倫理・利益相反委員会受付番号No.1247
「認知症の人に対する生活機能及び活動維持・向上に資する効果的なリハビリテーションプログラムの策定に関する研究(倫理・利益相反委員会受付番号No.1247)」人を対象とする医学系研究実施についてのお知らせ
国立長寿医療研究センター(リハビリテーション科部)では、以下の人を対象とする医学系研究を実施しております。
この研究は、通常の診療で得られた情報(カルテの記載内容や検査結果など)から必要な情報を取り出し、まとめることによって行われるものです。
このような研究は、厚生労働省・文部科学省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただければ幸いです。
また、この研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「18.この研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただきますようお願い申し上げます。
2019年5月15日
記
- 研究課題名:認知症の人に対する生活機能及び活動維持・向上に資する効果的なリハビリテーションプログラムの策定に関する研究
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1247)
この研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
- 研究機関の名称及び研究責任者の氏名
国立長寿医療研究センター 大沢 愛子(リハビリテーション科部)
- 研究分担者名
国立長寿医療研究センター
荒井 秀典、近藤 和泉
伊藤 直樹、植田 郁恵、相本 啓太、宇佐見 和也、神谷 正樹(リハビリテーション科部)
金城大学
前島 伸一郎
京都先端科学大学
吉村 貴子(健康医療学部 言語聴覚学科)
- 当該研究の意義、目的
認知症の人の数は今も増えており、治療や予防に関する社会的要請はますます高まっています。医療や介護・福祉サービスの利用者も増え続けており、身体機能や認知機能の悪化を予防する目的で、リハビリテーション(リハ)の需要も今後さらに増えることが予想されます。しかしどのようなリハを行えばよいのかはまだ確立していません。また、介護者も含めた環境調整の重要性が認識されていますが、その影響についての科学的根拠は乏しい状況です。
このような状況の中、我々は2013年度から医療的な診察とリハを組み合わせた “脳・身体賦活リハ”を開始しました。その中で、リハの方法を用いて、軽度認知障害や認知症の人の治療を行い、認知機能の低下予防のみならず行動・心理症状の悪化をいかに防ぐか、生活機能や活動をいかに維持するかを考え、介護者の協力を得ながら環境調整を行ってきました。
本研究では、我々がこれまでに治療の中で積み重ねてきたデータの解析を行い、文献的考察も含めて、生活の観点から、軽度認知障害や認知症の人と介護者へのリハ介入の効果を検証します。加えてその結果に基づき、軽度認知障害や認知症の人と介護者に対して有効なリハを実施するための体系的かつ具体的なリハプログラムを確立することを目的とします。
- 研究に使用する情報
2014年1月から2019年4月までに当センターで行ったリハの内容や当事者の評価、基本情報(年齢、性別、症状発現からリハ開始までの期間、同居家族数、キーパーソン、生活歴、教育歴)に関する記録を電子カルテより、抽出し、使用します。また、診療を行う上で実施した認知機能の評価、精神機能検査、行動・心理症状の評価、生活機能、社会活動、身体機能などの情報を解析に使用します。
- 当該研究の方法
本研究では、生活機能と活動の観点から、軽度認知障害と認知症の人、介護者へのリハ介入の効果を検証し、体系的かつ具体的なリハプログラムを確立してその手引きを作成することを目標としています。このために、生活障害や活動の低下とその傾向や介入・支援方法に関する文献の検討とこれまでに行われてきた脳・身体賦活リハにおいて蓄積したデータの分析を行います。またこれらのデータをまとめて、生活機能や活動の維持に効果的かつ当事者の視点も取り入れたリハプログラムの決定と手引きの作成を、2年間かけて国立長寿医療研究センターにおいて実施します。
研究責任者である大沢愛子が研究総括を行い、研究分担者である荒井秀典と近藤和泉が文献の検討とまとめを行います。伊藤直樹、植田郁恵、宇佐見和也、神谷正樹がデータ整理を、相本啓太がデータ解析と分析を行います。データの解釈は前島伸一郎と吉村貴子が行い、それらの分析と解釈を元に大沢愛子が統括して研究者全員で軽度認知障害や認知症の人に対する生活機能及び活動維持・向上に資するリハの手引きを作成します。
- 研究期間
2019年5月15日〜2021年3月31日
- 対象となる患者さんと研究対象者として選定された理由
2014年1月から2019年4月までに、外来にて軽度認知障害や認知症の人とその家族を対象とした脳・身体賦活リハに参加した方とそのご家族を研究の対象とします。また2014年1月以降にもの忘れセンターを受診し、軽度認知障害か認知症の診断を受け、1年後評価が実施された方のうち、脳・身体賦活リハを受けた方と年齢、性別、認知症の重症度が合致した方も対照群としてデータ分析を行います。
- 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
既存の診療情報の利用のみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、新たに発生する不利益並びに危険性はありません。また、対象者個人に対する即時的な利益は想定していませんが、効果的なリハ手法が体系的に整理されることにより、将来的にはより軽度認知障害や認知症の人がより良いリハを受けることができるものと予測しています。
- 研究実施について同意しないこと及び同意を撤回することの自由について
ご自身及びご家族の情報が、当該課題に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報からあなたとご家族に関わる情報を削除いたしますので、18.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願い申し上げます。この申し出は、研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはありません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等で既に公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
- 研究に関する情報公開の方法
本研究は公開データベースへの登録はしませんが、研究結果の公開については厚生労働省のデータベースに研究報告書が公開され、また手引きの作成の形で公表します。
- 研究計画書等の閲覧について
他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、18.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
- 個人情報等の取扱い
この研究では、診療情報(電子・紙カルテ)より情報を抽出して使用しますが、患者様が特定できる情報(氏名・住所(ケースにより・患者ID番号)など)を削除した状態で抽出しています。抽出データに残されている患者ID番号についても、患者ID番号とは別の新たな符号・番号に置き換えた上で保管し、研究に使用します。患者ID番号と置き換えた符号・番号との対応表は研究に使用する抽出データとは別にされ、当センター内にて厳重に保管されます。
本研究の性質上、解析に使われるのは数値データのみですが、研究結果の公表に際しては個人が特定できないよう配慮いたします。また、研究成果を手引きに反映させますが、その際にも患者を特定できるような内容を含むことはありません。
- 他機関(共同研究機関を含む)への提供について
5.の内容に関して、下記の他機関へ情報を提供します。
①提供先の機関
・金城大学 学長 前島 伸一郎
・京都先端科学大学 健康医療部 言語聴覚学科 吉村 貴子
②提供する情報の提供方法
ファイル及びフォルダにパスワードをかけて、メール添付する。
③提供に関する記録の保管方法
研究計画書を記録として、国立長寿医療研究センターに適切に保管する。
分担研究機関である金城大学・京都先端科学大学でも研究計画書を保管する。
保管期間は研究終了後10年間とする。
- 試料・情報の保管及び廃棄の方法
本研究で得られた情報は国立長寿医療研究センターにて適切に管理し、手引き作成後10年間保存します。また、得られた情報は本研究の目的以外には使用しません。廃棄方法は、電子データはコンピューターから完全に消去し、紙媒体はシュレッダーにて裁断します。
- 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
本研究は、厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)を受けて実施します。研究資金は厚生労働省より提供を受けますが、国立長寿医療研究センターの利益相反行為防止規則に則り、本研究を適正かつ円滑に遂行するものとします。
- 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
研究全般に関する相談があった場合は研究責任者である大沢愛子が対応を行い、研究分担者である荒井秀典、近藤和泉に報告を行います。
- この研究に関するお問い合わせ先
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
リハビリテーション科部 大沢愛子
TEL:0562-46-2311(内線7824)
FAX:0562-44-8518