカーがありますが、現時点において確立している技術には、髄液検査があり、ADでは、髄液中のAβ42が低下し、リン酸化タウが上昇することが知られています。また、ADに特異的な脳内アミロイド沈着は、PET検査により検出が可能です。しかしながら、髄液検査は侵襲を伴い、一方でPETは、機器も試薬も高価であり施設も限られるため、一般病院や診療所での検査は困難です。こうした背景から、PET検査と同等の信頼性を持ち、もっと簡便で侵襲が少なく安価な診断法の開発が必要となっています。

これまでの基礎研究から、私たちは、血液中のフロチリンというタンパク質レベルが低下することを見出しました(J Alz Dis, 53: 1433-1441, 2016)。すなわち、ADの脳脊髄液、脳室液(剖検)、血清において非ADに比べて有意に低下することを見出したのです。更に、PET検査で診断した軽度認知障害の方においても脳内にアミロイドが沈着している人で、有意に低下することを見出しました。以上の結果から、血中のフロチリンレベルを定量することにより、アルツハイマー病の早期あるいは発症前診断が可能になる可能性があり、簡便で安価な検査法として意義があると考えてています。

本研究では、血清を用いたアルツハイマー病診断が可能であることを、血液サンプルの数を増やすことにより検証することを目的とする研究を行います。(なお、認知症発症前の軽度認知障害については、国立長寿医療研究センターから十分なサンプル提供が受けられないため、大分大学よりサンプル提供を受ける予定です。)

5.本研究に使用する情報

  • 臨床情報(基本情報、診断名)
  • 認知機能検査
  • 血液(血清)

6.本研究の方法

国立長寿医療研究センターで、すでに採取された血清サンプルの提供を行い、名古屋市立大学で生化学的に解析します。試料の数としては、以下のとおりです。

  • 国立長寿医療研究センターバイオバンクに保存されている血清のうち、non-ADサンプル50例とADサンプル50例。
  • 全体 200例(AD50例、non-AD 50例、MCI-due to AD 50例、MCI-due to non-AD 50例)

7.研究期間

2020年10月1日~2023年3月31日

8.対象となる方・研究対象者として選定された理由

研究目的が、血清フロチリンレベル定量によるアルツハイマー病診断であるため、認知症のない方並びにアルツハイマー病診断を受けた方を対象としています。

9.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスクおよび利益

国立長寿医療研究センターバイオバンクに収集されている既存の試料・情報を利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益並びに危険性は想定されません。また、対象者個人に対する直接の利益も想定されません。

10.研究実施について同意しないことおよび同意を撤回することの自由について

ご自身の試料・情報が、本研究に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する試料・情報からあなたにかかる試料・情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、試料・情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。

11.本研究に関する情報公開の方法

この掲示により本研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開についてはホームページ掲載・学会発表・論文投稿などにて行う予定でおります。

12.研究計画書等の閲覧について

他の研究対象者等の個人情報等の保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。

13.個人情報等の取扱い

本研究では、国立長寿医療研究センターバイオバンクから上記5.に記載の試料・情報の分譲を受けて使用いたしますが、匿名化された上で研究者に提供されています。研究者に提供された試料・情報がどなたのものであるかがわかる対応表は、バイオバンクのみが保有しており、研究者に提示されることはありません。

また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。

14.試料・情報の保管および廃棄の方法

国立長寿医療研究センターバイオバンクから分譲された試料・情報については、研究期間終了後3年もしくは学会や論文等での発表から3年の間、名古屋市立大学医学研究科神経生化学分野の実験室に設置されている-80度の冷凍庫にて施錠保管いたします。保管期間満了後は速やかに試料については、バイオハザード試料として名古屋市立大学の規則に則り速やかに破棄します。情報については保管期間後にシュレッダーで裁断後廃棄します。

15.研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反および個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

本研究は、科研費、日本医療研究開発機構(AMED)研究費、奨学寄附金によりまかないます。なお、国立長寿医療研究センターで研究費は使用いたしません。また、主要な研究資金であるAMED研究費については、以下の通りです。

  • 名古屋市立大学大学院医学研究科神経生化学分野 AMED研究費 代表:道川誠
    本研究は、令和2年度 AMED研究助成(認知症研究開発事業)を得て実施します(課題管理番号20dk0207050h0001)。

本研究は、名古屋市立大学神経生化学講座が実施する自主臨床研究であり、本研究に使用する医薬品の製造販売を行う製薬会社をはじめ、他の団体からの資金援助に基づいて行われるものではありません。また、本研究に関して利益相反が生じることはありません。

16.研究対象者等およびその関係者からの相談等への対応

本研究に関して相談等がございましたら下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。

本研究に関するお問い合わせ先

名古屋市立大学医学研究科神経生化学分野

道川 誠

電話:052-853-8139


国立研究開発法人国立長寿医療研究センター もの忘れセンター

櫻井 孝

電話:0562-46-2311(代表)