本文へ移動

 

文字サイズ

ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1206-2

倫理・利益相反委員会受付番号No.1206-2

「ヒト脳におけるAβ重合を抑止する低分子化合物の探索(倫理・利益相反委員会受付番号No.1206-2)」人を対象とする医学系研究実施についてのお知らせ

 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 治療薬探索研究部では、以下の人を対象とする医学系研究を実施しております。
 この研究は、東京都健康長寿医療センターによって行われた剖検により得られた脳試料を用いて生化学的並びに創薬化学的解析が行われるものです。
 このような研究は、厚生労働省・文部科学省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接ご同意をいただかずに実施することができますが、研究内容の情報を公開することが必要とされています。このお知らせをもって研究内容の情報公開とさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
 この研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「17.この研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。

2019年6月28日

  1. 研究課題名:ヒト脳におけるAβ重合を抑止する低分子化合物の探索
    (倫理・利益相反委員会受付番号No.1206-2)
    この研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
  2. 研究機関の名称及び研究責任者の氏名
    国立長寿医療研究センター 治療薬探索研究部 河合 昭好
    東京都健康長寿医療センター 高齢者ブレインバンク 村山 繁雄
    慶応大学 理工学部 松原 輝彦
    東京薬科大学 薬学部 林 秀樹
  3. 研究分担者名
    国立長寿医療研究センター 研究所長 柳澤 勝彦
  4. 当該研究の意義、目的
    本研究は、アルツハイマー病(AD)脳における主な病理所見であるアミロイドß蛋白(Aß)の重合を抑止する低分子化合物を探索することを目的としています。ヒト脳におけるAß重合に関して分担研究者の柳澤は、神経細胞膜脂質の一つであるGM1ガングリオシドに結合したAß (GAß)が重合を誘導する種として働くことを示しました(Yanagisawa et al., Nature Med, 1995)。 さらに最近、同じく分担研究者の村山、松原らと共同し、ヒト脳より抽出した脂質を原子間力顕微鏡(AFM)下で再構成し、この上でAß重合過程を定量的に観察可能であることを示しました(Oikawa et al., PLOSone, 2015)。本研究はこれらの研究実績を踏まえ、すでに国立長寿医療研究センター(以下「当センター」という。)で主任研究者の河合を中心に独自に探索、合成したAß重合抑止低分子化合物の活性をさらに詳細に評価し、これら低分子化合物の前臨床試験ならびに臨床試験への展開を図るものです。AD患者の急増が始まると予想される2025年を前に根治薬や予防薬は未だ開発されておらず、従前の創薬戦略とは一線を画した本研究はAD先制治療薬開発に新たな可能性の道を開くものとして大きな意義を有します。
  5. 研究に使用する情報
    病理学的に確認されたアルツハイマー病所見、低分子化合物のAß42重合抑止活性の結果
  6. 当該研究の方法
    第1期(2019年1月15日 〜 2019年3月31日)
    高齢者ブレインバンクに保存されている脳試料より、大脳皮質を切離し、東京薬科大学でシナプス膜を単離し、さらにここから脂質を抽出します。この抽出脂質を用い慶応大学でAFMにてAß42重合を観察します。以上の作業の流れが確認できた段階で、低分子化合物の本評価系におけるAß42の重合抑止能を順次評価します。上記解析系が確立した後、AFM解析において優れた実績を有する(株)生体分子計測研究所へ業務委託し、主任研究者の河合と分担研究者の柳澤は得られた低分子化合物のAß42重合抑止活性及び代謝安定性等を総合的に評価します。
    第2期(2019年4月1日〜2020年3月31日)
    平成30年度に構築したAFM評価系を用い、引き続き、当センターが保有する低分子化合物の評価を(株)生体分子計測研究所にて実施します。低分子化合物のAß42重合抑止活性及び代謝安定性等を総合的に評価し、本評価系でAß42重合を有意に抑止する低分子化合物が得られた場合、速やかに製薬企業等と協議し、前臨床試験ならびに臨床試験への展開を検討します。加えて、ヒト脳におけるAß42重合線維の構造解析も慶応大学で実施します。
  7. 研究期間
    2019年1月15日 〜 2020年3月31日
  8. 対象となる患者さん、研究対象者として選定された理由
    東京都健康長寿医療センター高齢者ブレインバンクに保存されている剖検脳病理所見を基に、分担研究者で同ブレインバンクの責任者である村山繁雄博士と協議の上で、アミロイド蓄積初発部位に軽度のAß免疫反応陽性を示す脳試料を選別します。研究開始時には先に同ブレインバンクと共同研究(Oikawa et al., PLOSone, 2015)を行った際に選別ならびに解析対象とした同一の脳試料を優先して用います。
  9. 研究対象者及びそのご家族に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
    当センターでは個人を特定できる情報が削除された形で提供された脳試料の脂質を用いた評価結果のみを扱います。またプライバシー保護に関する一般的な注意にも十分配慮の上で研究を遂行することとするため、研究対象者及びそのご家族への負担や不利益が生じる可能性はありません。研究対象者及びご家族に直接的な利益はありませんが、アルツハイマー病発症機構の理解に大きく貢献すると期待されます。
  10. 研究実施について同意しないこと及び同意を撤回することの自由について
    ご家族である研究対象者の診療情報が、当該課題に利用されることにご同意いただけない場合には、研究に使用する情報から研究対象者にかかる情報を削除いたしますので、17.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。また、情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会や論文等で既に公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
  11. 研究に関する情報公開の方法
    本掲示により研究に関する情報公開といたします。研究結果の公開については学会、学術雑誌等にて行う予定でおります。
  12. 研究計画書等の閲覧について
    他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、17.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
  13. 個人情報等の取扱い
    本研究の試料提供元の東京都健康長寿医療センターから、共同研究機関(東京薬科大学、慶応大学及び当センター)に脳試料ならびに同試料より抽出した脂質等が提供される際には個人を特定する情報が削除されており、当センターでは研究対象者の特定等を可能とする対応表を取得ならびに保有することもございません。また、研究成果は学会、学術雑誌等として発表されますが、その際にも患者さんを特定できるような内容を含むことはございません。
  14. 試料・情報の保管及び廃棄の方法
    提供元で匿名化された試料情報ならびに脳試料の脂質を用いた化合物の評価結果が研究責任者(当センター)のコンピューターに、研究終了後10年間は保存されます。脳試料から脂質抽出を行う共同研究機関(東京薬科大学)においては脳試料の盗難、紛失等が生じないように十分に注意し、本研究関係者のみがアクセスできる冷凍庫、冷蔵庫に保管します。使用しなかった脳試料については東京都健康長寿医療センターに返還します。情報についてはパスワード等で制御された研究責任者(当センター)のコンピューターに保存し、保管期間満了後コンピューターに保存してあるデータは復元できない様消去し廃棄します。
  15. 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
    本研究は当センター運営費交付金及び長寿医療研究開発費を研究資金とします。また、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反はありません。
  16. 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
    この研究にご相談等がありましたら、17.に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。また、提供いただいた試料・情報が研究に使用されることについて、ご家族のご了承をいただけない場合には研究対象といたしませんので17.に記載されているお問い合わせ先にお申し出下さい。
  17. この研究に関するお問い合わせ先
    国立長寿医療研究センター 治療薬探索研究部 河合 昭好
    〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
    Tel: 0562-46-2311(代表)
    Fax: 0562-87-1278