看護部
看護部では、高齢者看護の確立に向けて、臨床および在宅の専門的技術の開発や長寿医療研究センターの社会的役割を果たすことを目的として、認知症、排泄ケア、EOL(エンド・オブ・ライフ)ケア、褥瘡対策、NST(栄養サポートチーム)、退院支援の6分野について『高齢者看護開発推進チーム』を設け活動しています。チームは、各分野を専門とする認定看護師、専門看護師や、看護師長、副看護師長が中心となり、高齢者看護に関する事項の実態調査や情報発信、現場の問題解決や看護職員への教育などを行い、看護の質の向上に努めています。
認知症リンクナース会は、病棟の認知症看護の実態を把握し、正しい知識と技術に基づいて、院内全体の認知症ケアの質向上を目指すことを目的としています。各病棟から1名ずつ代表者(リンクナース)が参加し、年8回の会を通じて、事例検討やロールプレイ、身体拘束やDST(認知症ケアサポートチーム)に関する情報共有など、さまざまな取り組みを行っています。チーム会で得た学びは、各病棟での認知症ケアの質向上の取り組みに活かしています。
現場の状況や課題を共有し、認定看護師からアドバイスを受けています
DVDを視聴し、認知症の方への理解を深めています
チーム会では、身体拘束の実施状況や認知症ケアに関するカンファレンスの内容について共有、ディスカッションし、よりよいケアが提供できるよう、認知症看護認定看護師から考え方や具体的なケアの方法についてアドバイスを行っています。身体拘束の最小化については、チーム会発足当初から課題として取り組み、現在では院内にその意識が定着し、院内平均実施率は2%と成果を上げています。また、リンクナースが正しい知識と技術を身につけ、各部署の認知症看護を牽引する役割を果たすことができるよう、DVD視聴やロールプレイを実施し、認知症をもつ患者さんの対応について学ぶ時間を設けています。DVD視聴後の意見交換では、「人として尊重することの大切さを改めて感じた」「無意識に患者ではなく家族と話をしてしまうことがあるため、気を付けようと思った」「本人に伝わる説明を心がけたいと思った」など意見が交わされ、参加者の学びや気づきを深める機会となっています。ロールプレイでは、初めに認知症看護認定看護師が患者役・看護師役となり、帰宅欲求がある患者さんへの好ましくない対応を見た後に、リンクナースが望ましい対応を考え、実際に演じてもらいます。患者役を体験することで、認知症の方の気持ちをより理解することができ、倫理観性を育む機会にもなっています。
認知症の人への好ましい対応について検討をしています
2人1組で看護師役と患者役になりロールプレイをしています
認知症看護は、認知症の人の立場にたって考えることが何よりも大切です。認知症リンクナース会では、これからも認知症の人の気持ちを理解できるような活動を大切にしながら、リンクナース発信で院内の認知症看護の質向上を目指していきたいと思います。