ホーム > 研究の推進 > 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づく研究実施の情報公開 > 倫理・利益相反委員会受付番号No.1174-7
現在、国立長寿医療研究センターでは「長寿コホート総合的研究」として、日本人の高齢者の健康度や生活機能の状況について、国内でも比較的大規模で科学的精度の高い老化と老年病に関する長期的研究(縦断研究と呼んでいます)からのデータを収集し、よりレベルの高い総合的な調査研究を実施し、過去(2000年頃)から現在(2020年頃)、そして近未来(2030年頃)までの長期的な視点にわたって、質量ともに精度の高いデータを収集し、日本人の老化の状況を長期にわたり研究することとなりました。
このような国内の個別の研究をまとめた大規模なデータを精密に分析することによって、高齢期の健康水準の動向や老化に伴う数多くの慢性的な疾患の有病率の動向、さらには要介護状態を予防(介護予防といいます)するための方策などが、より信頼性に高い情報として明らかにされることになります。そのためには、皆様方からご提供いただいたデータの一部を、再度寄せ集めて、より大きなデータ(ビッグデータともいいます)として、国立長寿医療研究センターにおいて再分析・再活用による研究を実施することとなりましたので、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づき、研究実施の情報公開をいたします。
この研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2024年5月22日
記
「『長寿コホートの総合的研究』に関する二次的データ収集と分析」
(倫理・利益相反委員会受付番号No.1174-7)
本研究課題については、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
わが国には老年学・老年医学の研究機関を中心として、地域在宅高齢者を対象とした優れた老化に関する長期縦断研究が複数存在し、それぞれ特色ある精度の高い老化・老年学研究を進めていますが、必ずしも標準化された研究方法に準拠しているわけではなく、また対象者数もほとんどの研究で3千人に満たない比較的小規模な疫学研究となっています。
一方、近年欧米では、多施設研究を中心として数万人を対象とする大規模な長期縦断的疫学研究が推進されており、発症頻度の比較的少ない老化・老年病に関してもその有病率の推移や危険因子の同定などが解明されています。わが国では残念ながら、このような規模で太刀打ちできる大規模な疫学研究が皆無なのが実情であります。
このようなわが国の老化に関する疫学的な研究の状況を背景として、国立長寿医療研究センターでは2017年度から長寿医療研究開発費による多施設共同研究「長寿コホートの総合的研究」を開始しました。「長寿コホートの総合的研究」ではわが国の代表的な老化・老年病に関する16の研究班を厳選して長期縦断疫学研究を集約し、多くの共通する標準化された測定項目について、過去、現在そして今後(将来)にわたってデータを収集・分析し、わが国の高齢者の加齢に伴う健康水準の変動とその背景要因、危険因子、交絡要因はどのような因子であるか等を明らかにすること、さらには健康水準の変動が老化や老年病の発症、有病率等にどのような影響を及ぼすかを解明することを目的として開始されました。「長寿コホートの総合的研究」は2017年度~2019年度を初回調査期間と位置づけ、今後も長期にわたる縦断的研究として継続されることを前提としており、今後のわが国における老化・老年病の大規模な疫学研究の基盤的で精度の高い研究推進の中核となることが期待されます。
2017年度~2019年度においてはすでに高齢者の生活機能が関与する以下のデータ収集を行いました。いずれのデータの個人データではなく、集団としての(各コホートにおける)性、年齢階層別、平均値±標準偏差としてデータを収集しました。
2020年度以降の「長寿コホートの総合的研究」では、現在の老年学・老年医学の重要な課題である、「新高齢者活動能力指標(JST版)」、「フレイル」、「サルコペニア」そして「認知機能・認知症」を中心として、先にあげました16のコホート研究(老化・老年病に関する長期縦断研究)から、精度の高い個人別データを収集し、過去―現在―近未来に渡るわが国の地域高齢者の健康水準の変動やそれらに影響を及ぼす要因を解明することを計画しております。
研究の種類・デザインとしては「介入を伴わない前向き観察研究」と呼ばれる研究です。
16の老化・老年病に関する長期縦断コホート研究において、以下の項目について観察および測定を実施し、得られた匿名化データを本研究に利用いたします。全て1~2年に1回実施される定期的な地域在宅高齢者を対象とする健康診断からのデータを収集し統合的な分析を行うこととしております。ただし、以下の項目のデータの中で、あなた様の参加されているコホート研究で収得(測定)されていない項目がある場合には、該当する項目については(当然ですが)利用することはありません。
2018年11月12日 ~ 2026年3月31日
本研究の対象者として選定される方は、すでに各コホートでの研究に参加を同意された方で、上記の測定項目と統計解析に必要なデータのそろった方を対象者といたします。
本研究は既存の継続的に実施されている老化・老年病のデータ収集と再分析(メタアナリシス)を目的とした前向き研究であり、研究対象者に直接の利益は生じませんが、研究成果により将来の高齢者の健康づくりや要介護状態予防のため施策や活動には大きく貢献できる可能性があります。また本研究は観察研究であり、検査項目についても通常の高齢者健診で得られる非侵襲的なデータ収集であることから、本研究に参加する高齢者への直接的な不利益は生じないと考えています。
対象者の方ご自身の検査結果が、本研究課題に利用されることに同意いただけない場合には、研究に使用する検査結果からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。研究期間の途中であっても構いません。
情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会報告や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
本掲示により研究に関する情報公開とします。本研究で得られた研究結果はホームページ掲載・学会報告・論文投稿等を通して発表しますが、COI開示などを通して、共同研究成果である旨を開示します。
他の対象者の個人情報保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
すべてのデータは匿名化した状態で保管・解析しております。また解析にあたっては、匿名化データを用いるため、解析を行う研究者も、検査結果がどなたのものであるかは分かりません。研究成果は集団として集計した結果を学会報告や論文として発表しますので、解析結果から個人が特定されることはありません。
本研究で利用する全ての情報は、外部からのアクセスが不可能な国立長寿医療研究センター内のパスワード管理されたサーバー内で保管します(ただし、各研究者と統合データを共有するため、一時的にパスワード管理されたネットワーク上のフォルダを用いる場合があります)。また、本研究で利用する匿名化されたデータおよび学術的公表に関する解析結果や解析プログラムなどは、一般からの問い合わせに応じることができるよう、研究終了(研究期間終了)後も10年間は、外部からのアクセスが不可能な国立長寿医療研究センター内のパスワード管理されたサーバー内で保管します。
ただし、研究期間終了から10年後以降は、本研究に用いた全ての情報は個人が特定されない状態で完全に消去します。
研究に関する報告は、年1回の中間報告を国立長寿医療研究センター理事長宛に提出する他、本研究終了後は終了報告を提出するとともに、この研究で得られた成果も含めて、研究責任者は研究対象高齢者に対し最も適切と考えられる健康情報(例えば、新たに見出された健康維持のための方策や介護予防に資する知見等)を提供します。
本研究で得られたデータが(同意を受けた時点では特定されていない)将来の研究に用いられたり、あるいは他の研究機関に提供されたりする可能性があります。
本研究でのデータは、国立長寿医療研究センターの運営費や公的研究費(競争的研究資金等)を主財源として収集しており、国立長寿医療研究センターが管理・運用を行っています。尚、各コホートと、国立長寿医療研究センターおよび本研究に参加する研究者の間に一切の利害関係はありません。
本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載のお問い合わせ先までご連絡ください。
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
老年学・社会科学研究センター 老化疫学研究部長 大塚礼
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562-46-2311(代表)