看護部
当院では、すべての看護師が適切に高齢者看護ができることを目的に、認定看護師、専門看護師、診療看護師が講師となり、高齢者ケアに特化した高齢者専門ラダーコース研修を開設しています。このコースでは、認知症看護、摂食嚥下、褥瘡ケア、排泄ケア、フィジカルアセスメント、呼吸ケア、転倒転落予防ケアの7つの分野について学ぶことができます。高齢者看護の学びを深めたい看護師の有益な学びの場となっています。
高齢者ラダーコース研修の第2回目は7分野の中から、「摂食嚥下コース」についてご紹介します。
本研修では、摂食嚥下分野に関連する特定のスキルや知識を身に着けるために、講義やグループワーク、病棟での症例への取り組みを支援しています。私たち看護師・介護士が摂食嚥下に関する知識・技術を向上させ、障害を速やかに発見して適切なケアを提供することで、「口から食べたい」という患者さんの思いを支えていくことをねらいとしています。
「食べる」とは、口から食べ物をとり栄養にする重要な役割があります。また、家族団らん、友人との楽しい会食、季節の物やその土地の名物を食べるなどの「楽しみ」でもあり、人生の質にかかわる分野です。しかし、様々な病気にかかったり、年齢を重ねたりすることで嚥下機能が低下して安全に楽しく口から食べることができなくなることがあります。そんな時、私たち看護師・介護士に知識や技術があれば、嚥下機能の低下した方々に安全に食事を提供できると考えています。
研修では、「口から食べたい」という患者さんの思いを支えるために、基礎知識として、摂食嚥下の基本、摂食嚥下の機能評価、食事介助の方法、口腔ケアを学びます。さらに、高齢者の摂食嚥下機能が低下した事例を通して、事例ごとに起きている障害と安全に食事を摂取するために必要なケア、退院後の生活環境を踏まえた食支援について考え方を学んでいきます。この研修を通して、高齢者の方の食への思いを叶え、退院後の豊かな人生につなげていくことができるよう一緒にスキルアップしていきたいと思っています。
事例検討
食事介助の様子
高齢者ラダーは認定看護師や診療看護師など、各分野を専門とする看護師から学べる機会であることや、自身では興味のある特定の分野の学習に偏りがちなこともあり、高齢者看護全般について学ぶため受講しています。ラダー1・2では基礎的な内容を復習するよい機会となるとともに、自分の苦手とする部分を自覚するよい機会となりました。ラダーレベルが上がってくると、嚥下障害の程度に合わせて必要となるとろみの濃度を決める基準を学ぶなど、新たな知識を取得でき、とても勉強になっています。