倫理・利益相反委員会受付番号No.1265
「慢性期軽症意識障害に対するレジストリ化研究(倫理・利益相反委員会受付番号No.1265)」人を対象とする医学系研究実施についてのお知らせ
国立長寿医療研究センターリハビリテーション科部では、以下の人を対象とする医学系研究を実施しております。
この研究は、通常の診療で得られた情報(カルテなど)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
この研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「18.この研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2019年8月21日
記
- 研究課題名
「慢性期軽症意識障害に対するレジストリ化研究(倫理・利益相反委員会受付番号No.1265)」
この研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
- 研究機関の名称及び研究責任者
国立長寿医療研究センター 副院長 近藤 和泉
- 研究分担者名
金城大学 学長 前島 伸一郎
埼玉医科大学総合医療センター 副院長 松居 徹
国立長寿医療研究センターリハビリテーション科部 医長 大沢 愛子
国立長寿医療研究センターリハビリテーション科部 理学療法士 川村 皓生
国立長寿医療研究センターリハビリテーション科部 理学療法士 宇佐見 和也
- 当該研究の意義、目的
脳卒中や外傷による脳の損傷などでは、その重症度によって、日常生活に様々な障害を残します。幸い順調に回復し在宅復帰した方でも、軽症の意識障害によって意欲が低下し、社会復帰が阻害されることがあります。さらに、脳の損傷によって感情や行動の抑制が難しくなることがあり、意識障害に伴って引きこもり等が起こった場合には、家族に対する暴言や暴力につながることもあります。このため、意識障害の程度が、社会的な行動にどのように影響を与えているかを知ることは、意識障害のある方のケアを行う上で非常に重要です。本研究では、意識障害のある方の経過を長期にわたって観察するために、意識障害のある患者さんを急性期の時点で登録し、退院または転院後の経過のデータを集めるシステムを作ることが目的です。そして、急性期に意識障害のある方の症状の経過と、その後の生活で生じるであろう問題点を予測することや、それに対して正しい対処を行うための基盤を作っていきます。
- 研究に使用する情報
この研究は、通常の診療で得られた情報(カルテなど)から必要な情報を使用します。
本研究で得られたデータは、データベースにて保管します。データの解析は当センターで行います。
- 当該研究の方法
当センターと埼玉医科大学総合医療センターに入院し、脳損傷(脳卒中及び外傷性脳損傷)による意識障害を有する患者さんの診療情報を用いて分析を行います。使用する診療情報は以下の通りです。
<入院時>
意識レベル、画像(頭部CTまたはMRI)、電気生理学的検査(脳波または聴性脳幹反応auditory brainstem response: ABR)、日常生活に関する評価(Functional Independence Measure :FIM)、高次脳機能障害に対する評価(MoCA△, FAB†, RPCM‡, CAT¶, BIT§, WMS※, RBMT☆, WAIS-Ⅲ★)
<発症、または受傷1年後>
意識レベル、画像(頭部CTまたはMRI)、電気生理学的検査(脳波または聴性脳幹反応auditory brainstem response: ABR)、日常生活に関する評価(FIM@)、高次脳機能障害に対する評価(MMSE◆,MoCA△, FAB†, RPCM‡, CAT¶, BIT§, WMS※, RBMT☆, WAIS-Ⅲ★)、社会行動障害の有無と内容に関する評価(Neuropsychologic Inventory:NPI)
◆MMSE:Mini Mental State Examination,△MoCA: Montreal Cognitive Assessment(全般的な認知機能の評価)
†FAB:Frontal Assessment Battery(前頭葉機能の評価)
‡RPCM:Raven's Colored Progressive Matrices (視覚を用いた認知機能の評価)
¶CAT:Clinical Assessment for Attention(注意機能をみるための評価)
§BIT:Behavioural Inattention Test (視覚認知機能障害の有無をみるための評価)
※WMS:Wechsler Memory Scale(記憶機能の評価)
☆RBMT:Rivermead Behavioural Memory Test(日常記憶の評価)
★WAIS-Ⅲ:Wechsler Adult Intelligence Scale-Third Edition(知能の評価)
- 研究期間
2019年8月21日 ~ 2023年3月31日
- 対象となる患者様・研究対象者として選定された理由
倫理・利益相反委員会承認時から2021年3月31日までの間に,当センターまたは埼玉医科大学総合医療センターに入院された患者さんのうち、脳損傷(脳卒中及び外傷性脳損傷)による意識障害を有する患者さんの合計100名を分析対象として行うものです。ただし、原疾患に起因しない認知症や、以前からの高次脳機能障害を有する場合、末期ガンなどにより長期生存が困難な場合はそのデータは使用しません。
- 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
本研究で扱う情報は、日常診療で行われた評価結果のみであるため、対象者の負担及び新たに発生する危険性は想定されません。直接的な利益としては、対象者の意識障害と高次脳機能障害の程度を体系的に把握することができ、転院時及び在宅復帰時の支援に有効なデータを得ることができます。また、このようなデータを集めて分析することで、受傷後早期から意識障害の回復・残存の程度を予測し、その後を見据えた有効な治療やリハビリテーションを選択することができるようになる可能性があり、将来的には、意識障害患者に対するリハビリテーション医療の発展に貢献することができます。
- 研究実施について同意しないこと及び同意を撤回することの自由について
ご自身の診療情報が、当該課題に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたに関する情報を削除いたしますので、18.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等で既に公開されている場合には解析結果を削除できないことがあります。
- 研究に関する情報公開の方法
本掲示により研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については学会発表・論文投稿などにて行う予定でおります。
- 研究計画書等の閲覧について
当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、18.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
- 個人情報等の取扱い
プライバシー保護のため、対象者の個別の研究結果については秘密を厳守し、研究結果から得られるいかなる情報も研究の目的以外に使用致しません。
本研究では、診療情報(電子カルテ)より上記6.の情報を抽出して使用いたしますが、患者さんが特定できる情報(氏名・住所(ケースにより・患者ID番号)など)を削除した状態で抽出しています。抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に使用いたします。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に使用する抽出データとは別にされ、各共同研究施設内にて厳重に保管されます。
また、研究成果は学会や論文として発表されますが、その際にも個人を特定できるような内容を含むことはございません。
- 他機関(共同研究機関)への情報提供について
5.研究に使用する情報の内容に関して、下記の他機関へ情報を提供します。また、下記の機関から提供された情報を当センターが受けとります。
・提供元の機関名・研究責任者名:
埼玉医科大学総合医療センター 副院長 松居 徹
金城大学 学長 前島 伸一郎
・提供する情報の提供方法:
データベース上にて情報を提供します。
・提供に関する記録の保管方法:
本研究の研究計画書を記録とし、当センターにて適切に保管します。また、各分担研究機関である埼玉医科大学総合医療センター・金城大学でも研究計画書を保管します。
- 情報の保管方法
抽出したデータ、患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表、匿名化されたデータおよび抽出したデータについては、各施設にてデータベース上に入力し保管しています。対応表や匿名化されたデータは各施設の書庫にて施錠保管しています。データの廃棄は行いません。
- 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
本研究は科学研究費助成事業(課題番号:18K10771)と長寿医療研究開発費(獲得予定)の助成にて行なっております。その他に開示すべき利益相反はありません。
- 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
本研究に関する疑問点や、知りたいことがあった場合、個人情報に抵触しない範囲であれば研究の資料(研究計画書や研究の方法に関する資料)を書面にて説明、また面談を実施いたします。
- この研究に関するお問い合わせ先
愛知県大府市森岡町七丁目430番地
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
副院長 近藤 和泉
TEL:0562-46-2311(代表)